B&Oが新フラッグシップ「Beoplay H100」を発売ーー高価だが10年以上の使用を見据えたモジュラーデザイン
ASCII.jp / 2024年9月3日 21時0分
「いつでもいつまでも使える」。
デジタル機器ではあまり見かけない、そんなキャッチフレーズで登場したのが、Bang & Olufsenの最高峰ヘッドホン「Beoplay H100」だ。ノイズキャンセル機能を搭載した、ブランド最上位のワイヤレスヘッドホンで価格は22万9900円。
寿命の比較的短いワイヤレスヘッドホンで、この価格と聞くと驚かされる。一方で、興味深いのは「購入から10年後、そしてその先まで使う」ことを想定したデジタル機器では珍しいコンセプトを持つ点だ。
そう。Beoplay H100は「故障や陳腐化による買い替えを促すこれまでのデジタル機器」ではない。それとは一線を画す特徴を備えている。例えるなら、高級バッグを買う際「これは高価なものだけれど、一生使えるモノだから……」と自分に言い聞かせるのと同じ。Beoplay H100を手にするユーザーはそれと同じ気持ちで、製品に向き合える。
これをロンジビティ(Longevity)といった言葉で表現することもある。Longevityとは「寿命の長さ」を示す言葉だ。
本当はもっと長い期間、愛着を持って使いたかったのだ
音質や質感にこだわって、ワイヤレスヘッドホンを買ってみたが、あとでこんな問題に遭遇したことはないだろうか?
「気に入ったデザインで質感も良かったけれど、使っているうちに付いた汚れや傷がとても気になる」「大切に使ってきたけれど、数年でバッテリーがダメになったので買い換えざるを得ない」「長く使い、修理してより長く使い続けたいが、もう交換部品が手に入らない」
こうした場面に遭遇した際、従来であれば新製品へと買い替える人が多かっただろう。しかし、Beoplay H100のユーザーになれば異なる選択肢が取れる。
ヘッドバンドやイヤーパッド、バッテリー、ドライバー、基板など、あらゆる部品が交換可能なモジュラーデザインの考え方を取り入れているため、希望すればすぐ元の状態に戻せるからだ。
メーカーとしても、10年先の使用を見据えた仕様にしており、故障への対応だけでなく、ソフトウェアの進化で陳腐化も防いでいく。しかも購入後5年という長い保証期間も設けた(標準3年、5年保証にはBeocareへの加入が必要)。愛着のある道具だから修理しながら長く使う。決して使い捨てではない。そんな機器との新しい向き合い方が、Beoplay H100によってもたらされるのだ。
長く使い続けるという点では、2025年中に「Cradle to Cradle」認証も取得する予定だと発表している。
長期の使用でも飽きさせない高音質と高品質
もちろん、デザインと音質の両方が高水準に融和したBang & Olufsenらしさも存分に感じられる。
音質の核となるドライバーは40mm径のチタンドライバー。これを左右別個に用意したDSPで制御する。通常のワイヤレスヘッドホンでは、基板やバッテリーは片側に収納というパターンが多いが、本機は基板やバッテリー、さらには操作部材(ボタンやダイヤル)も左右同じものだ。
その理由の一つは、Dolby Atmosの空間オーディオ再生に対応するためだという。高負荷に対応するため、左右で処理を分散。そうするのであれば、修理をしやすくし、スペース効率も追求しよう。その結果が、見た目だけでなく内部やUIも左右対称の設計となったわけだ。
シックな雰囲気の外観は、質感のいい本革を使用している。一方で長期間使っているうちに、緩衝材が痩せるといった問題に対処するため、頭部との支えとなるインナーバンドを3Dフォームタイプで気軽に交換できるものとした。ネジや接着剤を用いず、多数の溝にはめ込んで固定する構造も面白い。
筆者は最近、Bang & Olifsenのネットワークスピーカー「Beolab 8」を購入して使っているが、デザインのカスタマイズが可能で、質感にも優れたそのフロントグリルのコンセプトにも通ずるものがある。
ドライバーと耳の間に挟まったフィルターにはLとRの文字が見えるが、これはプリントではなく編み込みで実現しているのもこだわりポイント。印刷や塗装をしてしまうと、音の透過に問題が出るため、それを嫌ったものだという。ドライバーに設けられた音響フィルターが持つ、複雑なパターンが間からほのかに透けて見えるのも雰囲気満点だ。タッチ操作に使う、ハウジングのフェイス部は、すりガラスを用い指紋などが目立ちにくくしている。
機能面では、上述したように「Dolby Atmos」の空間オーディオ再生に対応。加えて、Bluetooth 5.3に対応し、対応コーデックは発売時点ではSBCとAACのみだが、将来のアップデートでハイレゾ伝送可能なコーデックが利用可能になるとしている。
USB DAC機能も内蔵しており、PCなどとUSBで有線デジタル接続し、最大96kHz/24bitの品質でハイレゾ再生も可能となっている。外音取り込みの量やノイズキャンセルの効き具合は、ハウジングに設けられたダイヤルで簡単に調整可能。片側で音量、もう片側で透過度合いの調整といった設定が可能だ。
マイクは10基内蔵しており、これを組み合わせることで高い外音取り込み性能(TrueTransparency)や通話性能、ノイズキャンセリング性能が得られるという。
マルチポイント接続は発売当初は2台までだが、後日のアップデートで3台に強化される予定。これ以外にも、装着検知機能により、電源のオン/オフを意識せずに使用できたり、Bang & Olufsenの新しいアダプティブ・オーディオ・プロセッシング「EarSense」の導入によって、装着者のフィット感に合わせてサウンドをリアルタイムに調整し、最適な音で聴けるようになっている。
バッテリー駆動時間はANC利用時で最大32時間でと十分。さらに、5分充電で5時間再生の急速充電にも対応する。重量は375gだ。
カラーバリエーションは、Infinite Black、Hourglass Sand、Sunset Apricotの3色。デザインや仕上げの美しさはもちろんだが、手触りを含んだ質感の良さを追求したものとなっている。
Beoplay H100の販売は直販が先行して、9月3日から。9月下旬には量販店などでも購入可能になるという。
ちなみにBang & Olufsenはヘッドホンと一緒に使えるキャップをtakes.と共同開発。キャンペーン期間中(10月14日まで)に、Bang & Olufsenの直販サイトで、Beoplay H100またはH95を購入した人全員にプレゼントすると言う。竹50%オーガニックコットン50%のオリジナル素材を使用したもので、頭頂部にボタンがないため、ヘッドバンドとの干渉がない。気分によって取り外しできるBang & Olufsenのピンバッジも付属するそうだ。
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