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「活動の意義伝えたい」=ボランティア「管理」に懸念も―団体幹部ら、継承への思い・阪神大震災30年

時事通信 / 2025年1月17日 4時20分

 阪神大震災の起きた1995年は「ボランティア元年」と呼ばれる。自主的に被災地に駆け付けて支援する活動は、その後の災害でも定着し社会に浸透した。30年前から活動を続けてきた団体幹部らは、事前登録といった自治体の「管理」などに懸念を抱いているといい、改めて「ボランティアの意義を伝えたい」との思いを強くしている。

 「日本災害救援ボランティアネットワーク」理事長の渥美公秀・大阪大教授(63)は震災当時、神戸大の助教授で、兵庫県西宮市にあった自宅で被災した。無事だった家族は県外に避難したが、渥美さんは市内にとどまり、ボランティア活動を始めた。

 許可を得てかき集めた倒壊家屋の木材をまきにし、小学校の避難所で約3週間風呂をたき続けた。「その時は必死で、目の前のことだけしか考えられなかったが、風呂に入りに来る人との触れ合いこそが大事だったと後で分かった」

 当時、市役所に集まったボランティアが自然に組織化されて前身となる団体が発足。現在では活動を海外にも広げている。渥美さん自身も災害社会論の研究をする傍ら、東北などの被災地で足湯を提供し、被災者に寄り添う活動を続けている。

 渥美さんは、被災地での自由な支援がしにくくなってきており、自治体がボランティアを業者のように捉えているのではないかと感じることがあるという。自分本位で特技を生かそうと焦らず、被災者にただ寄り添うことが「本質」と話し、「そこに行き、そばにいるだけでいい。ボランティアには、被災で引き裂かれた人のつながりを紡ぎ直す力がある」と意義を強調した。

 「じっとしていても仕方ない。すぐそばの人を夢中で助けた」。「被災地NGO恊働センター」顧問の村井雅清さん(74)は神戸市内で被災したが、近くの保育園園長に頼まれ、服や食べ物の配布を手伝った。公園に張ったテントを拠点に、引っ越しの手伝いや子守など、被災者に求められるままに従事したボランティア活動は約2年続いた。

 今も活動に携わる村井さんだが、ボランティアの事前登録など、自治体による「管理」を懸念している。臨機応変にさまざまな支援を行った「元年」が、現在につながっていないと感じている。昨年まで2年連続で開催された「伝承合宿」にも講師として参加し、ボランティアの意義や、継承を訴えた。

 「被災者は十人十色。一人も取りこぼさず救うためには、ボランティアも多様であるべきだ」。村井さんはそう信じている。 

[時事通信社]

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