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SNSで炎上「産休クッキー」は本当に配慮が足りないのか?産休をめぐる「女って怖い」実話も

オールアバウト / 2024年4月27日 22時5分

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SNSで「産休クッキー」が話題になっている。好意的に受け止める人もいれば、妊活中だったり子どもができない人に対して配慮が足りないという声もある。

X(旧ツイッター)で「産休クッキー」が話題になっている。これは産休をとる人が、赤ちゃんのイラストとともに「産休をとらせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」というメッセージが書かれた個包装のクッキーを職場で配ったという話。

「産休クッキー」は配慮が足りない?

「いい話」「クッキーかわいい」という声がある一方で、「妊活している人、子どもができない人への配慮が足りない」という声も聞かれた。またそんな話かと辟易(へきえき)する声も多かった。

「そんなこと言ったら、結婚式さえできなくなる」「社会人なら、にっこり笑ってありがとうともらっておけ」という意見もあって思わず頷いた。

クッキーを配った人は、妊娠を直接自分の口で発表する機会もないし、仕事上迷惑をかけるのも明らかだからというシンプルな思いだったのかもしれない。だが、産休や育休は労働者の権利。それについて文句を言うのはおかしいし、そもそも職場内に「お互いさま」という意識がないなら、それは企業側の体制ができていないからということになるだろう。

そして他人の幸せを素直に受け取れない人がいるのも、今の世の中を象徴しているのかもしれない。

独身女性上司が気の毒になったけど

「うちの部署でもありましたよ。産休に入る20代の後輩が、みんなにクッキーを持ってきたことが。ただ、彼女は『いわゆる産休メッセージの入ったクッキーって、なんだかちょっと……と思ったので』と、行列ができる有名店のクッキーをくれたんです。相当前から予約したみたい。これにはみんなテンションが上がりましたね」

ミチコさん(35歳)はそう言った。40代後半の女性上司も「これ、食べてみたかったのよ」とうれしそうだったという。

「ところがあとから、周りでは『さすがに上司は悔しそうだったよね』『見ていて痛々しかったわ』という声がありました。そんなことあるわけないんですよ。その上司、昔から結婚には否定的だったんですから。上司のことをよく知らない人たちが言っているだけ。そういうことがあるから、周りの男性社員たちは『女って怖い』とドン引きするんですよ」

とはいえ、ミチコさんは「産休クッキー」には賛同しないという。職場でそこまで気を遣ったら、産休に入る人はみんなやらなければいけない空気ができあがってしまう。自身の病気や親の介護で休職する人もいるのだから、いちいちそこまで気を遣う必要はないだろう、と。

「たぶん、うちは今後、産休クッキーは禁止になると思います。個人がそんなふうに気を回さないと仕事や人間関係がうまくいかないような職場は困りますよね」

産休をとる人の気持ちもわかるが、職場としてはそこまでする必要はないという共通認識ができればいいのだが……。

個人の自由だから「大賛成」との声も

一方で、「産休クッキー、大賛成です」という声も。

「いいじゃないですか、こういう気遣いができる人が職場にいるのは」

マリさん(40歳)はそう言う。彼女自身は2児を育てながらの共働き。自身も時短で仕事をしていた時期があり、周りに迷惑をかけた思いは残っている。

「私のときもこういうのがあれば使いたかった。自分の口でメッセージを伝えろという声もあるけど、そうなると重いんじゃないでしょうか。クッキーをさらっと配って、さらっと産休に入るなんてセンスいいと思いますけどね」

「産休クッキー」若い社員はどう感じるか?

だが、マリさんの同期であるミユキさんは、産休クッキーには大反対。ミユキさん自身、現在妊活中で、「年下の若い社員がこんなクッキーを配ったらイラッとくる」と言っているそうだ。

「そんなにいきらなくてもと思いますが、こればかりはさまざまな立場がありますからね。ただ、私は人に迷惑をかけない限り、個人の自由だと思っています。産休クッキーで思いを伝えたい人もいれば、そんなことしなくても復帰してからきちんと仕事をすればいいと思う人もいる。

大事なのは、どちらの立場の人に対してもフラットに接することなんじゃないでしょうか。自腹を切ってクッキー渡して文句を言われるなんて割に合わない(笑)。かといって大人ばかりの職場で、こういうのは禁止とするのも野暮な話」

そしてもっと大事なのは、日頃からの人間関係だろうとマリさんは言う。いつ誰が休みをとる事態になっても、「仕事を押しつけられる、こっちの負担が増える」と思う前に、「大丈夫?」と相手の身になって考えられる空気があれば、産休クッキーごときにとやかくいう声は出てこないのではないか、と。マリさんの言葉、言い得て妙ではないだろうか。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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