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週末の予定はこれ!話題の【ゴッホとゴーギャン展】を120%楽しむツボ

ANGIE / 2016年11月3日 15時0分



肌寒さもグッと増してきた今日この頃、休日にはゆったりと美術館巡りをしながらカフェでほっこり、なんて過ごし方もいいですよね。

注目度の高い展覧会が目白押しの今シーズンですが、その中でも特におすすめなのが才能溢れる二人の芸術家に焦点を当てた展覧会「ゴッホとゴーギャン展」。作風もルーツも異なる二人の画家が、実は一緒に暮らすほどに深い親交を持っていたのをご存知でしたか?

ちょっとした知識を備えてから行くだけでも、展覧会の楽しみは大きく違ってくるもの。今回はこの「ゴッホとゴーギャン展」をより深く楽しむための情報を、アート好きが高じて学芸員の資格まで取得した私がお届けします!

 
孤高の天才「フィンセント・ファン・ゴッホ」

フィンセント・ファン・ゴッホ《パイプと麦わら帽子の自画像》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)


まずはその強烈な色彩や力強い筆触で「炎の画家」とも評される、フィンセント・ファン・ゴッホについて。

19世紀を代表する画家の一人であり、現在においてはその名を知らない人はいないほどの存在であるゴッホですが、その37年間という短い人生の中で彼の才能が日の目を見ることはありませんでした

1853年、オランダの牧師の家庭に生まれ育ったゴッホは職を転々としながら様々な挫折を味わい、27歳でついに画家の道を歩み始めます。その後、1890年に自ら命を絶つまでのたった10年の間に、現在では数十億円といった価格で取引される数々の作品を生み出しました。

しかし残念なことに、当時それらの作品が評価を得ることは決してなかったのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《収穫》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)


ゴッホはその作品において農民や労働者などの人々、風景、数多く制作した自画像など、現実の世界を独特の表現方法で描き出しましたが、画家であった10年の間には故郷のオランダから大都会パリ、南仏アルルなどへと拠点を移し続け、それぞれの地でその絵画表現も変化していきました。

特にアルルの強い日差しを受けた色鮮やかな景観に強く魅了され、パリで親交のあったゴーギャンを呼び寄せたことで、二人はこの地で共同生活を送ることとなったのです。

 
冒険の画家「ポール・ゴーギャン」

ポール・ゴーギャン《自画像》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas


一方、装飾的な線と色面を用いた作風が特徴的なゴーギャンは、1848年のパリに生まれました。

幼少期をペルーのリマで過ごし、青年期には商船や海軍に勤務しながら世界各地を渡航。23歳の時にパリで株式仲買人として働き始めた頃から徐々に絵画への関心を高めていきます。

1883年、35歳の時に仕事を辞めて画家の道へ。ブルターニュ地方のポン=タヴェンやカリブ海のマルティニーク島での滞在を通して、野性的でプリミティブ(原始的)な美しさを描く独特の表現方法を磨いていきます。その後1887年にゴッホに出会い、翌年には彼の誘いに応じてアルルへ赴いたのでした。

ポール・ゴーギャン《タヒチの3人》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Scottish National Gallery


アルルではともに絵を描き、芸術について議論を交わすなど充実した日々を送っていた二人。しかし意見の不一致などから徐々に軋轢が生じ、たった2ヶ月でゴーギャンはアルルを去ることに……。ひどく錯乱したゴッホは、自分の耳たぶを切り落とす「耳切り事件」を起こします。

パリへと戻ったゴーギャンは、翌年のパリ万国博覧会で絵画史上最初の象徴主義(目には見えない人の心理や内面を象徴的に表現した芸術)の展覧会を開催。1891年にはタヒチへと渡り、この地でゴーギャンの象徴主義絵画はさらなる発展を遂げることとなりました。

 
作品から紐解く二人の友情と芸術性「ゴッホとゴーギャン展」

フィンセント・ファン・ゴッホ《ゴーギャンの椅子》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)


今回の「ゴッホとゴーギャン展」では、偉大な画家二人の初期から晩年までの油彩画約50点を含む合計約60点を展示。それぞれの絵画表現の変化を辿りながら、彼らの芸術性にじっくりと触れられる贅沢な展覧会となっています。

一番の見どころは、二人の人生と芸術が交差した「アルルでの2ヶ月間」が垣間見える作品の数々。ゴッホが共同生活の中で描いた《ゴーギャンの椅子》は、ゴーギャン自身の姿は描かれていなくとも、彼の椅子を描くことでその存在感が感じられる貴重な「象徴的肖像画」であると言えます。

ポール・ゴーギャン《肘掛け椅子のひまわり》


Image by ゴッホとゴーギャン展(東京都美術館)


(C)Foundation E. G. Buhrle Collection, Zurich


ゴッホが亡くなった11年後にゴーギャンがタヒチで描いた《肘掛け椅子のひまわり》は、ゴーギャンが亡き友を想いながら描いた作品と言われています。

共同生活の破綻後、再会の叶わなかった二人ですが、そこにはしっかりと友情が存在していたことがこの作品から伝わってきます。

 

忙しい毎日の中でも、時にはゆっくり芸術に触れて感性を磨きたいもの。特に慌ただしい師走を控えた今月は、知的好奇心を満たしながらリラックスした時間を過ごすことも大切ですよ。

この週末は、二人の芸術家の秘密を探る「ゴッホとゴーギャン展」に足を運んでみてはいかがですか?

 

【ゴッホとゴーギャン展】


会期:2016年10月8日(土)~2016年12月18日(日)


会場:東京都美術館


公式HP:http://www.g-g2016.com/

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