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インタビュー:次の日銀利上げは12月、年末から国債買いを加速=第一生命・投資本部長

ロイター / 2024年8月26日 14時11分

第一生命保険で投資本部長を務める重本和之・常務執行役員は、日銀の次の利上げは今年12月と2025年度にもう1回あるとの見方を示し、現在抑えめにしている日本国債の買いを米大統領選後に加速させる考えを明らかにした。写真は2010年撮影(2024年 ロイター//Yuriko Nakao)

Tomo Uetake

[東京 26日 ロイター] - 第一生命保険で投資本部長を務める重本和之・常務執行役員は、日銀の次の利上げは今年12月と2025年度にもう1回あるとの見方を示し、現在抑えめにしている日本国債の買いを米大統領選後に加速させる考えを明らかにした。ロイターとのインタビューで述べた。

インタビューは23日夕方に実施した。主なやり取りは以下の通り。

──7月末の日銀の利上げ、8月初めの世界的な市場波乱を受け、展望や運用方針に変更は。

「8月は非常に混乱したが、株も為替もだいぶ戻って『行って来い』の状態。社内で想定シナリオを見直したが、むしろ7月のドル円160円超えの方にやり過ぎ感があり、年度末見通しの水準はそれほど変えていない」

「為替は年度初めの予想は24年度末にドル円145円だったのを147円にした。日経平均株価は当初、年度末4万1500円をみていたが4万2000円とした」

──日米の金融政策と金利の見通しは。

「米国は9月から利下げ、9・11・12月の全会合で利下げすると考えている。マーケットは今、どこか1回は50ベーシスポイント(bp)の利下げを織り込んでいるが、われわれも同じだ。ただ、9月は初回なので25bpだろう」

「米10年金利は当初、年度末4.25%とみていたが4%とした」

「日本については、次は12月に0.5%への利上げがあるとの見方だ。日銀がやっているのはあくまで金融正常化で、その後25年度にもう1回、0.75%までの利上げを想定している」

「日本の10年金利は、4月に年度末1.3%としていたが1.2%とした。30年金利は当初、年度末2.1%の見込みだったが2.3%とした」

──新たなシナリオに基づく運用方針は。

「投資の中心となる30年債については、当社負債の全体の平均予定利率は1.8%ちょっとで、今日(23日)時点の利回りが2.08%なので、今買ってもキャリーはプラスだ。だが、12月に追加利上げ、来年のどこかで0.75%への利上げを前提にすると、2.5%あたりまでの上昇が視野に入る。そこを待っている」

「ただ、2.5%まで上がると思っても、JGB(日本国債)マーケットはそんなに流動性がないので、買い方は2.5%になってから全額とはいかない。今の2%でも少しずつは買うが、(購入時期を)なるべく遅めにして金利上昇を待つ、という話になる」

──円金利は年度末にかけて右肩上がりのイメージか。

「米大統領選があり、非常に不透明感がある。選挙に向けて10月までは金利も株も上がりにくい、ただ結果が出ればどちらが勝っても不透明感がなくなり、金利も株も上がりやすい、との想定を置いている」

「日本の金利は米国に引っ張られる傾向があり、やはり10月ごろまで上がりにくいとの見方だ。11月に大統領が決まれば政策のセットも見えるので、マーケットがプライシングし直すことになるだろう」

「このため国内債は、大統領選が終わって不透明感が払拭された年末以降のタイミングで買いを加速する。(30年金利は)2.5%が上限だと思っているが、JGBは流動性がないので、そこは待たずに買っていく。現状、次年度以降に買いを持ち越すことは考えていない」

──外債投資、また為替ヘッジの考え方は。

「円キャリー取引はいったん解消されたとみられ、極端な円安をもたらす要因の1つはなくなったが、NISA(少額投資非課税制度)や事業会社の実需についてはまだ分からない。金利差では本来もう少し円高水準にいるべきだが、実需マネーがどれだけ出ていくかとの綱引きだろう」

「オープン外債は160円に向かって一気に円安が進んだ際、160円を超えたら介入があるとの読みから、その手前で売却した。これは運用がうまくいったところだ」

「ヘッジ外債は、ヘッジコストが高く長期金利は低い状態が解消する見込みが今後1年などの単位で立たない中、ネガティブキャリーなので売却を進めた。ヘッジコストをかけて買うという話には全くならない」

「海外債券は欧米の社債を買う。クレジットスプレッドが日本より厚い欧米の社債を買って通貨スワップで全部のキャッシュフローを円転すると、ネームは海外企業だがキャッシュフローは全部円という『円建て外債』が出来上がる。これだけは22年度下期から続けている」

──日本株は。

「国内株式は今後3年間で1.2兆円売却する計画を公表しており、相場を見ながらスケジュール通りに進んでいる」

「それとは別に(令和のブラックマンデーとなった)8月5日には運用企画部のタクティカル・アセットアロケーションとして買いを入れた」

──金利のある世界を迎えて運用に変化は。

「30年国債で負債コストを賄えるなら、もうポートフォリオをそれで固めしまえば良いかと言えば、他社との競争もあるので、リスクリターン効率の良い運用を常に行う必要がある。ただ、いろいろ検討した結果、他に良いものがない時にそれ(30年国債)を買えばリスクを取らずにプラス、というものが久々に出てきたのはやはり大きい」

(インタビュアー:植竹知子、Brigid Riley 編集:内田慎一)

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