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大手金融グループの監督を強化、金融庁が新行政方針

ロイター / 2024年8月30日 17時17分

 8月30日、金融庁は2024事務年度の行政方針で、大手金融機関やネット上でサービスを行う企業グループが業態や国境を越えてビジネスを展開していることを踏まえ、大手金融グループの経営に対する監督体制を強化すると公表した。写真は2014年8月、都内で撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)

Miho Uranaka

[東京 30日 ロイター] - 金融庁は30日、2024事務年度の行政方針で、大手金融機関やネット上でサービスを行う企業グループが業態や国境を越えてビジネスを展開していることを踏まえ、大手金融グループの経営に対する監督体制を強化すると公表した。「金利ある世界」への移行が進む中で、国内外の金融政策、金利動向などを注視し、その動向が金融システムに与える影響を分析する。増大するサイバーセキュリティに関するリスクについても取り組みを強める。

 金融庁は毎年この時期に新たな事務年度(今年7月から来年6月)の行政方針を公表、重点施策となる取り組みを示している。銀行、証券、保険会社だけではなく、暗号資産業界や決済業者などへの監督、モニタリング方針も含まれる。

新方針では、日本の金融機関は、総じて充実した資本や流動性を有しているとした上で、「金利ある世界への移行が進む中で、国内外の経済・金融市場をめぐる不確実性や経済社会の構造的な変化にも直面している」と指摘。国内外の金融政策や金利動向が金融システムの安定性に与える影響を分析し、業態の枠を超えた課題に対応していく考えを示した。

金融機関のグループ規制が緩和されてきたことも踏まえて、金融庁内でも関係部門間の連携をさらに強めるなどし、グループ経営に対する監督体制を強化する。

メガバンクを含む主要行等の信用リスクについては、不動産業向けや事業再編資金などの融資状況を確認。有価証券運用や外貨流動性に関するリスク管理体制も検証して、高度化を促す。メガバンクをはじめグローバルに事業を拡大する動きが広がる中、内部監査や本社による海外拠点の管理を含むガバナンス体制についても対話を進める。

日銀と共同で行うストレステストは、引き続き実施する。

政策株式の保有意義や縮減計画の進捗を確認するとともに、株式の保有目的を政策保有から純投資に変更した際の開示事項の追加についても検討するとした。企業と投資家の対話を促すため、スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)の見直しも行い、その上で機関投資家や議決権行使助言会社による順守状況についても検証する。

資産運用業の改革にも力を入れる。岸田文雄政権が掲げる資産運用立国の実現に向けて、資産運用業の高度化に取り組む。大手金融機関グループに対して運用力の向上やガバナンス改善・体制強化を図るためのプランを策定するよう要請しており、さらなる取り組みを求めるという。

人口減少や少子高齢化など厳しい事業環境が続く地域金融機関に対しては、企業の技術力や成長性などを担保に行う事業性融資の浸透を図るとともに事業モデルの持続可能性を確保する方策について対話する。大きな市場変動への対応方針についても確認していく。

証券会社については、国内外において事業拡大が進む中、個々のビジネスモデルについての対話を通じて事業戦略に見合うガバナンスやリスク体制の高度化を求める方針だ。

中古車販売大手のビッグモーターによる保険金の不正請求問題や大手保険会社が保険料の事前調整を行っていた問題などを踏まえ、保険市場の信頼の回復に向けた取り組みも強化する。

具体的には、損害保険会社の大規模代理店に対する指導の実効性の向上や自社商品の取り扱いを誘因する便宜供与の解消、適切な保険金支払い管理体制などを調査・分析し、監督指針の改正や業界ガイドラインの策定などを進めるとした。

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