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リモート時代の新しい演劇! “オンライン上演”注目の5作品

ananweb / 2020年6月30日 18時0分

リモート時代の新しい演劇! “オンライン上演”注目の5作品

制約がありつつも日常生活は徐々に戻ってきているけれど、まだまだどうなるのかわからないのがライブエンターテインメントの分野。しかし、そんな逆境のなかでもへこたれないのが演劇魂。観劇文化を消すものかと多くの演劇人たちが新たな上演スタイルを模索し始めている。
■ こんな時代だからこそ生まれた新しい演劇に注目。

賀来賢人さん、岡田将生さんらが劇団を結成し、ビデオ通話を使った作品をYouTubeで配信したり(現在は配信終了)、ムロツヨシさんが呼びかけてヨーロッパ企画の上田誠さんらと作品を生配信したり。近藤芳正さんら俳優陣が三谷幸喜さん作のセリフ劇の傑作『12人の優しい日本人』をリモート朗読劇で披露する企画も。当初は、会うことがかなわなくなった人と人とのコミュニケーションを描いた作品が主流だったけれど、ビデオ会議システムの分割された画面を使いこなし、映像的な作品に進化中。さまざまなアイデアが投入され多様化してきているうえ、なかにはリモートでの稽古の様子が公開されている作品もあり興味深い。ここから新たな演劇の1ジャンルとして、さらに発展しそうな予感。

■ 演劇の臨場感と映像の面白さが融合。


演劇にデジタルの要素も加え、世界から注目される山本卓卓さん。「場の共有こそが演劇の根源的なアイデンティティ」として、オンラインを活動の場のひとつにしていくことを表明。作品は、主人公・穴蔵の腐ったバナナが、マッチングサイトで女を装った男と知り合うところから始まる連作。複数の部屋をマルチアングルで見せる映像的な面白さと一発撮りによる演劇的な臨場感が味わえる。

範宙遊泳 むこう側の演劇 『バナナの花』#1
作・演出/山本卓卓 出演/埜本幸良、福原冠 イラスト/たかくらかずき 無料(ドネーションシステムあり) 公開中 #2は7月上旬公開予定

■ ネットコミュニケーションの不確かさを描く。

劇団・MONOを主宰、脚本・演出の土田英生さんが、Zoomを使った作品を発表中。第1弾の『ともだち』は、女友達2人のビデオ通話によるセリフ劇で、カメラに映らない部屋の向こう側を想像させる作品に。第2弾の『受難カウンセラー』も配信スタート。こちらはオンライン上でのカウンセリングが舞台。いずれも画面越し、ネット越しで繋がる不自由さや不確かさを、皮肉を交え描いている。

短編ドラマ『ともだち』
脚本/土田英生 出演/高橋明日香、立川茜 無料 公開中

■ コロナ禍を受けて生まれたフルリモート劇団。

野外での没入型イベントの制作をおこなっていた広屋佑規さん、映画プロデューサーの林健太郎さん、劇作家で演出家の小御門優一郎さんにより立ち上げられたフルリモート劇団。長編1作目の『門外不出モラトリアム』は、大学生活4年間をフルリモートで過ごした学生たちを。夏に上演予定の2作目ではオンライン上のコミュニケーションが進化した世界が描かれる。

劇団ノーミーツ
第2回長編公演『むこうのくに』を7月23~26日に上演予定 主宰/広屋佑規、林健太郎、小御門優一郎 

■ カメラワークを駆使し詩的な映像で魅せる。

毎年静岡でGWに開催されていた演劇祭の代わりに、オンラインで開催された「くものうえ↑↓せかい演劇祭」で発表された作品。分断された人と人との繋がりをテーマに3話を制作。家にひとりこもる日々の孤独と、それでも誰かと繋がれているかもしれない希望を詩的に描いた作品。映画の長回しのイメージで制作したそうでカメラワークや照明などに工夫があり、リモートの可能性を感じさせる。

劇団SRAC~渡辺組~『ツナガル…』
作・演出/渡辺敬彦 出演/佐藤ゆず、三島景太 無料 公開中 YouTubeチャンネル「World Theatre Festival on the Cloud」

■ 個性的なスパイたちによる笑えるミステリー。

芸人としても活躍するA・ロックマン(シャカ大熊)さんが関西を拠点に活動する劇団Patchとタッグを組み、日本に潜伏しながら活動する、愛すべきザンネンなスパイたちの笑えるミステリーを制作。人気作家・高殿円さんが脚本を手掛けており、回を追うごとに謎が解き明かされていく展開に。メンバーが、小さな画面のなかクセの強いキャラクターを熱演。ライブ配信の緊張感も演劇的で楽しい。

劇団Patch Zoom生演劇『ロックダウンスパイ』
脚本/高殿円 演出/A・ロックマン 出演/中山義紘、松井勇歩、竹下健人、三好大貴、星璃、吉本考志、尾形大吾、藤戸佑飛 1話につき888円(税込み) 5話は6月26~28日22:00~配信開始

■ 配信時代に合わせ、劇場もリニューアル。

劇場は再開できても客席を100%埋めての上演はまだまだ先になりそう。そんななか、浅草九劇がいち早くオンライン配信に対応した設備とスタッフを常備することを発表。カメラ8台を備え、アップや引きなど切り替えられるので単調にならずに楽しめる。現在、配信のみの主催公演が上演中。『タンスのゆくえ』は、今日で同棲を解消する男女の物語。

ふたり芝居『タンスのゆくえ』6月24~26日19:30~ 作・演出/田村孝裕 出演/中村まこと&藤間爽子ver. 山口森広&町田マリーver. 2000円(税込み) 

※『anan』2020年7月1日号より。文・望月リサ

(by anan編集部)

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