【中学受験2025】安全校が危ない? 親が知っておきたい最新受験事情と、直前期の心を強くする言葉
オールアバウト / 2025年1月24日 21時15分
2025年の中学入試が始まりました。受験には合否がつきものですが、そんなときに親が発する一言で、子どもの気持ちはポジティブにもネガティブにも揺れ動きます。やってよかったと思える受験にするための親の関わり方や言ってはいけない言葉を紹介します。
受験シーズンが始まりました。
中学受験では、埼玉県を皮切りに千葉県、そして東京都・神奈川県の入試が行われます。前回も書きましたが、2025年の私立国立中学受験者数は、昨年よりやや減るものの、5万2000人を超えて高止まりとなるという予測が出ています。
埼玉県の入試初日、1月10日に行われた栄東中学校A日程と、新設2年目の開智所沢中等教育学校(以下、開智所沢)の第1回入試は、今年も多くの志願者を集めました。
ただ、今年何かと話題になった開智所沢の志願者数の総計は、同学園の姉妹校の志願者数とのダブルカウントになっているため、実数で「日本一の志願者数」になっているわけではないことも知っておいていただくとよいでしょう。(首都圏模試センター 北一成氏 談)
それにしても多くの受験生を集めたのは事実。2月1日から始まる東京・神奈川の前受け校として受験した人も多いでしょう。中には、お試し受験として受けたものの思うような結果が出ず、本命の入試に向けてどんな言葉をかけたらいいか悩んでいるご家庭もあるかもしれません。
昔から言われていることですが、受験は水物。予想外のことが起こるものです。これまでのほほんとしていたお子さんでも、本命校の入試を前にして、緊張したり不安になったりしているかもしれません。そんなときに親が発するひと言で、子どもの気持ちはポジティブにもネガティブにも揺れ動きます。
入試直前あるいは結果が出たときに、子どもにどう接すればいいのでしょう。「やってよかった!」と思える、後伸びする受験にするための関わり方と、言ってはいけない言葉がけについて考えます。
入試直前期に効く「励ましの言葉」
受験は必ず合否という結果が出るチャレンジです。本人にとってはもちろん人生の中で数回あるかないかの経験ですが、こと中学受験となると、親の方がまるで自分の受験のように一喜一憂し、心配のあまり、余計なひと言を言ってしまうことがあります。特に直前期には、現実的な受験準備に追われたり、学習面の不安に直面したりと、親にも余裕がなくなってしまいがちです。
そうなると、例えば「試験まで時間ないのに、ちゃんとやっているの?」「見直しはちゃんとしなさい」などと、「ちゃんと」を連発しがちになります。
でも「ちゃんと」ってすごく曖昧な言葉です。しかも「ちゃんとできていない」というネガティブなメッセージだけが伝わってしまいます。親の不安は無意識のうちに、でも確実に子どもに伝わり、子どもが不安になることも……。不安からよい結果は生まれないですよね。
安全校のはずの学校に不合格になってしまったAさんは、「逆に今でよかったね」と励まし、お子さんに「後悔しないようにやれることは全部しよう!」と伝えて、本命校の試験に臨み合格したそうです。
親の不安を和らげる魔法のひと言
中学受験を「やってよかった」と思える経験にするためには、親子の信頼関係がとても大切です。信頼関係とは、「自分のことを受け入れてくれている」「理解してくれている」と感じられる間柄ですが、不安にとらわれると、親子の信頼関係も揺れてしまいます。自分に置き換えたら分かると思いますが、自分は信頼されていない、責められたと感じたら、落ち込むか、反発するか、いずれにしてもやる気は出ませんよね。すると、「勉強しない→自信が持てない→結果が出ない」という悪循環に陥ってしまいかねません。
そうならないためには、本当は、親がゆったり構えて動じないことが必要なのですが、それはなかなか上級編。ですから、不安な気持ちに揺れている自分に気付いたら、そんな自分に「ストップ!」と声をかけて、フリでもいいので動じない親になりましょう。
そして、例えば「これまでやってきたことは力になっているよ。それを信じよう」「今まで頑張ってきたんだから、最後までやり切ろう」というような勇気付ける言葉をかけてあげてください。
疲れや緊張を癒す「クオリティータイム」とは
