石破首相、外交で弾み期待=通常国会、続く試練
時事通信 / 2025年1月11日 18時41分
【ジャカルタ時事】石破茂首相は11日、マレーシア、インドネシア訪問の日程を終えた。覇権主義的な中国の動向を踏まえ、安全保障分野の連携強化に腐心。今後はトランプ次期米大統領との会談実現に全力を挙げる。「石破外交」の成果を弾みに、少数与党で迎える24日召集予定の通常国会を乗り切りたい考えだが、課題はなお山積。首相の試練は続きそうだ。
「不透明さを増す国際情勢の中にあって、東南アジアとの信頼関係を強化することは極めて重要だ」。首相は11日、インドネシアで記者団の取材に応じ、今回の成果をこう説明した。
国際会議以外で首相の外国訪問は就任後初めて。マレーシアとインドネシアはいずれも、東南アジア諸国連合(ASEAN)の有力国だ。中国もこの地域に浸透を図る中、首相は「自由で開かれたインド太平洋」実現の重要性や、経済協力の推進を確認。政府関係者は「両国との関係を一段階引き上げることができた」と意義を強調した。
首相は、首脳外交を加速させる意向。当面の目標は早期の米国訪問だ。予測困難なトランプ氏と信頼関係を構築し、日米関係の緊密さを内外に印象付けることを狙う。台湾周辺で軍事演習を繰り返す中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮など、日本周辺の厳しい安保環境について認識の共有も図りたい考えだ。
「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、ASEANへの関心が薄いとされる。首相には、米国と東南アジア各国の「橋渡し役」を務め、自身の存在感をアピールする思惑も透ける。
首相は当初、20日の就任式に先立つ訪米を模索した。トランプ氏側からも今月中旬の会談を打診されたが、政権発足前では十分な成果が望めないと判断して見送った。早ければ2月の正式会談を目指すが、通常国会の開会後は2025年度予算案の審議などで日程が窮屈になるため、調整は難航も予想される。
通常国会を巡ってはまた、政治改革で積み残しとなっている企業・団体献金の扱いが、火種としてくすぶる。禁止を訴える立憲民主党などと、存続を求める自民党の溝は深い。国民民主党が主張する「年収103万円の壁」見直しや、日本維新の会が重視する教育無償化も、落としどころは見えない。
今夏には参院選と東京都議選が控える。内政に追われるのは必至で、外交にどこまで力を注げるかは不透明だ。
[時事通信社]
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