ブラック校則のルーツ!? 校内暴力全盛期の“ツッパリ・ヤンキーブーム”から「制服」の今をひもとく
オールアバウト / 2024年5月30日 21時50分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_106890_0-small.jpg)
マンガや映画でおなじみの昭和の「ツッパリ」。「ブラック校則」には、この時代に生まれたものもあります。1970年代~1990年代にかけての制服を振り返ってみましょう。(出典: カンコー学生服)
マンガや映画でおなじみの昭和の「ツッパリ」。「ブラック校則」のなかには、この時代に生まれたものもあります。受験戦争・校内暴力・ゆとり教育なども、制服を読み解くキーワードです。
制服の今を考えるきっかけにもなるその歴史。今回は「変形制服」、その対策として選ばれたブレザーなどを中心に制服の変遷を振り返ってみましょう。
1970年代のツッパリブームと80年代のヤンキーブーム
映画『ビー・バップ・ハイスクール』(原作はマンガ)、バンド「CAROL」「横浜銀蝿」などの影響もあり、大ブームになったのが、ツッパリファッションです。![ビー・バップ・ハイスクール(画像出典:Amazon)](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/4/7/2/202405051026/BEBOP.jpg)
男子はボンタン(太いズボン)に、長ランか短ラン。女子はくるぶし丈の長いスカートに、短い上着、くるくる丸めた白いソックス。「変形制服」のお目見えです。
今ツッパリファッションを見ると、昭和らしい、もしかしたら少し鄙びた(ひなびた)印象を受けるかもしれません。でも、集団単位での非行や校内暴力・家庭内暴力などは実際に起こっていたのです。
1960年代、高度経済成長と、科学技術の進展に役立つ人材の育成を目指した教育政策とが結びつき、理数系教科についての改革が行われました。このあたりから、学力格差の拡大や、詰め込み教育が問題となっていきます。
その後、1970年代には、「受験地獄」「受験戦争」という言葉が広がります。受験戦争の激化だけでなく、授業についていけない「落ちこぼれ」も問題視されました。
さらに80年代には、中学校で校内暴力が急増。「盗んだバイクで走り出す」「誰にも縛られたくない」などのフレーズでおなじみの尾崎豊さん『15の夜』は、1983年の曲です。
「なめんなよ」のセリフが大流行した「なめ猫」
![「なめんなよ」のセリフが大流行した「なめ猫」。政府広報にも起用されました。アニメ「東京卍リベンジャーズ」とコラボしたり、2.5次元舞台化されたりと、現在でも人気です(画像出典:Amazon)](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/4/7/2/202405051030/nameneko.jpg)
学校側は、校則の強化や厳格な生徒指導で対処しますが、マスコミや保護者からは「管理教育」として批判されることになります。
ツッパリ高校生が主人公の『今日から俺は!!』
さて、テレビドラマや映画で人気を博した、ツッパリ高校生が主人公の『今日から俺は!!』。原作のマンガは80年代後半から90年代の設定ですが、テレビドラマ版は80年代初めから中期の不良文化を参考にしているそうです。![今日から俺は!!(画像出典:Amazon)](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/4/7/2/202405051514/kyokara.jpg)
ドラマの衣装担当さんは、「1980年代は前をきちっと閉めて“硬派”なスタイルだったので“閉めた状態できれいなシルエットになるようにする”ことに、一番こだわりました」と語っています(参考:「今日から俺は!!」衣装担当に聞く! 1cmにこだわった“短ラン”制作の裏側)。
当時ツッパリファッションを選んだ生徒の中には、「決められた通りに制服を着ない」という行為で、学校や社会への反抗の姿勢を示した人もいるそうです。権威や強いものに屈しないのがツッパリ精神といいますが、ツッパリの価値観が、制服に反映されているのかもしれません。
制服モデルチェンジの波! ブレザーの大流行
1980年から1990年代半ばにかけて、制服をモデルチェンジする学校が増加します。人気は、なんといっても、ブレザー。紺のブレザーに、男子はグレーのズボン、女子はタータンチェックのスカートです。ブレザーとタータンチェックのスカートを、日本で初めて正式に制服として採用したのは、頌栄女子学院です(1982年)。今の主流の制服とかなり近いものですが、当時は画期的で、人気を集めました。
モデルチェンジの理由には、共学化や統合再編といった学校の変化や創立記念事業などが挙げられますが、変形制服対策もその一つといえるでしょう。
国も、多くの問題を重く受け止め、昭和52年版学習指導要領(中学校では56年度より全面実施)では、知識偏重の学校教育を見直します。「ゆとりと充実」をキャッチフレーズに、「人間中心カリキュラム」への転換を目指しました。また、校内暴力も徐々に収束へと向かいます。
制服だけでなく、時代も大きく変わろうとしているのでした。
校則の見直しから気づくこともある、無意識のバイアス
現在「ブラック校則」といわれるものの中には、ツッパリ全盛期の「管理教育」と批判されたころに生まれたルールもあります。今後、そんな校則の見直しが進むなかで、自分の個性をファッションで表現する生徒が現れるかもしれません。そんなとき自分の子や地域の中高生が、自分の思う「学生らしさ」と異なる服装をしていたら、非常識だと感じたりそれらを否定したくなったりすることはないでしょうか。
たとえば、子どもが面接を受けるときに、“ちゃんとした”服装の方がいいと教えること。そのようなTPOに合わせた装いを教えることは、親の責任だといわれてきました。けれども、「らしさ」を求めるような場面に対応できるよう働きかけるのは、かつての文化を再生産することにもなるのです。
時代は令和。制服や校則の変化をきっかけに、「多様性」について考えてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、自分の中にある無意識のバイアスに気づくかもしれません。
(文:高橋 真生(子育て・教育ガイド))
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
制服のモデルチェンジ2年連続700件超!でもまだ「着られない」生徒が…。私服との「選択制」必要
オールアバウト / 2024年6月4日 21時15分
-
中国で校内暴力といじめが横行、殺人も発生し中央政府が改めて対策指示
Record China / 2024年6月2日 8時20分
-
男子の「腰パン」、アムラー全盛期のコギャルから「韓国っぽJK」まで平成→令和の制服着崩し事情
オールアバウト / 2024年5月31日 21時50分
-
モデルは軍服?消えゆく「学ラン・セーラー服」 制服廃止運動も起きた戦後までを振り返る
オールアバウト / 2024年5月28日 20時45分
-
なぜ日本からブラック校則はなくならないのか…校則は憲法より上位の存在、その校則の権限は校長に絶対的に委ねられている現状
集英社オンライン / 2024年5月26日 19時0分
ランキング
-
1「介護を続けましたが、静かに永眠しました」 地元で愛されたヤギ「さつき」が死ぬ 人間の年齢で100歳 兵庫・豊岡
産経ニュース / 2024年6月21日 19時10分
-
2「断れなかった…」32歳独身・真面目な医師、銀座のホステスとの出会いで一変→「シャネル」「ファーストクラス」に散財の末路
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月21日 16時45分
-
3“優先席で席を譲らない40代女性”にブチ切れた女子高生「非常識じゃないですか?」その後女性は…
日刊SPA! / 2024年6月21日 8時53分
-
4国民ブチギレ!? なぜ「13年」で“自動車税&重量税”高くなるのか…「クルマは税金の塊」「いい加減見直して〜」の声も? 理不尽な重課措置の仕組みとは
くるまのニュース / 2024年6月21日 15時10分
-
5ローソン「富士山」騒動現状報告 “バスツアー”4社に取り下げ要請も「掲載が継続」、警備配備も【対応一覧】
ORICON NEWS / 2024年6月20日 22時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)