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新NISA2年目、新規口座開設の動き減少…外国株投信に人気偏りが課題

読売新聞 / 2025年2月5日 8時8分

 新NISA(少額投資非課税制度)が導入されて2年目に入った。これまでの1年間で口座数や買い付け額は増加したが、新たに口座を開く動きは徐々に減少している。外国株で運用する投資信託に人気が偏っているなどの課題を指摘する声もある。(福原悠介、市川大輔)

12・8兆円

 東京都内に住む男子大学院生(25)は、NISAを始めて5年目になる。老後に必要となる資金に対し漠然とした不安を抱えているといい、新NISAでは非課税で投資できる上限が拡大されたことから、投資額を増やした。「今後はもっと積極的に投資に取り組みたい」と話す。

 昨年1月に政府が制度を刷新したのは、個人が持つ預金を投資に振り向けてもらうことで企業が成長すれば、株価が上昇し、個人の資産形成にもつながるという好循環を実現する狙いだ。

 日本証券業協会の証券大手10社への調査では、2024年に開設されたNISA口座は343万件で前年(235万件)の1・45倍に増加。24年末時点の口座数は1611万件に達した。買い付け額も12兆8000億円で、前年の3兆4000億円から大幅に伸びた。

 新NISAでは、投信が対象の「つみたて投資枠」と株なども自由に買える「成長投資枠」を併用できるようになり、日証協は「投資家層が広がり、買い付け額が増えたのでは」と説明する。

日本株限定的

 NISAでは、外国株で運用する投信が人気だ。上位2銘柄は主に成長の著しい米国株で構成される。買い付け額は計3兆7000億円に迫り、NISA口座全体の買い付け額の約3割、投信では半数近くを占める。

 証券大手10社の昨年のNISA口座での買い付け状況によると、各社とも上位10銘柄のうち、海外銘柄で運用する商品が5~7銘柄と半数以上を占める。

 一方、国内市場のみで運用する商品は0~2銘柄と限定的だ。日本株への投資が進まなければ、日本企業の成長や個人の資産形成の循環が実現しにくくなる。みずほ証券の三浦豊テクニカルアナリストは「企業側も成長戦略を示し、株主還元に積極的に取り組まなければ、投資は集まりにくい」と指摘する。

道半ば

 日本銀行の資金循環統計によると、昨年9月末時点で家計の金融資産2179兆円のうち、ほぼ5割の1116兆円が現金や預金だった。政府が掲げる「貯蓄から投資へ」は道半ばだ。

 24年の各月のNISA口座開設数も減少傾向にある。1月の73万件をピークに減少し、9月には10万件台に落ち込み、前年の0・5~0・7倍(推計)のペースに低下した。

 足元では米トランプ大統領の関税を巡る動向や、中国のAI(人工知能)開発企業ディープシークの登場などで株価が大きく動く局面が目立つ。市場関係者には「『投資は怖い』と感じる人もいる。普及には心理的なハードルを下げることが重要だ」との指摘もある。

 制度の改良を求める声もある。三菱UFJアセットマネジメントの松尾健治シニアリサーチアナリストは、「老後に必要な資産は数千万円に上るとも試算され、インフレも進んでいる。生涯の投資限度額を無制限にした方が良い」と提案する。

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