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アングル:インフレ高止まりの要因は「みかじめ料」、メキシコ中銀を悩ます難題

ロイター / 2024年8月30日 15時37分

 通貨の変動や供給ショックなどは世界の中央銀行に共通する重要課題だが、メキシコ中央銀行(写真)の場合、これらに加えて特有の問題が存在する。全国に暗躍する強力な麻薬カルテルが経営者らに強要する「みかじめ料」の問題だ。4月26日、メキシコ市で撮影(2024年 ロイター/Henry Romero)

Noe Torres

[メキシコ市 27日 ロイター] - 通貨の変動や供給ショックなどは世界の中央銀行に共通する重要課題だが、メキシコ中央銀行の場合、これらに加えて特有の問題が存在する。全国に暗躍する強力な麻薬カルテルが経営者らに強要する「みかじめ料」の問題だ。

恐喝ビジネスを新たな収入源にしようと牙をむいているためで、国内経済に深刻な影響を及ぼしている。思わぬ結果の1つが容易に沈静化しないインフレだ。

ロイターが取材した、ライムやトルティーヤなどの販売、生産にかかわる約20人の零細業者は定期的にみかじめ料を払わされていると証言した。

企業経営者団体の主要メンバーらは、みかじめ料を巡る問題が存在することを認め、商品価格の一部では約20%相当分が該当するとの推測を明らかにした。

<困難なインフレ目標>

「みかじめ料」の具体的なデータは不足しているものの、政府や中銀がますます目が離せない問題になっている。

メキシコのインフレ率は2022年に20年ぶりの高い伸びとなる8.77%に達し、今年8月前半は5.16%と鈍化したものの、中銀のインフレ目標よりも依然として随分と高い。中銀は今月初めに利下げしたが、先行きのインフレ率が従来見通しよりも高くなりかねないことを示唆した。

中銀のヒース副総裁は先週、ロイターの書面インタビューに応じ、「みかじめ料は、中銀が沈静化に取り組んでいるインフレの要因として重要なだけでなく、その影響が強まっていることを示す事例情報が中銀にも十分届いている」と述べた。

さらに副総裁は、企業恐喝がメキシコ経済にとって構造的な問題と認識する必要性を強調し、中銀が掲げる3%の「インフレ目標達成を困難にしている」と言い切った。

<家計に影響も>

メキシコでは、麻薬カルテルを積極的に取り締まらなかったロペスオブラドール前政権下で恐喝事件の報告が急増した。

政権が発足した18年、恐喝の被害者として記録された人数は6895人だったが、22年には過去最高となる1万1039人に膨れ上がった。23年にはわずかに減少したものの1万946人に上った。

ロガ・キャピタルのアナリスト、ヤコボ・ロドリゲス氏は麻薬カルテルによる恐喝について「インフレに影響を及ぼし、経済の力学から外れた影響を生み出している」と指摘。メキシコ中銀は、こうした問題を抱えていない他の中銀よりも、物価安定の取り組みが難しくなっているとの見方を示した。

パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、アンドレス・アバディア氏は「恐喝の実態は深刻なレベルに達しており、影響は直接恐喝された企業だけでなく、消費者の家計にも及んでいる」と話している。

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