「らんま1/2」を完結まで作り切りたい! 監督&MAPPA代表取締役が“新作”への思いを語る【AFA SG 24 レポ】
アニメ!アニメ! / 2024年12月26日 17時0分
東南アジア最大級のポップカルチャーイベント「Anime Festival Asia Singapore 2024」(以降、「AFA SG 2024」)が2024年11月29日から12月1日までシンガポールのサンテック シンガポール コンベンション&エキシビション センターにて開催。
「AFA SG 2024」3日目となる12月1日のデイステージには、2024年秋アニメ『らんま1/2』より宇田鋼之介監督と本作のアニメーション制作を務めるMAPPAの大塚学代表取締役社長が登壇。制作への想いや今後の展望について語った。
■『らんま』を今持てる技術でもう一度
『らんま1/2』は、『うる星やつら』『めぞん一刻』『犬夜叉』『境界のRINNE』『MAO』などでも知られる高橋留美子によって「週刊少年サンデー」の1987年36号~1996年12号で連載され、現在もなお絶大な人気を誇る格闘ラブコメディーだ。かつて、1989年より『らんま1/2』および『らんま1/2 熱闘編』のタイトルでTVアニメ化を果たしており、劇場アニメやOVAも展開された。
このたびの“完全新作的アニメ”『らんま1/2』と1989年版『らんま1/2』との大きな違いは、地上波放送からすぐに動画配信サービスを利用して世界中から視聴できるようになった点だ。
配信開始からの反響について大塚社長は、様々な国の視聴者が喜んで見てくれているのを感じるとして「日本の1980年代の物語が、こういう形で全世界に見ていただけるというのはすごく不思議な感覚です。しかしそこだけに注目して見ていただいているということはなく、自然に、当時の世界観や舞台設定を受け入れてもらえてるなと感じます」とコメント。
なぜこのタイミングでのアニメ化だったのかという質問には「素晴らしい原作があり過去に素晴らしいアニメが作られた作品を、今の我々の持てる技術でもう一度作って、それを改めて全世界の方々に見ていただくということは、まだ『らんま』を知らない方たちにとってとてもいい出会いになるのではないかと思い、制作させていただきました」と想いを語った。時代や国を超え“いいもの”はいつまでも“いい”という感覚が本作にはあるとして「30年後にはまた誰かがアニメ化するんじゃないかなと思えるくらい、いいものだと思っています」と微笑んだ。
■原作の最終話までアニメで描きたい
そんな本作の監督は、『らんま1/2』を含めたこれまでのアニメの歴史を知り、なおかつ、新しいクリエイティブを許容し上手く入れ込むことができる人物でなくてはならなかった。そこで、30年以上の業界歴を持つクリエイターであり、『ワンピース』のシリーズディレクターや劇場版の監督を務めてきた宇田鋼之介氏が抜擢された。
『うる星やつら』の大ファンだったという宇田監督は「自分が『らんま』をやるとは夢にも思わなかった」とオファーへの第一印象を述べ、現代に『らんま1/2』を蘇らせたいという思いも同時に込み上げてきたことを話した。また、「誰かが傷つくとか、死ぬとかいうことは絶対にない、みんなが純粋に楽しめる作品を作りたい」とし「新旧どちらのファンもみんな楽しめるような作品に仕上げていきたい」という方針で制作に取り組んできたことを明かした。
今後の目標としては、『らんま1/2』は、1989年版制作時点ではまだマンガが連載中だったということもあり完結までアニメで描かれることはなかった点を指摘し、「先のことは未定ですが、スタッフや関わってるみんなは原作の最終話まで行きたい(アニメ化したい)と思っています」と打ち明け、「やっぱり最終話まで見たいですよね?」と会場に問いかけると大歓声が上がる。
これに対して大塚社長は“僕にその決定権はないのですが”と前置きしたうえで「まだ映像化されていないエピソードを届けるというのは、クリエイティブチームを含め会社としても大きな目標として掲げています」とコメントした。
■キャスト再集結! 懐かしさよりも緊張が…
最後まで作り切りたいという強い想いが込められた本作のキャスト陣は、35年前とほぼ同じだ。当時シンガポールでは日本語版が放送されていたこともあり、シンガポールの方々にとって日本語キャストたちの声は親しみ深いものとなっている。宇田監督は、世界中のファンに染みついたキャラクターイメージを壊したくないという考えから、キャスト変更を最低限にする方針を決定したという。
「リメイクという言葉を便宜上使っていますが、実はもう僕らの中では新作をつくるつもりでいます」と監督。制作チームはもちろん、キャストたちも新作のつもりで声を当て演技しているという。懐かしいメンバーが再集結したアフレコ現場は、和気あいあいとした雰囲気があるものの緊張感漂うシーンも。
早乙女乱馬役の山口勝平は第1話の収録時、特に緊張していたようで、監督自ら「声が硬いよ」と声をかけたとのこと。大ベテランたちが緊張するほど真剣に取り組んでいる現場だからこそ、高い密度・クオリティで新たな『らんま1/2』が生み出されていることがわかるエピソードも語ってくれた。
ステージではそのほか、『らんま1/2』のロマンスシーンを集めた動画の上映や会場のファンとのコミュニケーションの時間が設けられ、終始和やかなムードで終盤へ。
最後に、大塚社長は「シンガポールで『らんま』を楽しんでくれている皆さんの声をしっかり現場に伝えて、『らんま』を長く作れるような作品にしていけるように、これからもみんなで頑張っていきたいと思います」、宇田監督は「このような会場に来ると『らんま』に世界中のファンがついてくれているんだということを実感できて非常に嬉しいです。この嬉しい思いを日本に持ち帰って、また新たなモチベーションにして頑張っていきたいと思います」と感謝を語り、笑顔で会場を後にした。
■Anime Festival Asia Singapore 2024(AFA SG 2024)
2024年11月29日~12月1日
シンガポール「Suntec Singapore Convention & Exhibition Centre」
12月1日 13:15~『らんま1/2』ステージイベント
出演:大塚学(MAPPA 代表取締役社長)
宇田鋼之介(監督)
(C)2024 SOZO Pte Ltd. (C)Anime Festival Asia
(C)高橋留美子・小学館/「らんま1/2」製作委員会
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