中国の「一帯一路」に失速リスク、参加国が反発=米研究所
ロイター / 2021年9月29日 18時57分
9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所は、中国の広域経済圏構想「一帯一路」について、失速するリスクがあるとの報告書をまとめた。北京で2019年4月撮影(2021年 ロイター)
[上海 29日 ロイター] - 米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所は29日、中国の広域経済圏構想「一帯一路」について、失速するリスクがあるとの報告書をまとめた。参加国の間で反発が起きていることや、債務が拡大していることが理由という。
共著者のブラッド・パークス氏は「高額予算、汚職、債務の持続可能性に対する懸念を理由に、大規模な一帯一路プロジェクトを棚上げする低・中所得国が増えている」と指摘。
エイドデータ研究所によると、マレーシアでは2013ー2021年に総額115億8000万ドルのプロジェクトが中止された。カザフスタンでも15億ドル、ボリビアでも10億ドル以上のプロジェクトが中止になった。
中国外務省のコメントは取れていない。
エイドデータ研究所は、中国が過去18年間に165カ国で支援した総額8430億ドルのプロジェクトを検証。中国が1年間に約束する国際開発金融は、現在、米国の2倍に達しているという。
だが、パークス氏によると、対中感情が大きく変化したため、参加国が中国と密接な関係を維持することが難しくなっている。
報告書は、2013年の一帯一路の開始以降、中国が支援するプロジェクトが停止・中止される例が増えており、カザフスタン、コスタリカ、カメルーンなど「買ってから後悔する」国が相次いでいると指摘。
信用リスクも高まっており、多くの低・中所得国では、中国の債務に対するエクスポージャーが国内総生産(GDP)の10%を超えている。
報告書によると、一帯一路のプロジェクトの35%では汚職、労働法違反、環境汚染、抗議活動といった問題が発生。
パークス氏は、主要7カ国(G7)が一帯一路に対抗して打ち出した途上国向けのインフラ支援構想「ビルド・バック・ベター・ワールド(B3W)」の登場で、選択肢が増え、一帯一路の一部の大規模プロジェクトがとん挫する可能性があるとの見方を示した。
今回の報告書は、フォード財団や米国際開発庁(USAID)など、官民さまざまな機関から資金提供を受けて作成されたが、エイドデータ研究所は調査は独立したもので、透明性が高く、資金提供者の意向には左右されていないと説明している。
この記事に関連するニュース
-
IMF借款、上乗せ金利が中低所得国に重圧 債務危機リスク深刻化も
ロイター / 2024年4月25日 14時51分
-
お金は知っている 習政権の「一帯一路」攻勢再激化 中国の内需テコ入れより対外膨張策 新規受注が急上昇、海外インフラ建設プロジェクト
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月19日 6時30分
-
自然保護債務スワップで気候変動対策に1000億ドル調達も=報告
ロイター / 2024年4月15日 15時2分
-
ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクライナの次」に侵略すると脅される
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月9日 17時41分
-
フィリピン「脱・中国」へ…関係悪化で融資交渉中止、次の一手を模索
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月8日 7時15分
ランキング
-
1「プーチンおやじ」の機嫌を取り、「張り子のクマ」ロシアと抱き合う中国の本音
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月26日 17時4分
-
2ガザ休戦案で協議か=エジプト代表団がイスラエル入り
時事通信 / 2024年4月26日 23時11分
-
3元大物映画プロデューサーの有罪判決破棄 告発の女優ら激怒 米国
AFPBB News / 2024年4月26日 16時3分
-
4「中国が米大統領選干渉」 ブリンケン国務長官
共同通信 / 2024年4月26日 23時32分
-
5米誌のロシア人記者拘束=「ブチャ殺害」SNS転載で
時事通信 / 2024年4月26日 22時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください