インテル取締役タン氏の辞任 背景にCEOらとの確執=関係者
ロイター / 2024年8月28日 9時26分
8月27日、米半導体大手インテルの取締役だったリップ・ブー・タン氏が突然辞任した裏に、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO、写真)や他の取締役との間で人員規模や企業文化、人工知能(AI)戦略などさまざまな問題で意見対立があったもようだ。6月4日、台北で撮影(2024年 ロイター/Ann Wang)
[サンフランシスコ 27日 ロイター] - 米半導体大手インテルの取締役だったリップ・ブー・タン氏が突然辞任した裏に、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)や他の取締役との間で人員規模や企業文化、人工知能(AI)戦略などさまざまな問題で意見対立があったもようだ。事情に詳しい3人の関係者が明らかにした。
半導体開発用ソフトウエアのケイデンス・デザイン・システムズの経営トップを務めた経験があるタン氏が、インテル取締役会に加わったのは2年前。インテルが再び世界の半導体市場のリーダーとなる取り組みの一環で、昨年10月には取締役会がタン氏の権限を拡大し、製造事業の監督を委ねた。
しかし関係者の話では、タン氏は次第にインテルの従業員数の肥大化や、受託生産に対する姿勢、リスクを嫌う官僚的な企業文化に不満を募らせていったという。
タン氏や何人かのインテル元幹部の目には、同社の人員規模は膨らみ過ぎているように見えた。例えば2人の関係者によると、幾つかのプロジェクトに投入されるチームの人数は、ライバルのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などと比べて最大で5倍にも上った。
またタン氏は周囲に、インテルは中間管理職が何層にも積み重なって官僚的になっているので、サーバーやデスクトップコンピューター向け半導体の開発にブレーキがかかっているとの見方も示していた。
従業員数がエヌビディアと台湾積体電路製造(TSMC)の合計よりも多くなっているインテルについては、元幹部も慢心と非競争的な企業文化に陥り、共同創業者アンディ・グローブ氏が掲げた「偏執狂(パラノイア)のみが生き残る」という厳しい精神のかけらもなくなってしまったと嘆いている。
インテルは今月、従業員の15%余りを削減すると発表したが、この計画もタン氏と他の取締役に緊張をもたらした。タン氏は、生産過程に貢献していない中間管理職に的を絞った削減を望んでいたとされる。
タン氏に近い人物の話では、製造部門をより顧客中心型に改革し、不要な官僚的手続きを撤廃するために同氏が提案した方法に、取締役会が耳を傾けなかったことへの不満も強めていた。
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