また疲れが見えたり、緊張していたりするお子さんに対しては、ボディケアも有効です。例えば、就寝前にマッサージをしたり、一緒に横になって話をしたり、リラックスできる時間を持つことをおすすめします。これをクオリティータイムと言います。おのずと会話が弾むような他者と過ごす良質な時間のことですが、実際に筆者もよく子どもの足をマッサージしていました。冬は冷えるし、体を動かす機会も減っているからだと思いますが、緊張もしていたのでしょう。ふくらはぎや足裏がこちこちになっていました。
頭も使っているので、頭皮マッサージもいいですね。リラックスできる時間を持つことで、親子関係がより安心できるものになる効果もあります。
入試前日や当日の朝、気合を入れて特別な言葉をかけると緊張感が増すこともあります。気負わずに「いつも通りに頑張っておいで」などと送り出してあげるといいでしょう。
「失敗は悪いことではない」と伝えよう
試験会場から出てきた子どもにかける言葉にも注意が必要です。「どうだった?」と聞きたい気持ちはやまやまでしょうが、そこは我慢。「お疲れさま!」くらいの言葉かけにする。もし浮かない顔をしていたら、「あなたができない問題は他の人もできていないはず。次の試験に向けて切り替えよう」と前向きな言葉がけで励ます。思わしくない結果が続いた場合も、「残念だったね。でもよく頑張っているね。最後まで諦めずに頑張ろう」と応援してあげましょう。
また、親の失敗談を話してあげるのもいい方法です。親が「失敗=悪」と考えなければ、子どもも同じように考えます。「今回は残念だったけれど、失敗したということは挑戦した証。またチャレンジしてみたらいいんだよ」と伝えてあげてください。
実際、昨今の中学入試は難しくなっていて、「以前なら確実に合格していたはずが、まさかの不合格という結果になってしまうこともある」と、この道40年のベテラン講師も言っていました。ですから、最悪の場合も考えて、あらかじめ合格しやすい学校を見つけておいたり、直前で出願できる学校を見つけておいたり、次善の策を講じておくことは親の仕事です。
受験校を選ぶときには、受験する可能性のある学校はしっかり調べて、その学校のいいところを理解し、「受験する学校はどこも進学していい学校」と捉えられるようにしておきましょう。
予想以上にいい結果が出たときも要注意
反対に、予想以上にいい結果が出たときにも注意が必要です。チャレンジ校に合格できたとき、本人も行きたい学校に合格できたのですから進学するのはいいのですが、親が張り切り過ぎたり、「もっと頑張らないとついて行けないよ!」とプレッシャーをかけたりしないように注意しましょう。考えてみてください。子どもたちは、受験勉強をしている間、常に塾内の試験や模試の成績による順位付けにさらされてきました。成績が上がらなければ、「もっと頑張れ!」と言われ、成績がよければよいで、下がったらいけないというプレッシャーにさらされます。脳内ではアドレナリンが出っ放しの状態だったと思います。
でも、その状態は長くは続きません。親は入学したらしたで、その先が気になりますが、入学後に学力が伸びるか伸びないかは、はっきり言って、メンタルの影響の方が大きいです。
実際、入学後勉強についていけず、成績が低迷することもあります。それでも本人が自分の問題と捉えていればいいのですが、そんなわが子を見て、入学後も親の管理が続くケースも少なくありません。親はよかれと思ってやっているのですが、それでは子どもはいつまでも自立できませんし、やり過ぎると親子関係に修復できないほどのひびが入ることもあります。
実際、入学後に成績が思わしくなく、親が学習管理をするようになり、それによってさらにやる気を失い、不登校になってしまったというケースがあります。これは決して特別なことではありません。
また、進学校では、入学と同時に今度は大学受験のための塾に通わせるケースも少なくないのですが、それも長い目で見たときにどうでしょう。
中学に入ったら、自分の行動の責任は自分にあるということを覚えていく必要があります。この先は手をかけ過ぎず、お子さんの自立を見守っていきましょう。
あと伸びする受験にしよう!
中学高校の6年間は、大学入試を突破するためだけにあるのではありません。「自分は何が好きで、何が得意で、何をして生きていきたいのか」を考える時間です。そういう意味でも、お子さんに合った学校にご縁があるといいですね。中学受験は親子の成長のチャンスです。ご健闘をお祈りしています。
この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
(文:中曽根 陽子)
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