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アングル:国連IPCがスーダン飢餓拡大に警告、2460万人が緊急支援必要

ロイター / 2024年12月29日 8時37分

 12月24日、飢餓の状況を監視する国連組織は、スーダンで飢饉(ききん)が5つの地域に拡大し、5月までにさらに他の5つの地域に拡大する恐れがあると報告した。写真は、避難民の女性が生きるために食べる野生の果物。6月22日、スーダンの南コルドファンで撮影(2024年 ロイター/Thomas Mukoya)

Ryan McNeill Nafisa Eltahir Lena Masri Khalid Abdelaziz Deborah Nelson

[ロンドン/カイロ/ドバイ 24日 ロイター] - 飢餓の状況を監視する国連組織は24日、スーダンで飢饉(ききん)が5つの地域に拡大し、5月までにさらに他の5つの地域に拡大する恐れがあると報告した。スーダンの現状は現代で最悪の食糧危機の一つとされるが、内戦当事者が支援を妨害し続けているという。

国連の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉評価委員会は、スーダンでの飢饉状況について新たな報告書を発表した。それによると、北ダルフール州の州都アルファシールに設けられたアブシュークとアルサラームの避難民キャンプ、および南コルドファン州の2地域で飢饉状態が確認された。また、昨年8月に初めて確認された北ダルフール州ザムザム避難民キャンプでも飢饉状態が続いているという。

同委員会は、5月までに北ダルフール州のウムカダダ、メリト、アルファシール、タウィーシャ、アルライトの5地域に飢饉が拡大する可能性があると予測している。また、国内の他の17地域も飢饉のリスクを抱えていると警告している。

IPCの試算によれば、2月までの期間に支援を必要とするスーダン国民は約2460万人で、これは人口の約半数に相当する。2024年6月の試算では2110万人とされ、大幅な増加傾向にある。

今回の報告書は、スーダン政府によるIPCの活動への妨害にもかかわらず公表された。IPCは、食糧安全保障上の危機を分析し、最も支援が必要な地域に援助を届けることを目的としている。スーダン政府は23日、IPCの活動への参加を停止すると発表し、IPCの報告書は「スーダンの主権と尊厳を侵害する」と批判した。

IPCは、西側諸国からの資金提供を受け、19の人道支援団体や政府間組織の監督を受けている独立機関だ。飢餓の監視と軽減を目的とし、各団体が飢饉や大規模な飢餓に迅速に対応できるよう、進行中の食糧危機に対する警鐘を鳴らすことを目指している。

スーダンでは、2023年4月から政府軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との内戦が続いている。政府軍側は、飢饉が認定されれば国境の管理の緩和を求める外交的圧力が強まり、RSFに対する外国の関与が拡大することを警戒しており、認定に強硬に反対している。

スーダン農相は23日、IPCと飢饉評価委員会、および各国の外交官に書簡を送付。IPCの報告が低栄養状態に関する最新データや、昨夏の雨季における穀物生産性を評価していないと指摘した。また、作物の生育は順調であるとし、RSF支配下の地域におけるIPCのデータ収集能力に「深刻な懸念」があると述べている。

IPCのシステムでは、現地政府が主導する「専門作業部会」がデータを分析し、各地域を「食料が十分にある」から「飢饉」までの5段階に分類した報告書を定期的に発表している。

しかしロイターが確認した資料によると、スーダン政府は今年10月、政府主導の分析作業を一時停止。その後作業は再開されたものの、専門作業部会は飢饉の認定を見送った。24日に発表された飢饉評価委員会の報告書では、政府主導の作業部会が低栄養状態に関する重要なデータを分析から除外したとされている。

さらにロイターによる最近の調査では、スーダン政府が今年に入ってからIPCの活動を妨害し、ザムザム避難民キャンプにおける飢饉認定を数カ月遅らせていることが明らかになった。同キャンプでは、避難民が生き延びるために木の葉を食べる状況に追い込まれている。

内戦の影響でスーダンでは食糧の生産と取引が大幅に縮小し、1200万人以上の国民が自宅を追われ、世界最大級の避難民危機が発生している。

政府と対立するRSFは、通常の商取引や人道支援によって供給される食料を略奪し、農作業を妨害。一部の地域を包囲している。このため食料の取引コストが上昇し、食品価格は法外なレベルに達している。一方でスーダン政府も、複数の地域で人道支援団体のアクセスを妨げている。

国連世界食糧計画(WFP)のジャンマーチン・バウアー氏は、「食料もトラックも用意されており、現地要員もいる。欠けているのは支援を届けるための安全な経路だけだ」と述べ、支援の困難さを訴える。

RSFは、ロイターの問い合わせに対し、略奪行為に関する批判を「根拠がない」と否定した。RSFは、自らの支配地域で数百万人が「飢餓の脅威」に直面しており、「支援物資の供給を可能にすること」に注力していると述べた。

一方、スーダン政府は、支援提供における問題の原因をRSFにあると非難している。

ロイターが取材した支援関係者や外交官10数人は、8月にIPCがザムザム避難民キャンプでの飢饉状態を認定して以降、スーダン政府と人道支援団体の間で対立が深まっていると語った。情報提供者によれば、政府が支援の実施を意図的に遅らせており、支援物資の輸送はスーダン軍将校と軍情報機関の厳しい監視下に置かれているという。国際的な支援が実施されるかどうかは、国軍の政治的・軍事的な判断次第であるとされている。

スーダン政府による支援関係者へのビザ発給は時間がかかり、多くの国際NGOが影響を受ける。特に、飢饉の影響が深刻なダルフール地域での活動について、政府は難色を示しているという。この地域は主にRSFの支配下にある。

匿名を条件に取材に応じた支援団体の幹部は、スーダン政府が「ダルフールには活動を正当化するほどのニーズがない」とし、活動を続ける場合はビザ発給を期待しないようにと警告したと述べている。

スーダン国内で国際NGOを代表するINGOフォーラムのデータによると、国連組織以外の支援関係者へのビザの発給待ち件数が過去4カ月で急増し、承認率は急落していることが明らかになっている。この状況は、現地での人道支援活動に大きな障害をもたらしている。

以前、スーダン政府はビザ申請の大多数が承認されていると主張していたが、現在は、ビザ発給の妨害に関する具体的な質問に対して回答を避けた。

スーダン政府は10月、ダルフール地域において、国連の人道支援を担当する最高責任者が政府の許可なしに地域内を移動したとして、国連に対しその解任を要求した。情報提供者3名によると、スーダン政府は「解任に応じなければ国外追放する」と国連に伝えたという。国連はこの要求に応じ、責任者を解任した。

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