世界平均気温の上昇抑制幅「2度目標は死んだ」 著名気候学者
AFPBB News / 2025年2月5日 17時13分
【AFP=時事】世界平均気温の上昇幅を産業革命前比で2度未満に抑えるとの温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で掲げられた目標は、今や達成「不可能」だとする厳しい分析結果を著名な気候学者らが発表した。
学術誌「Environment: Science and Policy for Sustainable Development(環境:持続可能な発展のための科学と政策)」に掲載されたジェームズ・ハンセン氏らの研究論文は、地球の気候はこれまで考えられていた以上に温室効果ガス排出量の増加の影響を受けやすいと結論付けている。
ハンセン氏は、米航空宇宙局(NASA)のトップを務めた気候科学者で、1988年に米議会で「地球温暖化が進行している」と発表したことで知られる。
ハンセン氏ら論文著者は、危機をさらに悪化させているのは、海運業界が排出するエアロゾルによる大気汚染が最近減少していることだと主張している。エアロゾルには、太陽光を遮断し、温暖化をいくらか相殺する働きがある。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した最も野心的なシナリオでは、世界平均気温の上昇を産業革命前比で2度未満に抑えられる可能性を50%としているが、ハンセン氏は4日の記者会見で「あり得ないシナリオだ」と主張。
「このシナリオは今や不可能だ」「2度目標は死んだ」と訴えた。
ハンセン氏らは、化石燃料の燃焼によって既に大気中に放出されている温室効果ガスの量を考えると、温暖化が進行するのは今や確実だと指摘している。
世界平均気温の上昇は、数年間は産業革命前比1.5度以上で推移し、2045年までには約2度になると予測。今後数年でサンゴ礁は破壊され、より激しい嵐が起きやすくなるとしている。
また、極地の氷が解けて北大西洋に流入することで、大西洋南北熱塩循環(AMOC)が今後20~30年以内に停止するとも予想している。
AMOCは地球上のさまざまな場所に暖かい空気をもたらし、海洋生物の維持に必要な栄養素も運んでいる。
AMOCの停止は「海面が数メートル上昇するなどの重大な問題を引き起こす。そのため、われわれはAMOCの停止を『後戻りできない地点』と呼んでいる」と同論文は警告している。
【翻訳編集】AFPBB News
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