ビジネス向け独自AIアプリに爆速でバッテリーは24時間駆動した!!=ASUS「ExpertBook P5」実機レビュー
ASCII.jp / 2025年1月15日 11時0分
2024年におけるWindows PCのトピックのひとつは、NPU搭載プロセッサーを採用したノートPCが数多く登場したことだ。これらはAI対応PC「Copilot+PC」として華々しくリリースされたが、現時点でも目玉機能「リコール」が提供されておらず、ハードウェアメーカー各社が搭載していたAI対応アプリも、NPUを利用していないものがほとんどであった。
1月15日に発表された「ExpertBook P5」は、「ASUS初のビジネス向け次世代AI PC」と謳われる14型モバイルノートPCだ。Copilot+ PC規格に準拠しており、マイクロソフト製AIアプリはもちろんのこと、ASUSが独自開発したNPU正式対応AIツール「AI ExpertMeet」を利用可能である。
ASUSから試用機を借用したので、スペック、外観、パフォーマンスに加えて、ASUS製AIツールの使い勝手もチェックしていこう。
プロセッサー、ストレージの異なる 3モデルを用意
「ExpertBook P5」はOSに「Windows 11 Pro 64ビット」、プロセッサーに「Core Ultra 7 258V」/「Core Ultra 5 228V」/「Core Ultra 5 226V」を採用。メモリーは16/32GB(LPDDR5X-8533)、ストレージは1TB/512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。日本向けに用意されるのは、プロセッサー、ストレージの異なる3モデルだ。
・「P5405CSA-NZ0054X」 (24万9800円) Core Ultra 7 258V/RAM32GB/SSD1TB ・「P5405CSA-NZ0150X」 (21万9800円) Core Ultra 5 228V/RAM32GB/SSD512GB ・「P5405CSA-NZ0052X」 (19万9800円) Core Ultra 5 226V/RAM16GB/SSD512GB
ほかのスペックは共通。ディスプレーは14型2.5K液晶(2560×1600ドット、16:10、リフレッシュレート120Hz、ノングレア)を搭載。サウンド機能は、1W×2構成のステレオスピーカー、アレイマイクを内蔵している。
インターフェースはThunderbolt4(映像出力、PowerDelivery対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、HDMI、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートしている。
ウェブカメラは、プライバシーシャッター付きの207万画素赤外線(IR)カメラを内蔵。生体認証は、顔認証対応赤外線カメラに加え、指紋認証センサー一体型電源ボタンを利用できる。また右側面には、Kensingtonナノセキュリティスロット(6×2.5mm)が配置されている。
本体サイズは312×223.2×14.9~16.4mm、重量は約1.27kg。63Whの大容量バッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA 3.0測定法で約10.9時間(動画再生時)/約18時間(アイドル時)、JEITA 2.0測定法で約22.7時間と謳われている。
「ExpertBook P5」に採用されている「インテルCore Ultra モバイル・プロセッサー(シリーズ2)」は、最大47TOPSのNPU「インテル AI Boost」、GPU「インテルArcグラフィックス140V/130V」を内蔵。合計で最大120TOPSの処理性能を発揮する。
なおメモリーもプロセッサーに内蔵されており、データ通信が高速化されている。ただし、メモリーを増設できない点には注意。
ASUS独自のAIツール 「AI ExpertMeet」の実用性は高い
「ExpertBook P5」は前述のとおり、Copilot+PC規格に準拠したモバイルノートPCだ。Copilot+PCでは、生成AIアシスタント「Copilot」、過去のアプリ・ドキュメント・ウェブサイトなどの画面を見返せる「リコール」、簡単なラフから画像を生成する「コクリエイター」、すべてのアプリの音声を文字起こし・翻訳できる「ライブキャプション」、ウェブカメラの映像に背景効果・アイコンタクト・自動フレーミングを適用できる「スタジオ効果」などを利用可能だ。
ただし、目玉機能であるリコールについては、2024年10月にWindows Insiderプログラムでプレビュー提供されたものの、現時点で正式リリース日はアナウンスされていない。
「ExpertBook P5」で初めて搭載されたASUS独自のAIツールが「AI ExpertMeet」だ。
