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モトローラの縦折りスマホ最高峰「motorola razr 50 ultra」は強化されたAIが楽しい

ASCII.jp / 2024年12月22日 12時0分

motorola razr 50 ultra

 モトローラの折りたたみスマートフォン「motorola razr 50」シリーズの最上位モデル「motorola razr 50 ultra」が国内で発売された。

 前モデル「motorola razr 40 ultra」のデザインを踏襲しながらも、背面のアウトディスプレーがより大型化され、カメラやAI関連機能を大幅に強化するなど一層のブラシュアップが進められている。実機からその実力を確認してみよう。

デザインは前機種のコンセプトを踏襲

 まずは外観だが、開いた状態ではメインディスプレーが約6.9型で、サイズは約73.99×71.42×7.09mm。閉じた状態ではアウトディスプレーが約4.9型で、サイズは約73.99×88.09×15.32mm。重さは約189g。motorola razr 40 ultraと比べると、スペック上は重量、サイズともにほんの少し大きくなっているのだが、実際に手にした感じではほぼ変わらない。

「motorola razr 50 ultra」を開いたところ。約6.9型のディスプレーは前機種と大きく変わっていない

 デザインも基本的にはmotorola razr 40 ultraを踏襲しており、大きな違いはない。背面にヴィーガンレザーを採用している点も変わっていないが、モトローラロゴの部分だけやや加工を変えるなど、若干のデザイン変更が加えられている。

同じく、開いた状態で背面から見たところ。背面はヴィーガンレザーだが、モトローラロゴの部分がやや異なる加工になっている

 またヒンジは前機種と同様、本体を自由な角度で折り曲げて使えることから、モトローラとしてはその仕組みを活用したさまざまな使い方を提案している。具体的には、90度近くに曲げてメインディスプレーを2分割して活用する「ラップトップ」、“く”の字型に折り曲げてアウトディスプレーを活用する「スタンド」、そして折り曲げた状態でヒンジを上にして立てる「テント」の3つだ。

「ラップトップ」の状態でYouTubeを視聴しているところ。2分割表示に対応しているアプリであればより便利に利用できる
こちらは「テント」の状態。大きくなったアウトディスプレーで動画視聴などをするのに便利だ
「スタンド」の状態で「Gemini Live」を使っているところ。カメラが上に位置することから、セルフィー撮影にも活用しやすいスタイルだ

 ラップトップのスタイルを有効活用するにはアプリ側の対応が求められるが、それ以外はサブディスプレーの活用が主体となることから、シーンに応じた活用もしやすいだろう。大画面のアウトディスプレーを備えたことにより、折りたたんでコンパクトになるだけでなく、多様なスタイルで利用できる点が縦折り型スマートフォンの新たな魅力となったことは間違いない。

 なお、側面のインターフェースを確認すると、開いた状態で左側に音量キーと指紋センサー内蔵型の電源キー、左側面にSIMスロットを搭載しており、底面にUSB Type-C端子が備わっている。こちらも前機種同様、非常にシンプルにまとめられていることがわかる。

開いた状態で左側面に電源キーと音量キーが配置。電源キーは生体認証用の指紋センサーを内蔵している
底面にはUSB Type-C端子が備わっている
本体を閉じた状態。厚さは「motorola razr 40 ultra」と比べ大きな変化はない

大きなアウトディスプレーは「Gemini Live」と相性良し

 これら特徴の多くは、下位機種のmotorola razr 50と共通したものでもある。では、motorola razr 50 ultraは何が大きく違っているのかというと、1つはやはりアウトディスプレーの大きさだ。motorola razr 50のアウトディスプレーは3.6型と、motorola razr 40 ultraと同等のサイズまで大型化されているのだが、motorola razr 50 ultraはそれよりさらに大きい4.0型のアウトディスプレーを搭載している。

 具体的には、motorola razr 50でヒンジ部分に相当する場所にまで、ディスプレーを広げることで大画面化を実現している。4型といえば黎明期のスマートフォンに匹敵する画面サイズだけに、実際に手にしても確かに画面が広いと感じる。

アウトディスプレーは約4.0型に大型化。「motorola razr 50」ではヒンジ部分だった場所にもディスプレーを広げることで大型化を実現している

 そしてrazrシリーズは、アウトディスプレーで専用のウィジェットを表示できるだけでなく、アプリのショートカットを設置することで直接アプリを動かすことも可能だ。アウトディスプレーが狭かった頃はそのメリットを活かしづらかったが、4型クラスにまで大きくなれば、そのメリットは計り知れない。

