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旧車メッキパーツを再メッキする際の注意点とは

バイクのニュース / 2021年5月27日 11時0分

憧れのクラシックバイクをようやく手に入れました。しかし、経年劣化でくすんだメッキ部品だけは残念な代物です。それらを新車のような美しい輝きのパーツに戻したいと思った場合、「再メッキ」という手段があります。なお、この再メッキは、見た目が良くなるというだけではないのです。そこで、旧車に輝きを取り戻す「再メッキ」施工について、メリットだけでなくデメリットについても詳しく解説します。

■そもそも再メッキとは

 旧車に施工する「再メッキ」とは、もともと施されているメッキ皮膜に起こる腐食や錆の補修作業や、全体のメッキを剥がして再び加工し直すことなどを指します。メッキ加工そのものは比較的に手軽に行える金属・非金属素材の性能向上のための処理で、「耐食性」「熱特性」「耐摩耗性」「装飾性」の面で効果が期待できます。

 メッキ処理は塗装と同じ金属の表面処理技法のひとつです。その効果は、素材が錆に対して強くなることで金属寿命を伸ばすという「防錆性」の向上、「熱特性」はメッキの効果によって熱が通りにくいステンレスなどの熱伝導率を高め、反対に高温になることがマイナスになるエンジンパーツなどでは熱耐性を高めて部品を守るという効果を果たします。

 ほかにも、部品同士が擦り合う摩擦で擦り減ることを防ぐ「耐摩耗性」や、メッキの輝きによって製品自体の見た目を美しくする「装飾性」、さらには電極にメッキ処理を施すことでスムーズな電通を促すことに加え、プラスチックパーツなどでも通電できるようになる「電気特性」というメリットもあり、用途に合わせ素材の種類や含有量の調整を行うことで、目的とする特性を発揮する加工ができるというのが特徴です。

 ひと言でメッキ処理といっても「銅・銀・金・亜鉛・ニッケル・クロムメッキ」と原料は、さまざまで、使用する素材ごとにその仕上がりや性能、特性に違いがあります。たとえばバイクの部品にもよく利用される「クロムメッキ」でも、メッキ層の厚さの違いで「装飾用」と「硬質」の2種類があることを知っておかねばなりません。

 外観の美しさや変色・腐食に強いと言われているクロムメッキは、厚さが1μm以下は薄い皮膜で光沢を与え、見た目の美しさに効果を発揮することから「装飾用」と呼ばれます。厚さ1μm以上のメッキは硬度と耐摩耗性に優れていることから「硬質クロムメッキ」と呼ばれています。

 再メッキの工程は、素地の古いメッキの剥離に始まり、腐食跡を削り取るバフ研磨で表面を作ってから、必要なメッキ処理層を重ねながら実施します。古いメッキの剥離、新たなメッキを施したときの廃液の処理の問題、水槽の中に金属を溶かした「メッキ槽」と呼ばれる専用の機材を使用するので、これを個人で行うには設備面で難しく、専門のメッキ加工業者に依頼するのが一般的です。

 ちなみに、読みにくさなどから国語辞典でも「メッキ」とカタカナ表記を見かけることが増えてきていますが、実際には「鍍金(めっきん)」という本来の日本語に由来するため、JIS規格によって、ひらがなで「めっき」と表記するのが正しいとされています。

 メッキ処理を行う業者の表記がひらがなの「めっき」であっても、それは決して間違っているわけではないわけです。

■再メッキするメリット・デメリットと注意すべきポイントとは

 補修が目的で「再メッキ」を行うことは、腐食や錆の進行を防ぐ「耐食性(防錆・防食)」と、見た目の美観を取り戻す「装飾性」の向上が大きなメリットです。古くなったメッキを取り除き凹凸を補修して均一化し、新たな金属皮膜で覆うことで、美観を取り戻したうえで、素材を保護する働きもしてくれます。

古いメッキの剥離や腐食の補修作業は料金が高めに設定されています

 しかし、再メッキのデメリットは、古いメッキの剥離や腐食の補修作業自体が大変な作業であるために端的に料金は高めであるということと、メッキ処理の手法である「電気・無電解・置き換え」のどの場合においても、基本はメッキ槽に液体に素材を浸して付着させるという方法を取るので、パーツのサイズによってはメッキ槽自体に収まらないことを理由に断られることもあります。

 パーツに関してはサイズの問題だけでなく、マフラーについては表面のバフ研磨に手間がかかりすぎることや、排気ガスで溜まったススやカーボンなどが流れでてメッキ槽を汚すことなどから、対応サイズのメッキ槽が設備されていたとしても、作業自体を受けてくれる業者はあまり多くありません。

再メッキは、パーツの種類や状態により受け付けてくれない場合もあります

 ほかにも、劣化した樹脂パーツであればメッキ剥離剤で一緒に溶けてしまうこともあることや、アルミパーツもアルミ自体が部分的に傷んでしまう可能性があること。さらにアンチモ(亜鉛ダイキャスト)パーツには「巣穴」と呼ばれる腐食によってできた穴が残ることで、再メッキでは綺麗に仕上がらないなど、素地ごとに起こる問題もあるのです。

 実際に再メッキ処理を行う過程で、研磨や剥離剤に漬け込むことで素地に変化が起こるので、もしも変えの効かないパーツなどであれば、作業の途中でも穴が空くなどの懸念から、状況によっては中断して返却する必要も出てきます。

 実績のないショップに依頼をすると、このような展開を予想できずに大切なパーツを失い、高い費用だけを支払うということにもなりかねません。旧車パーツの再メッキ処理が可能であるかを含めて、依頼先とよく相談をしてから検討するようにしてください。

※ ※ ※

 再メッキ以外にも、アンチモなどで使われる「補修メッキ」という方法もあり、これは腐食の進行具合によっては削るだけでなく、巣穴を専用のパテで埋めてから表面を作り、その上にメッキ処理を実施するという方法です。

 旧車の輝きを取り戻す効果的な再メッキは、どんなパーツでも簡単にできるわけではなく、素材やサイズなどによって不可能な部位もあり、さらに補修作業の手間が要るだけに、依頼する際の費用も安くはないというのが実情です。

 依頼するときには実績のあるショップを選んで事前によく相談し、まだ腐食などに陥っていないメッキパーツは、今後もきちんとメンテナンスを行い、大切に扱って、現在の輝きを失わないように心がけましょう。

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