本ツールでは、リアルタイムで会議の内容を参加者ごとに識別して文字起こしできる「AI Meeting Minutes」、オンライン会議の音声や録音した音声に翻訳字幕を付けられる「AI Translated Subtitles」、自分のカメラ映像に自分のビジネス情報や任意の文字列を透かしとして入れられる「ウォーターマーク」などを利用可能だ。
「AI ExpertMeet」は、AI処理をローカルデバイスで実行する。機密性の高いデータを取り扱う際にも安心して利用できるのがありがたい。
ノートPCとしての使い勝手については、これまでのASUS製品と同様で、剛性が高く、キーボードやタッチパッドの操作感は良好だ。
14型2.5K液晶ディスプレーの輝度や色域は公表されていないが、モバイルノートPCとして平均以上の画質を備えている。
207万画素赤外線(IR)カメラと、指紋認証センサー一体型電源ボタンにより、ふたつの生体認証を使い分けられるのも便利だ。
ウェブカメラの画像はやや解像感に欠けるが、明るく、自然な発色だ。ビデオ会議用途であれば実用上十分な画質である。
「ExpertCool冷却機構」によりプロセッサーパワーを最大限に発揮 バッテリーベンチは24時間超え!!
最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回は比較対象機種としては「ExpertBook P5」と同じく「Core Ultra 7 258V」を搭載する各社のCopilot+PCを使用している。
まずCPU性能については、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)で11036pts、CPU(Single Core)で1867pts、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)で638pts、CPU(Single Core)で119ptsとなった。
R23、2024のどちらでも、今回の機種のなかで最高クラスのマルチコア性能を発揮している。本製品には新開発の「ExpertCool冷却機構」が採用されているが、プロセッサーのパワーを最大限に引き出せているわけだ。
3Dグラフィックス性能については、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」のPort Royalで1967、Time Spyで4339、Fire Strikeで8882、Wild Lifeで28141となった。こちらのスコアも全体的に上位に食い込んでいる。
3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」と、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」ではスコア差は大きくないので、誤差範囲と言えそうだ。
ストレージはPCIe Gen4x4接続SSD「WD PC SN5000S SDEQNSJ-1T00-1002」を搭載しており、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は6331MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5633MB/sを記録した。こちらも、上位の成績で、バランスのいいリード、ライト性能を備えている。
NPUのパフォーマンスを計測する「Procyon」のAI Computer Vision Benchmarkでは936となった。こちらもメーカーごとの差は小さく、誤差の範囲である。
バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度、ボリューム40%で「PCMark 10 Modern Office Battery Test」を実行したところ、24時間6分動作した。
モバイルノートPCとしては大容量の63Whリチウムポリマーバッテリーを搭載しているだけに、外出中に継ぎ足し充電する必要がないだけのスタミナ性能を備えている。
独自AI機能を活用し 効率的に仕事をこなす頼れるマシン
AI時代のビジネススタンダードモバイルノートPCとして開発された「ExpertBook P5」は、処理性能の高さ、充実したインターフェース、長いスタミナ性能が魅力だ。
そして、なんと言っても最大のアドバンテージはASUSが独自開発したAIツール「AI ExpertMeet」だ。ローカルでAI処理が完結するので、ネットワーク速度に左右されず、セキュリティー的にも安心感が高い。
ノートPCの王道的デザインは、ビジネスシーンにピッタリだ。剛性の高いボディー、「ASUSのあんしん保証」なども、仕事に使う道具として信頼できる。
独自AI機能を活用し、効率的に仕事をこなせるマシンを探しているのであれば、「ExpertBook P5」はもってこいの1台である。
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