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やや右よりに「緑の誘導線」、はみ出し事故減に効果…発祥の秋田に続き和歌山で導入

読売新聞 / 2025年2月3日 15時30分

車線の中心からやや右よりに引かれた緑色の車両誘導線。ハンドルが線の上を通過するように運転する(和歌山河川国道事務所が公開する動画から)

 和歌山、秋田両県の片側1車線の自動車専用道路などで、緑色の「車両誘導線」を路面に引き、車線からはみ出す事故を防ぐ試験的な取り組みが行われている。誘導線は車線の中心からやや右よりに引かれ、右ハンドル車で運転席がライン上を通過するようにすると、車道の中央付近を通って安全に走行できる。設置区間は計3か所、約20キロとまだ短いが、事故が減った。(林美佑)

 車両誘導線は2023年5月、全国で初めて秋田県内の秋田道の一部区間で導入された。同年中に、秋田県内の日本海沿岸東北道の一部区間、和歌山県内の京奈和道紀の川インターチェンジ(IC)―紀の川東IC間約5キロでも設置された。

 背景には、片側1車線区間での事故対策の難しさがある。上下線を分けるラバーポールは軟らかくて対向車との衝突事故を防げず、18年から鋼製ワイヤロープが本格的に導入されたが、新たな弊害が浮上した。

 反対車線への飛び出し事故は9割以上減ったものの、ロープに接触して車が走行不能になるケースが増え、撤去に手間がかかるようになったという。

 そこで登場したアイデアが「車両誘導線」だった。浜岡秀勝・秋田大教授(交通工学)が開発した。

 浜岡教授は、運転シミュレーターによる模擬走行で「注意喚起の文字を路面に書く」「反射板の設置」など複数の対策の効果を比較。誘導線が最も有効だとして、国土交通省能代河川国道事務所(秋田県能代市)に提案し、採用された。

 誘導線は、夜間でもヘッドライトの明かりで良く見える。浜岡教授によると、秋田道の対象区間では、施工前1年間の接触事故が21件だったところ、施工後は10件に半減。日本海沿岸東北道では10件が7件に減った。京奈和道は件数非公表だが、同省和歌山河川国道事務所(和歌山市)は「事故は減った」としている。

意味の周知課題

 課題は、誘導線の意味をドライバーにどう伝えるかだ。和歌山県紀の川市の会社員男性(29)は「最初は何の線で、どう走ればいいのか分からなかったが、意味を理解してからは運転しやすいと感じるようになった」と話す。

 車の右端を線に合わせれば良いと誤解し、極端に左に寄って走る車もあり、和歌山河川国道事務所は、誘導線の始点や中間付近に案内看板を設置。適切な走り方を解説する動画をSNSなどで公開している。

 浜岡教授は「車両誘導線は、技術的な問題でワイヤロープを設置できない区間や、正面衝突が多い一般道でも有効な可能性がある」としている。

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