川崎重工の社員が自殺 遺族が損害賠償を求めた裁判で訴えを棄却

　川崎重工業の男性社員が赴任先の中国で自殺したのは、会社が過重な業務やストレスを放置したためだとして、遺族が損害賠償を求めていた裁判で、神戸地裁は遺族の訴えを退けました。

　訴状などによりますと、川崎重工業に務めていた当時３５歳の男性は２０１３年、単身で出向した中国の関連会社でうつ病を発症し、その後、宿舎から飛び降りて死亡しました。

　遺族は、過重な業務やストレスを放置したとして、会社におよそ１億円の損害賠償を求める訴えを起こしていました。

　これに対し川崎重工業は、男性が酒と風邪薬などを同時に摂取して転落死した、などと主張していました。

　神戸地裁は１５日、「男性社員は自殺したものとみられるが、業務が過重であったと言うことは出来ず、会社にはそれを軽減する義務もなかった」などとして、原告の主張を退ける判決を言い渡しました。

　判決後に会見した原告の妻は、「戸惑っていて受け入れがたいです。泣き寝入りはしたくありません」などと語りました。

　弁護団は、「労災認定がされていることを無視した不当な判決だ」として、近日中に控訴する方針です。