 実際、motorola razr 50の兄弟モデル「motorola razr 50s」「motorola razr 50d」では、本体を閉じた状態で、「PayPay」や「d払い」といったスマートフォン決済を直接利用できる仕組みが整えられていた。それゆえmotorola razr 50 ultraも、アプリのショートカットを用意するだけで、本体を開くことなく決済などさまざまな用途に活用しやすくなっている。

 中でも便利だと感じたのは、音声を活用したアプリだ。チャットなど文字入力を用いるアプリを利用するには画面が狭いが、音声関連のアプリは画面サイズを意識する必要がないので、同じAIチャットでも「Gemini Live」など会話型のアプリやサービスは利用しやすい。

広くなったとはいえメインディスプレーと比べれば画面は狭いので、文字入力が必要なアプリよりも「Gemini Live」のような音声主体のアプリの方が使いやすい

 直接的な競合となるサムスン電子の縦折り型スマートフォン「Galaxy Z Flip 6」は、現状別途アプリをインストールしない限り、アウトディスプレーではアプリを利用できない。それだけに、アウトディスプレーの有効活用という点ではmotorola razr 50 ultraの大きな優位性といえるだろう。

大幅アップグレードのカメラ性能 望遠強化も超広角はなし

 続いてカメラに関してだが、背面のカメラはメイン(広角)カメラが約5000万画素/F1.7、望遠カメラが約5000万画素/F2.0の2眼構成。開いた状態のフロントカメラは約3200万画素/F2.4となる。motorola razr 40 ultraと比べた場合、超広角カメラが望遠カメラに変化したのと、画素数が1000万画素クラスから、5000万画素クラスへと大幅にグレードアップしているのが大きな違いといえるだろう。

メインカメラは2眼構成で性能はアップしているが、一方のカメラが超広角から望遠に変更されている点には注意が必要だ
広角(メイン)カメラで撮影した写真
同じ場所から望遠カメラで撮影した写真。光学2倍ズーム相当の撮影が可能だ

 それゆえ超広角撮影はできなくなった一方で、2倍以上の望遠撮影は強化されており、デジタルズームであれば最大30倍ズームでの撮影が可能だ。実際に使ってみると、超広角カメラがカットされたことがやや悩ましいと感じるシーンに何度か遭遇したが、写真よりも動画に重点を置く人ならメリットがあるだろう。

望遠撮影が強化されたことから、近づくと逃げてしまう動物などの撮影はしやすくなった
デジタルズームなら最大で30倍のズーム撮影が可能。こちらは広角カメラで撮影した写真
同じ場所から30倍ズームで遠方の東京タワーを撮影。デジタルズームなので画質は落ちるがかなり遠方までのズーム撮影が可能だ

 それゆえか、motorola razr 50 ultraでは本体を90度折り曲げてビデオカメラのように持って撮影する際には機能が追加されている。具体的には、折り曲げた時点で自動的に録画が始まり、分割された一方のディスプレー側で録画停止などの操作もできるようになった。

本体を横にした状態で90度に折り曲げてハンディカムのように持つと、自動的に動画の録画を開始。分割された一方のディスプレーで録画のコントロールなどもできるようになった

 ほかにも、AIを活用した撮影機能の強化が進められており、画像の補正だけでなく手振れを強力に補正する「アダプティブスタビライゼーション」や、動きのある写真を捉えやすくする「アクションショット」などの機能を用意。折りたたみスマートフォンでは抑えられがちなカメラ機能の全般的な強化が図られていることが分かる。

 もちろん本体を閉じた状態で、本体を2回ひねるようにして振ればカメラを起動し、そのままメインカメラでセルフィーを撮影できる。なおこの際、ヒンジを下にして、カメラが上に来る状態で撮影するよう指示が現れる。その方がカメラの位置が上に来るためより顔を綺麗に撮影しやすいためと考えられるのだが、通常使用とは逆さの状態で持つ形となるため注意したい。

