「バーゼル3」最終化規則、米大統領選前の策定困難に=関係者
ロイター / 2024年8月23日 8時48分
米金融規制当局は、銀行の資本上乗せ義務などを盛り込んだ国際的な銀行資本規制「バーゼル3」最終化実施規則を、11月5日の大統領選前に取りまとめられそうにない。写真はドル紙幣。2018年2月撮影(2024年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
[ワシントン 22日 ロイター] - 米金融規制当局は、銀行の資本上乗せ義務などを盛り込んだ国際的な銀行資本規制「バーゼル3」最終化実施規則を、11月5日の大統領選前に取りまとめられそうにない。このため選挙結果次第では、規則導入自体が難しくなる可能性が出てきた。事情に詳しい5人の関係者が明らかにした。
バーゼル3最終化実施規則は、資産1000億ドル超の銀行の資本構成を抜本的に変更するもので、融資やトレーディングを制約しかねない。銀行業界は、資本上乗せの必要はないと主張し、積極的な規則導入反対の政治活動を展開している。
そこで鍵を握るのが大統領選だ。民主党候補のハリス副大統領は、銀行規制強化を求めている。しかし共和党候補のトランプ前大統領が勝てば、次期政権はバーゼル3最終化実施規則を白紙撤回するか、劇的に緩和するとの見方が多い。
一方、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が先月、この規則が重大な枠組み変更である点を踏まえ、手直しをして再提案することが「不可欠」と表明。業界でも、規則は修正案が出されるとの観測が広がっている。
ただ関係者の話では、FRBと他の規制当局の間で規則修正に向けた調整が円滑に進むかどうか不透明感が残るという。
さらに当局間で最速ペースとなる9月に合意が成立したとしても、複雑な規則の常として銀行業界に対して少なくとも60日の意見公募期間を設定する公算が大きく、そうした意見を吸い上げて、来年1月に次期政権が誕生する前に規則案の最終版を策定するのはほぼ不可能とみられている。
2人の関係者は、複数のFRB幹部は規則再提案が必要だとするパルエル氏の見解に同意していると述べた。背景には、そうすれば銀行業界が、当局が適切な手続きを踏んでいなかったとの理由で規則撤廃を求める訴訟を起こすリスクを減らせるとの思惑もある。
通貨監督庁(OCC)と連邦預金保険公社(FDIC)は再提案に反対しているものの、FRBなしで規則を強引に取りまとめるというやり方は過去にほとんど例がない。
規則のある程度の修正を働きかけている業界団体、ストラクチャード・ファイナンス・アソシエーションのマイケル・ブライト最高経営責任者(CEO)は「現時点で当局が規則を取りまとめるのは悪手だというのが私の意見だ。大統領選前に策定が終わるとは考えていない」と語った。
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