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施政方針演説 「列島改造」の名に値するのか

読売新聞 / 2025年1月25日 5時0分

 過疎化が進む地方の活力を取り戻す、という石破首相の考え方に異論はないが、その方法が従来の政策の焼き直しばかりでは話にならない。

 通常国会が召集され、首相が衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。「令和の日本列島改造」と称し、地方創生を最重要政策として進める考えを強調した。

 首相は「官民が連携して地域の拠点をつくり、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す」と述べた。

 そのための具体策としては、企業の地方移転の促進や農林水産業の高付加価値化、観光産業の活性化などを挙げた。ただ、これらの施策は目新しいものではない。

 政府は2014年以降、東京圏への一極集中の流れを変えようと地方創生に取り組んでいるが、思うような成果は得られていない。首相は初代地方創生相だった。

 同じテーマに再び挑み、結果を出そうというなら、従来の施策のどこに問題があり、何が不足していたのかを分析した上で、新しい政策を提示すべきではないか。

 首相はまた、目指す国家像として故・堺屋太一氏が唱えた「楽しい日本」を掲げた。多様な価値観を持つ個人を重んじ、自己実現を図っていく社会を指すという。

 個人の価値観は尊重されるべきだが、そうした考え方が行き過ぎた結果、自らの権利ばかりを主張する風潮が社会に広がり、とても「楽しい」とは言えない状況を生んでいる面は否めない。言葉が先行して実態に合っていない。

 首相は、防災対応の司令塔として、まず内閣府に次官級の「防災監」を置き、26年度に「防災庁」を地方に設置すると訴えた。

 現在、大規模な災害発生時には、内閣危機管理監が情報収集や関係省庁の指揮に当たっている。防災監を新設する意味は何なのか。

 災害時の復旧事業を発注する国土交通省や、廃棄物の処理を担っている環境省などと、防災庁との役割分担も不明確だ。混乱が生じないか、心配が先に立つ。

 首相は政治改革に関し、政党交付金や企業・団体献金などの収入源を挙げ、「それらのバランスはどうあるべきか」と述べた。「政党の規律をどのように考え、担保していくか」とも指摘した。

 様々な課題の論点を挙げ、問題提起をするのは首相の特徴と言える。だが、十分な根拠とともに明確な方針を示し、国民を説得するのがリーダーの役割だ。首相就任から間もなく4か月。いつまでも評論家のような姿勢では困る。

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