本体を閉じた状態で、メインカメラを使いセルフィーを撮影したところ。通常の持ち方とは逆に、ヒンジ側を下にしてカメラが上に位置するように持って撮影するといいようだ

ついにFeliCa搭載も実現! AI活用の新機能はいかに

 性能面を確認すると、motorola razr 50 ultraはチップセットにクアルコム製のハイエンド向けとなる「Snapdragon 8s Gen 3」を搭載しており、メモリーは12GB、ストレージは512GB。最上位モデルということもあって、最近のハイエンドスマートフォンらしい性能を備えていることが分かる。

 実際の実力はどの程度なのか。各種ベンチマークや主要ゲームで確認してみたところ、「Snapdragon 8 Gen 3」搭載機種と比べた場合、リアルタイムレイトレーシングには対応するがやや性能は落ちる。それでも「Snapdragon 8 Gen 2」搭載機種よりは高い性能を持つので、高度なゲーミングなどを求める人にも十分対応できる性能は備わっている。

「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果
「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果
「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「ウルトラHDR」まで、フレーム設定が「ウルトラ」まで上げることが可能
「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「中」。最高画質にしても快適にプレイはできるが、「Snapdragon 8 Gen 3」搭載機種よりやや性能は落ちるようだ

 また、昨今注目される生成AI関連機能にも力が入れられており、撮影した写真の絵柄から壁紙などを簡単に作成できる「スタイルシンク」や、入力したテキストの内容から画像を生成できる「マジックキャンバス」などの機能が利用できる。

 これらはいずれも「Moto」アプリから利用する形となっており、いずれもクラウドの生成AIを活用していることからネットワーク接続は必須だ。

 双方の機能ともに、画像の生成に要する時間は十数秒程度とそれほど時間はかからない。ただ、スタイルシンクは模様によって生成される壁紙の品質に大きなばらつきが生じやすい傾向にあるので、何度か試してベストなものを選ぶのがいいだろう。

「スタイルシンク」は撮影した写真の柄から、AIが自動で壁紙を生成する仕組み。まずは絨毯を撮影してみる
その後十数秒程度待つと壁紙の候補が現れる。画像のものは綺麗にまとまっているが、必ずしもそうとは限らないケースも何度か見られた

 また、マジックキャンバスは、現時点で日本語に一部非対応とされているが、実際に日本語でキーワードを入力してもその内容を解釈し、画像を生成してくれた。大まかな指示であれば現状でも日本語が使えるようだ。

「マジックキャンバス」はキーワードとスタイルを選ぶことで画像を生成してくれる機能だ
実際に生成された画像。日本語から画像が生成されていることがわかる

 それ以外の性能面を確認すると、バッテリーは4000mAhと、motorola razr 40 ultra(3800mAh)より増量されている。有線で45Wの急速充電、Qiで15Wのワイヤレス充電にも対応しているので、とても速いわけではないが十分な速度での充電が可能だ。

 もう1つ、特筆すべき大きな変化はついにFeliCa(おサイフケータイ)が搭載されたこと。オンラインショップ限定とはいえソフトバンクからも販売されることが影響したのかもしれないが、ついに上位モデルもFeliCaに対応したことで、メイン利用のスマートフォンとして安心して使えるようになった。

 最後に通信機能に関してだが、SIMは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM対応と、motorola razr 40 ultraから変わっていないが、5G向の4.5GHz帯(バンドn79)には非対応となっている点がマイナスポイントといえる。こちらもソフトバンクから販売されることが影響したと考えられるが、SIMフリーモデルをドコモ回線のSIMで使用する場合は注意が必要だ。

SIMは物理SIM(nanoSIM)×1とeSIMのデュアルSIM構成

【まとめ】正当進化だが下位モデルとの差は少なくなった

 まとめると、motorola razr 50 ultraは、razr 40シリーズで新しくなったrazrのスタイルを維持しながらも、カメラなど基本性能の強化、そしてアウトディスプレーの大画面化などによって着実な進化を遂げていることが分かる。それに加えて前モデルでは省かれていたFeliCaにも対応し、オンラインショップ限定ながら携帯大手の一角から販売されることも、購入しやすさという意味ではメリットに働くだろう。

 一方で、下位モデルのmotorola razr 50もディスプレーサイズが大型化したことで、消費者の目線からすると明確な違いが少なくなってしまったのも確か。それでいて価格はモトローラのオンラインショップで17万8800円と、motorola razr 40 ultraの発売当初の価格(15万5800円)と比べ2万円ほど上がってしまっているだけに、上位モデルを積極的に選びづらくなってしまったのがやや惜しいところだ。

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