ホンダの白バイ「ドリームCB750P」その特別装備とは

バイクのニュース / 2023年6月1日 11時0分

1970年代に活躍した、日本が世界に誇る名車の「白バイ仕様」を紹介します。50年以上も前に警察が交通取り締まり等で使用していた白バイは、雄々しい空冷並列4気筒エンジンに左右2本出しの4本マフラー、それに特別な装備が盛りだくさんでした。

■元祖ビッグな白バイ！高性能な空冷並列4気筒エンジンを搭載

　1970年代に活躍した、日本が世界に誇る名車の「白バイ仕様」は、多くのバイクファンにとって、いろいろな意味で懐かしい存在ではないでしょうか。50年以上も前に警察が交通取り締まり等で使用していた、「元祖ナナハン白バイ」です。

世界に誇る日本の名車、ホンダ「DREAM CB750 FOUR」の白バイ仕様車「DREAM CB750 P」

　1969年、北米市場に続き日本国内でもホンダ「ドリームCB750FOUR」が販売されました。世界初の量産並列4気筒エンジンを搭載し、最高出力67ps／8000rpm、最高200km／hを誇った世界最速クラスのビッグバイクです。

　当時、それまでの白バイは2気筒エンジンを搭載するミドルクラスの排気量でした。日本の道路を走る世界最速クラスのビッグバイクには到底及びません。

　そこで、最速には最速で対抗という訳で、さっそく翌年の1970年に白バイ仕様の「ドリームCB750P」が登場したのです。

後部シート部分にある書類ケースには、暗い状況でも書類などに書き込めるようランプが設置されている。ここに無線機を載せると、積載スペースとして左右にパニアケースが装備される

「CB750P」は、クロームパーツも使われた並列4気筒エンジンやマフラーなどは市販の「CB750FOUR」と同じ外観ですが、車体色は、とにかく「白」です。それは当たり前のことですが、燃料タンクやサイドカバー、フレームにスイングアーム、前後フェンダーにヘッドライトケース、フロントフォークまで徹底的に白なのです。

　シートはシングルに変更され、後部座席部分には書類ケースを設置。エンジン前部とリアショック部分の左右2カ所ずつに鉄製パイプのバンパーがあり、さらにリアフェンダーにも側面から回り込むように、後ろ向きにパイプのバンパーがあります。白バイと言えば、ここに装着される左右の白いボックス（今風に言うとパニアケース）がお馴染みですが、初期の「CB750P」には装着しないことが多いようです。

サイレン後部からリアタイヤの回転ドラムまでケーブルが伸びている。このケーブルでリアタイヤの回転をサイレンに伝える

　白バイならではの装備としては、バンパーの上に取り付けられた赤色灯と、その下の大きな音を鳴らすサイレンです。

　サイレンは手回し式の改造版です。ハンドルは無く、代わりに後輪の回転を利用するドラム＋ケーブル式です。クラッチレバーの下に装備されたもう1本のレバーを握るとリアタイヤ側面にドラムが押し当てられ回転します。ドラムの回転はメーターケーブルのように内部のワイヤーを回転させ、それがハンドルの代わりにサイレンを回す仕組みのようです。

　また「CB750FOUR」のメーターは速度計と回転計の丸型2眼式でしたが、白バイ仕様ではヘッドライトに組み込まれた白い文字盤の大きな速度計のみとなっています。

白バイゆえに装飾はほとんど無いが、サイドカバーのエンブレムは市販車と同じ意匠。しかも黒／金／白の配色で、派手さを無くした高級感が漂う