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【現地取材】グーグルの新Pixelから「スマホ操作の革命」が起きる(石川温)

ASCII.jp / 2024年8月16日 12時37分

アメリカ・サンフランシスコ州マウンテンビューにあるグーグル本社

 2024年8月13日(現地時間)に開催されたグーグル・Pixel 9シリーズの新製品発表会「Made by Google」を取材しにアメリカ・サンフランシスコ州マウンテンビューにあるグーグル本社に行ってきた。

 例年はニューヨーク開催で、日本のメディアには門戸が開かれていなかったが、今年は日本からも参加可能と言うことで、インフルエンサーだけでなく、Pixelを扱う国内キャリアの幹部も勢揃いしていた。

 今回、グーグルはPixel 9シリーズ4モデルに加えてPixel Bus Pro 2やPixel Watch 3などを発表。例年よりも2ヵ月も早く発表、発売することで、9月に披露されるであろうアップルのiPhoneに先手を打ち、iPhoneユーザーを一気に奪おうとしているのだろう。

Geminiはまさに「欲しかった音声アシスタント」

 発表会でのプレゼンや新製品を触っての感想を一言でまとめるとするならば「あの日、裏切られた悲しい記憶を帳消しにしてやってもいいかも」という感じだ。

 いまから7年前である2017年春に「Googleアシスタント」が華々しく登場した。当時、スマートスピーカー市場が盛り上がりを見せ、各社がこぞってAIによる「音声アシスタント」に注力していた。

 スマートスピーカーやスマートフォンが音声アシスタントに対応することで、まるでかつて観たSF映画のように「声でコンピューターと会話し、コントロールできる」という触れ込みであったので、「早く操作してみたい。未来を体験してみたい」ということで、本当に期待しかなかった。

 しかし、実際に「OK、グーグル」と威勢良く話しかけ、やりたいことを伝えても「よくわかりません」「理解できません」「もう一度、仰ってください」と、一向に聞き入れる様子がなく、返り血を浴びるだけだったりしたのだった。

 一生懸命、話しかけても、やってほしいことがまるで伝わらない。別にGoogleアシスタントに限った話ではなく、アップル「Siri」、アマゾン「アレクサ」も似たようなものだった。

 結局、コンピューターとの流ちょうな会話を期待していた音声アシスタントには愛想を尽かし、インスタントラーメンを作る際の「3分後に教えて」の音声キッチンタイマーにしかならなかったのだ。

 

 しかし、今回発表となった、GeminiはGoogleアシスタントとは違う まさに「欲しかった音声アシスタント」の役割を担ってくれるように思えた。 

 音声で、調べたいことを探してきてくれるだけでなく、メモアプリなどにキチンと記録しておいてくれる。Gmailから見たいメールを探しだし、そこからGoogle マップで場所を探すことも可能だ。もちろん、音声だけでなく、テキスト入力でも対応してくれるので、電車のなかでも頼りになる存在になりそうだ。

これからのスマホは生成AIによって よりシンプルでスマートな操作性や機能性に進化

 特におもしろそうだと感じたのが「Gemini Live」だ。

 雑談的にPixel 9に話しかけても、実に俊敏に答えを返してくれるので、会話が途切れることがない。実に自然な雰囲気でコンピューターと会話ができてしまうのだ。

 今のところは英語しか対応していないが、発表会の会場でPixel 9 の言語設定をちょこちょこいじっていたら、いつの間にか日本語でも会話できるようになった。残念ながら、しばらくすると英語しか対応しないよう元に戻ってしまったが、おそらく、かなり早いタイミングで日本語対応が正式にアナウンスされるのではないだろうか。

発表されたPixel 9

 Pixel 9に載っているGemini Liveを使っていると「これからのスマホの操作性が一変する」という期待しかないのだ。

 これまでは、スマホのブラウザーを立ち上げ、ググってサイトを呼び出し、該当するページから情報を探し出して確認するということをしていたが、Geminiがあれば、一発で知りたい情報を引き出せる。

 これまでGeminiやChatGPTなど生成AIがあったが、ブラウザーベースと言うことでパソコンの前に座って使うというシーンが多かった。

 これが、スマホに当たり前のように載ってくると、調べものだけでなく、その情報を保存しておいたり、メールやメッセージで送るというのが、わざわざ画面を触らなくても音声でできてしまうという「スマホ操作の革命」が起きるような気がしてならないのだ。

 グーグルではProject AstraとGemini Liveを融合し、スマホのカメラに写っているものを捉え、何かを把握し、それに対しての指示をユーザーに与えてくれようとしている。

 例えば、IKEAで買った家具のパーツをスマホのカメラで写せば、どのパーツとどのパーツを組み合わせいけばいいというのを教えてくれるようになるのだ。

 スマホにはカメラという「目」があり、マイクという「耳」がある。これらと生成AIを組み合わせる事で、パソコンのブラウザーとは比較にならない、新しい「生成AIの活用方法」が出てくることだろう。

 「Googleアシスタント」には落胆しかなかったが「Gemini」には期待しかない。

これまでの「スマートフォン」は使う側である人間がスマートに使いこなす必要があった。しかし、これからのスマートフォンは生成AIによって、よりシンプルでスマートな操作性や機能性に進化していく。

 Pixelに搭載されたGeminiはまさにこれからのスマホの操作性を一変し、全く新しい使い方を提案してくれることになりそうだ。

 

筆者紹介――石川 温

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

 

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