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東京で「舟通勤」は定着するか? ノー渋滞で快適も、課題は山積み

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月3日 8時35分

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豊洲~日本橋間に就航する「URBAN LAUNCH」

 会社に出勤しようにも、地下鉄はまともに立っていられないほど混み合い、バスやクルマは渋滞で動かない。こんな時、川を渡れる「通勤船」があれば、信号もなくスイスイ移動できるのに……。

 東京都内でも、川や運河が多い東京湾沿いの地区に勤めるビジネスパーソンは、そう思ったことがあるかもしれない。鉄道・バスといった通勤の選択肢に「船」を加え、通勤・通学に使える小型船の定期航路を開設する取り組み「TRY!舟旅通勤」が、2023年10月から始まった。

 24年3月現在、「TRY!舟旅通勤」の一環として就航しているのは、江東区・豊洲船着場~中央区・日本橋船着場間(晴海運河・隅田川経由)の1航路のみ。これに24年春から、中央区・晴海フラッグ北側の晴海船着場~港区・日の出桟橋(朝潮運河・隅田川河口近辺経由)間の航路が加わる予定だ。

 この2航路を鉄道・バスで移動した場合、両航路とも地下鉄・都営バスなどの面倒な乗り換えを要する。船なら船着場まで直通、水上をすすむので信号も渋滞もない。こう聞くと、通勤手段としての船という選択肢を「これアリじゃない?」と感じる方もいるのではないか。

 「TRY!舟旅通勤」は東京都都市整備局によって何度か実証実験が行われており、22年10~11月には「14日間で2848人」という、まずまずの結果を残した。

 しかし、この記事での結論を先にいうと、筆者は通勤手段として船が加わることに意義はあるが、現状ではまず定着しないだろうと考えている。なぜ、都は「舟旅通勤」の取り組みを続けているのか。現状はどのような問題があるのか、考察していきたい。

●通勤手段に「船」ってアリ? 乗船して分かったメリットと課題

 豊洲~日本橋航路の運航委託を受けている「観光汽船興業」(東京都観光汽船の関連会社)は、普段は遊覧船やチャータークルーズ船(貸し切り)を運航している。

 乗船して感じた船で通勤するメリットは、やはり快適性。観光用の小型船を通勤用に就航させているだけあり、船内でノートPCやスマホを操作しても疲れない程度に乗り心地が良い。

 かつ船は移動経路に信号がなく、ものの20分でスムーズに到着する。これが陸上での豊洲駅~日本橋駅間の移動だと、地下深い大江戸線のホームまで歩いたり、銀座を横切って銀座駅から銀座一丁目駅の徒歩移動を要したり、車内で揺られながらつり革の争奪戦をしたり……。なかなかの“痛勤”を要する。

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