市場動向を注視していくのが、まず取り組むべき課題=氷見野日銀副総裁
ロイター / 2024年8月28日 15時27分
8月28日午後、日銀の氷見野良三副総裁(写真)は、山梨県甲府市での金融経済懇談会後の記者会見で、当面は金融市場の動向を極めて高い緊張感を持って注視していくのが「まず取り組むべき事柄」と述べた。写真は昨年6月、都内で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takahiko Wada
[甲府市 28日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は28日午後、山梨県甲府市での金融経済懇談会後の記者会見で、当面は金融市場の動向を極めて高い緊張感を持って注視していくのが「まず取り組むべき事柄」と述べた。市場動向の分析に当たっては、先行きを見極めることが重要だとの認識を示した。
氷見野副総裁は「現状、金融資本市場は引き続き不安定な状況にある」と指摘。その上で市場変動の経済・物価への影響や7月の利上げの影響、米経済の先行きなどを見ながら「経済・物価の見通しが実現する確度が高まっていくなら、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて強調した。
市場動向の見極めに当たっては「(市場の)安定性を損ないそうな要因を考えた上で、その先をできるだけ読むようにしていくしかやりようがない」と語った。
市場の安定化が次の利上げの前提になるのかとの質問には、政策運営は様々な要因を考慮して行っていくものであり、論理式に当てはめて答えを出すような機械的な運営はしないと述べた。市場動向を注視する期間がどの程度になりそうなのか「イメージは持っていない」とも話した。
懇談会では足元の円高に伴う中小企業経営への影響について、出席者からおおむねプラスの面が大きいのではないかとの話を聞いたという。
5日の日本株の大幅下落は米経済の減速懸念が1つの発端となった。氷見野副総裁は「(米国の)インフレを克服するにはかなり深い(経済の)減速がなければならないというシナリオには引き続きなっていない」と話し、「メインシナリオは引き続きはソフトランディング」と述べた。
この日午前のあいさつで触れた中立金利については「特定の水準やレンジを意識して考えていることはない」とし、政策運営を進めていく中で経済・物価の反応を見ながら政策金利の道筋を探っていく姿勢を示した。
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