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アングル:世界M&A、25年は4兆ドル超と4年ぶり高水準か トランプ政権で

ロイター / 2024年12月20日 16時25分

トランプ次期米大統領が約束した規制緩和と法人税引き下げ、広範な企業活動への後押しが追い風となり、銀行関係者らは2025年の世界での企業の合併・買収(M&A)取引総額が4兆ドル超と、4年ぶりの高水準になると予想している。2023年12月、ニューヨーク証券取引所付近で撮影(2024年 ロイター/Eduardo Munoz)

Anousha Sakoui Anirban Sen

[ロンドン/ニューヨーク/香港 19日 ロイター] - トランプ次期米大統領が約束した規制緩和と法人税引き下げ、広範な企業活動への後押しが追い風となり、銀行関係者らは2025年の世界での企業の合併・買収(M&A)取引総額が4兆ドル超と、4年ぶりの高水準になると予想している。

ディールロジックによると、今月19日時点の24年に入ってからのM&A取引総額は3兆4500億ドルと、前年同期比で15%増。約10年ぶりの低水準だった前年同期の約3兆ドルから回復した。

M&A仲介関係者は、25年には米国の反トラスト法(独占禁止法)がより柔軟に運用されるようになると期待している。トランプ氏は米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長の後任としてアンドリュー・ファーガソンFTC委員を最近指名し、大企業のM&A要件を緩和すると予想されている。

JPモルガン・チェースの北米M&A部門共同責任者ジェイ・ホフマン氏は「来年は、2021年を除けば過去10年間で最高の年の一つになるかもしれない」と指摘、「来年の世界のM&A取引額が(前年比で)15%または20%上がったとしても全く驚かない」と述べた。

24年に入ってからのM&A取引額は米国が前年同期比10%増の1兆5500億ドル。欧州は22%増、アジア太平洋地域は11%増となり、それぞれ8000億ドル台で推移している。

最近の政策金利の引き下げや、資金調達環境の改善、新規株式公開(IPO)の回復により、プライベートエクイティ(PE)企業の活性化が見込まれている。PE企業は過去2年間、価格を巡って売り手と買い手が合意できず、市場は大型IPOにはほぼ閉ざされていたため、数十億ドル相当の投資先企業の売却またはIPOができなかった。

PE企業が厳しい市場環境を乗り越えて複数の企業を非公開化したり、大規模な買収を成立させたりしたため、レバレッジド・バイアウト(LBO)の24年に入ってからの取引額は前年同期比35%増の6008億ドルに急増した。LBOの上位にはブラックストーンによる豪データセンター運営企業エアトランクの買収(160億ドル)、シルバーレイクによる娯楽複合企業(コングロマリット)のエンデバー・グループ・ホールディングスの非公開化(130億ドル)がある。

一方、24年のM&Aの上位案件にはマーズによるケラノバの買収(360億ドル)、キャピタル・ワンによるディスカバー・ファイナンシャル・サービシズの買収(350億ドル)、シノプシスによるシミュレーションソフトウエアメーカーのアンシスの買収(350億ドル)がある。

ポール・ワイス・リフキンド・ワートン・ギャリソンのM&Aグループのグローバル共同責任者、クリシュナ・ビーララガバン氏は「(25年の)環境は最近の政権時代より予測しやすくなっているため、より大規模な案件に関する協議が起こっており、今後も起こり続けるだろう」と語った。

<大型案件が押し上げ>

24年のM&Aは100億ドルを超える大型案件が37件発表された。一方、規制の厳格運用と選挙イヤーとなったことによる不確実性から企業は変革的な再編を追求することを延期せざるを得ず、全体的な取引件数は前年より減っている。

銀行関係者は、活況を呈する米経済と旺盛な需要、企業のバランスシートに眠っている数兆ドル規模の未使用資本を背景に当面はM&Aが活発化するとの見方を示す。主要投資銀行は、予想される取引案件の急増に対応できるように取引に当たるチームの人数を十分確保するための採用強化を始めている。

UBSのM&Aのグローバル共同責任者、ネスター・パズガリンド氏は「トランプ氏は税金を引き下げ、規制緩和を推進するため、企業は株主に資金を分配する代わりにM&Aに資金を振り向けることにより積極的になるかもしれない」と指摘した。

米企業の業績見通しが明るいことから資金に余裕のある外国企業が米国の魅力的な企業により目を向けるようになり、国境を越えたM&A取引も活発化すると予想されている。アジア経済の急成長もPE企業にとって魅力的になるとの見方が強まっている。

ゴールドマン・サックスの投資銀行部門グローバル副会長のラガブ・マリア氏は「ユニークなダイナミクスと追い風を受けて日本とインドに対する買い手企業の関心が高まり、取引額で力強い勢いが見られた。買い手企業が世界と(アジア)地域に戻っているのに伴い、25年も両国の勢いが続くと見込んでいる」と分析した。

カークランド・アンド・エリスのM&Aパートナー、ダニエル・ウルフ氏は「21年のような(過去最高の)年が再来すると確信しているわけではないが、(取引額が4兆ドル規模だった)新型コロナウイルス禍の直前の19年や20年のような年になるのではないかと期待している」と語った。

24年に入ってからの世界のM&Aで最も大きな割合を占めたのはテクノロジー分野で、前年同期比20%超増の5340億ドルに達した。

ラサム&ワトキンズのM&Aのグローバル副会長のマーク・バハイト氏は「現在進行中の案件は過去数年間にはあまり見られなかったタイプで、大規模で変革的な案件を手がけることに大いに興奮している」と語った。

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