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ヤマハ本社工場で見た最新鋭ダイキャストマシン!! 100円硬貨の薄さで大物部品を生み出す実力メカ!!

バイクのニュース / 2022年12月22日 11時0分

ヤマハは新たに導入したダイキャストマシンに名を冠し、「魅せる・誇れる」鋳造ラインを具現化しました。一体どういうことなのか、静岡県磐田市の本社工場で目の当たりにしてきました。

■ダイキャストマシンって、ナンダ!?

 ヤマハ発動機は2022年6月、本社工場に最新鋭のダイキャストマシン2基を導入し、稼働を開始したことを発表しました。ダイキャストマシンとは、金型を用いて鋳造(ちゅうぞう)部品を生み出す装置のこと。巨大なマシンは鮮やかな青と白にカラーリングされ、「CF+1」「CF+2」とネーミングが与えられているというから驚きます。

ヤマハの本社工場に導入された最新鋭のダイキャストマシンヤマハの本社工場に導入された最新鋭のダイキャストマシン

 工場内にある鋳造マシンに名前がつけられるとは、筆者(青木タカオ)は気になって仕方がありません。鋳造技術の最新現場も是非見てみたいと、ヤマハ発動機の広報担当者に頼み込んだ結果、ついに工場見学が実現、最新鋭ダイキャストマシンの正体を突き止めることができました。その模様をご紹介しましょう!

■まるで重さが違う、新旧鋳造ホイール

 なんと感激。ヤマハ発動機の磐田本社工場では、鋳造チームのみなさまが待っていてくださっているではありませんか。

 さらにホイールやフレームなど、さまざまな部品が特別に用意され、手に持つことも許されました。それぞれ新旧を比較すると、重さの違いは明白で、製造技術の進化を身を持って知ることができます。

回転するアルミ鋳造キャストホイールで軽さの恩恵を体験する筆者(青木タカオ)回転するアルミ鋳造キャストホイールで軽さの恩恵を体験する筆者(青木タカオ)

 とくに興味深いのがホイールです。回転するアルミ鋳造キャストホイールを、フロントフォークで支持するようアクスルシャフトの軸を両腕で持ったのですが、軽い新型は左右に揺さぶったときの挙動が圧倒的に少なく、ホイールの重さがハンドリングに多大な影響を及ぼすことが容易にわかるのでした。

 ホイールが回る速度は20~30km/hほどで、より高速になればその影響は計り知れません。足まわりの軽量化が二輪車にとって、とても重要であることが理解できます。

 実際に体験した2020年リリースの「MT-09」のSPINFORGED WHEELと、従来製法の比較用テストパーツでは、前後で700gの軽量化となります。

 ダイキャストと重力鋳造の違いは何なのか……!? 鋳造チームにお話をじっくり聞いてみようと思いますが、まずはお目当ての最新鋭ダイキャストマシンへまっしぐら。ヘルメットやゴーグルを装着し、安全靴に履き替えたらいよいよ工場内へ入っていきます。

■鋳造ラインもカッコイイなんて、さすがヤマハ

 説明を聞きながら歩いていたら、最新鋭のダイキャストマシンが目の前に現れました。ついに「CF+1」と「CF+2」の姿を目の当たりにしたのです。マシンにはネーミングのロゴまで入り、只者ではない風格。かなり大掛かりなもので、単体で機能するのではなく、ヤマハ発動機によってシステムが構築され、ライン化されています。

最新鋭のダイキャストマシンには「CF+1」と「CF+2」というネーミングがつけられている最新鋭のダイキャストマシンには「CF+1」と「CF+2」というネーミングがつけられている

 大型で超薄肉のアルミ鋳造部品が瞬く間に鋳上がっていく姿に圧倒され、しばし立ち尽くします。次々に出来上がる鋳造部品を大型アームロボットが手際良く動いて運び出す姿は、SF映画のワンシーンを見ているかのよう。飽きることなく、時間が許す限り見入ってしまうのでした。

最新鋭のダイキャストマシンにより、大型で超薄肉のアルミ鋳造部品が瞬く間に鋳上がっていく最新鋭のダイキャストマシンにより、大型で超薄肉のアルミ鋳造部品が瞬く間に鋳上がっていく

 こうした鋳造ラインは、GKデザイングループの「GK Kyoto」がデザインを担当したそうです。効率良く生産するだけでなく、「魅せて・誇れる」ダイキャストラインを完成させました。鋳造工場までカッコイイなんて、ヤマハらしいとしか言いようがありません。

■家族にも見てもらいたい

 2002年の入社以来、一貫してアルミダイキャスト鋳造の製造現場に従事してきた望月祐樹さん(ヤマハ発動機 生産本部 製造統括部 磐田第1製造部)は、「ものづくりをしていて、ワクワクするような場所。家族にも見てもらいたい」と胸を張ります。

「実際、7月に社内で工場内を家族たちに見てもらうイベントがあり、見学者たちに設備を説明しているスタッフたちの顔が生き生きとしていて、とても嬉しかったですね」と、話してくれました。

■新作フレームを生み出した立役者

 最新鋭ダイキャストマシンの強みは、厚さ1.7mmという圧倒的な薄肉で大物製品も作れてしまうこと。これにより「MT-09」をはじめ「TRACER9 GT」や「XSR900」の軽量新フレームを生み出すことが出来たと教えてくれたのは、前田智仁さん(ヤマハ発動機 技術・研究本部 技術開発統括部)です。

ヤマハ「XSR900」(2022年型)の軽量CFアルミダイキャスト製フレームヤマハ「XSR900」(2022年型)の軽量CFアルミダイキャスト製フレーム

 軽量、スリム、コンパクトな車体の根幹となるフレームを作った立役者が鋳造チームであり、最新のダイキャストラインというわけです。

 部位ごとに最適な肉厚にし、もっとも薄い部分では過去最薄の2.0mmでは物足りず、1.7mmを達成。フレームを出来るだけコンパクトにするため、ヘッドパイプの長さを短縮し、従来モデル比30mm位置を下げて全体を小さくしました。「MT-09」では、鋳造部品だけで前モデルから約3kgの軽量化を実現しています。

ヤマハ「XSR900」(2022年型)ヤマハ「XSR900」(2022年型)

 設計を担当した前田さんは次のように振り返ります。

「従来の製造技術の限界よりも薄い肉厚を、3D CAD上でシミュレーションし、どの部位にどれぐらいの肉厚が必要かを見極めました。その上で薄肉でも機能が達成できる部分については鋳造チームと議論を重ね、できるだけ薄肉にするようチャレンジしてもらいました。

 ヤマハがすごく良いのは設計者の提案を製造チームがいったん受け入れてくれる度量があることです。開発部門と製造部門に壁がなく、ともにものづくりに邁進していけるところが我々の強みです」

 車種ごとに最適な乗り味を実現しつつ、大物ダイキャスト部品を共通仕様とするために、他の部品の形状を車種によって変え、車体剛性を調整しています。

実際のフレームとカットモデルの比較。最も薄い部分で厚さ1.7mm実際のフレームとカットモデルの比較。最も薄い部分で厚さ1.7mm

「XSR900」のフレームを手に取り、1.7mmの最薄部をまじまじと見ると、厚さはちょうど100円硬貨と同じくらい。大型バイクのメインフレームをここまで薄くしたとは、ヤマハの鋳造技術に脱帽です。

 ダイキャストと重力鋳造の違いは何なのか……!? 今回の工場見学で感じたギモンは、鋳造チームにタップリお話を聞くことが出来ました。レポートはまだ続きます!

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