夫がうつで休職1年、宅配便の不在票が入るたびに妻はいら立つ「そんな自分への嫌悪感も……」
オールアバウト / 2025年1月17日 22時5分
職場の人間関係でメンタルを病んだ夫。薬をもらい家にいるのだが、一向によくなるような気配はない。結局、夫は実家に帰って両親のところでのびのびと暮らしている。自分や娘の存在は、夫にとって一体何なのか。
夫がメンタルを病んで休職。誰にでもあることだから、決して夫を責めるつもりはないのだが……。そこには妻の複雑な心理が働くようだ。
夫が悪いわけではないとわかってはいる
「うちの夫は休職して1年ほどになります。これだけ長い期間、休んでいると復帰できるのか私のほうが心配になって……。夫は職場の人間関係でメンタルを病んでしまったんです。もちろん、夫が悪いわけじゃない。だけど、もうちょっと早くに自分を避難させたり誰かに相談したりできなかったのかなとか、どうせこうなるなら開き直ってブチ切れちゃえばよかったのにとか、考えてしまうんですよね」
アサコさん(43歳)は、不安げにそう言った。2歳年上の夫との間には来年中学生になる一人娘がいる。娘には「パパは病気なの」と言ったのだが、娘は「どこが悪いの?」と休職したばかりの本人に問いかけた。
「夫はどう答えたらいいかわからなかったんでしょうね。『パパは体も心も弱いんだよ』とつぶやいていました。あれから1年、夫の様子はほぼ変わっていない。夫もつらいのかもしれませんが、そばで見ているこっちもつらい」
もともと共働きだったため、生活は切り詰めればなんとかなるが、「せめて家事くらいやるよ」と言っていた夫が、あまり“役に立っていない”のも、アサコさんをいら立たせている。
「メンタルクリニックに通って、処方された薬を飲んで。それだけでいいんでしょうか。私が主治医にこっそり聞いたら『焦らないのが一番ですよ』って。でもこのままよくならないんじゃないかと心配なんです」
心配と不安と、若干のいら立ちに嫌悪感
心配と不安と、そして夫への若干のいら立ち。そんなふうに夫にいら立ってしまう自分への嫌悪感もある。もともと本人同士が「大恋愛」と言うほど仲がよかった。そのまますんなりと結婚、共働きで子どもにも恵まれて、アサコさんには何の不満もなかった。「でも病んだ夫を支えられない無力感がありますね。しかもこの状態がいつまで続くのか分からない焦燥感。それなのに夫は特に焦ってもいないように見える。どうするつもりなの、来年はどうするのと言いたくなるのを抑えていますけど」
買い物の負担を減らすため、アサコさんは日用品をほぼネットで購入している。夫には「今日は荷物が来るから受け取っておいて」と頼んで出勤するのだが、帰宅すると不在票が入っていることも多い。
「どうして出てくれなかったのと言うと、『気乗りがしなくて』って。主治医によれば、それほどひどいうつ状態とは言えないらしいのですが……。あるとき夫が言ったのは『俺以外はみんな元気で頑張ってるんだよな』という一言。自分は生き生きできないということなんでしょうね。かといって頑張りたいという気持ちもないみたい」
どうしたらいいかまったく分からないとアサコさんは嘆いた。
実家に戻った夫は調子がよくなった
その後、アサコさんから連絡があり、夫が実家に戻ったという。「実家には70代後半の両親がいるんですが、2人とも元気です。夫は両親のもとでのんびりしているみたい。電話で話したら、穏やかな口調でした。こっちで少し家事を手伝っているから、おふくろに喜ばれてるよって。私としては複雑です。どうしてそれをうちにいるときやってくれなかったのか。私がいるとのんびりできないのか……」
娘も「パパは私たちから離れたかったのかな」と言い出しているという。娘にそんなことを言わせるのが情けないとアサコさんはため息をついた。
「体だろうが心だろうが、病気になるのは仕方がない。でもそれを一緒に受け止めたのは娘と私です。私たちへの思いが、夫にはなかったのだろうかと。私たちがどんなに夫への気持ちをもっていても、夫は親のほうがよかったんでしょうね。そこがなんだか腑に落ちないというか釈然としないというか」
一番のピンチで頼るのは家族より親なのか
アサコさんはそう言って苦笑する。夫が両親にべったりというわけではなかった。むしろ、一定の距離を置いて付き合っているように見えた。それなのに一番困ったときは、やはり親を頼るのか……とショックを受けたのだろう。「今のところは静観しています。今後、夫がどうするのかはわからない。もしかしたらもう帰ってこないという選択肢もあると思います。こういう状態になると、妻である私は何もできない。むしろ、何もしないのがいいことのような気がして」
夫には夫の思うところがあるのだろうが、話し合うことすらできないままに別居状態にあるのだから、妻としてはつらいに違いない。タイミングを見て、夫とはきちんと話さなければいけないと思うものの、それがいつになるのかも分からない。
「ママとふたりで元気に生きていければいいよ」と言う娘がどこか不憫でたまらないとアサコさんは言った。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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