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生還した「囚人番号3006」 アサド政権下の拘束語る

AFPBB News / 2024年12月25日 19時44分

シリア北部イドリブ県サルマダの自宅で、母親と並ぶガジ・モハメド・モハメドさん(2024年12月14日撮影)。(c)OZAN KOSE/AFP

【AFP=時事】シリア人のガジ・モハメド・モハメドさん(39)を拘束した軍の情報将校たちは、身分証明書を取り上げ、本名や素性は忘れろと命じた──「今からお前は3006番だ」

モハメドさんはそれから5か月半にわたって、アサド政権下の刑務所に収監された。処刑の恐怖に常にさらされ、体重は40キロ減った。

シリアでは12月に入り、イスラム主義組織タハリール・アルシャーム機構(HTS)が主導する旧反体制派が偏執的で残虐なアサド政権を打倒して以降、モハメドさんのような元受刑者の多くが証言を始めた。そこには過去数十年にわたってシリア国民を支配してきた絶望の深さがにじんでいる。

シリア北西部アレッポ近郊の町サルマダにあるモハメドさんの自宅を訪れると、ストーブの前でクッションに寄りかかり、別人のように痩せたという体を支えていた。ひげを生やし、黒髪はきっちりと刈り上げていた。



モハメドさんは、政治に関わったことはなく、兄弟と一緒に生計を立てている単なる商人だと話した。

だが、短期出張先のダマスカスで捕らえられ、生き地獄に突き落とされることとなった。

「すべての希望を失う瞬間がある」と言うモハメドさん。「最後のほうは、ただ死にたいと考えるようになり、処刑されることを待つようになっていた。苦しみから解放されると思うと、うれしいような気持ちにすらなっていた」

モハメドさんを拘束したのは、アサド政権下で絶大な力を行使していた秘密警察だった。彼は両手を後ろ手に縛られ、友人の医師と一緒に連行された。

なぜ拘束されたのかは分からなかった。ただ、今月8日にアサド大統領を電撃作戦で打倒した旧反体制派の拠点、北西部イドリブ県の出身だったということがその理由だったのではと考えている。

手錠をかけられ、目隠しをされたモハメドさんは、各国大使館や国連(UN)事務所、治安当局の本部などがあるダマスカスの高級地区マッジにある拘置所へ連行された。その建物の奥深くで殴打の日々が始まった。


■手首からつるされた

モハメドさんは数日間、独房の鉄格子に手首からつるされた。最初は床に足が届かない高さにつるされ、その後、足がようやく床に触れる高さにまで下げられた。殴打され、食べ物はほとんど何も与えられなかった。

接触した人物は看守だけだった。

「『兄が反乱軍に加わったことを告白しろ』と言われた」

「正直に言うと、私は彼らが聞きたがっている通りに話した。本当は(反乱軍になどは加わっておらず)、ここサルマダで援助団体を運営している実業家以外の何者でもないが」

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