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なぜなのか!? 原付二種の電動バイクは航続距離が短い理由

バイクのニュース / 2023年6月2日 11時0分

電動バイクはガソリン車と比較しても、航続距離が短くなる傾向にあります。その要因は一体どこにあるのでしょうか。

■電動バイクはガソリン車よりも航続距離が短い?その理由とは

 近年では日本でも電気自動車(EV)の普及が進んできました。各自動車メーカーからのラインナップも増えており、クルマ業界では今後も着実にEV化にシフトしていくことは確実といえます。

ヤマハの原付一種電動スクーター「E-Vino」ヤマハの原付一種電動スクーター「E-Vino」

 一方、バイクの電動化については、ほとんど進んでいないのが現状です。郵便局や新聞配達などで電動バイクが導入されていますが、国内メーカーの電動バイクは、一般向けに販売(2023年6月現在)されているのは、ヤマハの原付一種スクーター「E-Vino」、ホンダの電動スクーター「Honda e: ビジネスバイク シリーズ」が国内市場に導入されています。

※ホンダは、原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「EM1 e:(イーエムワン イー)」を、8月24日(木)に発売する。

 しかし、世界に目を向けると電動バイクの市場は急速に拡大しつつあります。世界的な電動バイクの普及の背景には、排ガス規制の厳格化やカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みがあり、世界各国のバイクメーカーも電動バイクの開発に力を入れているようです。

 例えばバイク大国のインドとインドネシアでは、経済成長とともに増加する石油の輸入削減などを背景に、電動バイク産業の育成や販売促進の政策を導入・強化しています。このことから両国では、今後も電動バイク市場が拡大することが予想されています。

8月から一般販売されるホンダの原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「EM1 e:」8月から一般販売されるホンダの原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「EM1 e:」

 また先進国でも、脱炭素政策のひとつとして優遇措置を導入しており、日本のホンダやヤマハなどの二輪車メーカーも、排ガス規制の対応が困難な原付二種クラスを中心に電動バイクを市場に投入していくことを目指しています。

■なぜ日本では世界に比べて電動バイクの普及が進んでいないのか

 それは、電動バイクのデメリットのひとつである「航続距離が短い」ことが挙げられます。普及が進んでいる電気自動車(EV)の場合は、車種にもよりますが航続距離が200kmから500km程度となっています。仮に、燃料タンクが30L程度の軽自動車でリッター20km/Lほど走れば、航続距離は500kmを超えてきます。

 このように、EVであっても500km程度の航続距離があれば、1回の充電でガソリン車と同等の距離を走れることになるので、それほど不満を感じることはないでしょう。

ホンダの法人向け原付二種電動バイク「ベンリィe:Ⅱ」ホンダの法人向け原付二種電動バイク「ベンリィe:Ⅱ」

 一方電動バイクの場合は、EVの状況とは大きく異なります。例えば、ホンダの法人向け電動バイク「ベンリィe:Ⅱ」の一回の充電での航続距離は、原付二種クラスのモデルで43km(60km/h定地走行テスト値)となっています。ガソリン車の「ベンリィ110」で航続距離を計算してみると、タンク容量は10LでWMTCモード値が50.7km/Lなので、507kmの距離を一回の給油で走れることになります。

 それぞれの航続距離は、ベンリィの電動モデルが43kmで、ガソリン車が507kmと11倍以上の差があり、その違いは歴然です。

 航続距離の短い電動バイクは、ある一定のルートを配送する新聞配達や郵便局であればそれほど不便ではありません。事業所に戻って充電されたバッテリーを入れ替えれば、またすぐに走ることが可能です。

 しかし、一般に普及させるには簡単ではありません。電動バイクはバッテリーの容量が小さいため、どうしても途中で停まってしまう心配があります。また、充電する手間と時間がかかり、搭載するバッテリーも非常に重いため、持ち歩くのは現実的ではありません。つまり、電動バイクの航続距離が短い理由には、バッテリーの容量が小さいことが最大の要因といえます。

 では、航続距離を長くするには大容量のバッテリーを搭載すれば解決するかといえばそうではありません。もちろんバッテリーの容量を増やせば航続距離は長くなりますが、その分バイクの重量も増えてしまいます。重量が増えれば航続距離が短くなるため、バッテリーの容量を増やせば増やすほど、重量も増えて航続距離が短くなるという負のスパイラルに陥るのです。

ホンダの「ベンリィe:Ⅱ」には、1個11kgのバッテリーが2個搭載されているホンダの「ベンリィe:Ⅱ」には、1個11kgのバッテリーが2個搭載されている

 ちなみに、ホンダの「ベンリィe:Ⅱ」には、1個11kgのバッテリーが2個搭載されています。車両重量が125kgなので、いかにバッテリーの重さが車体に負担をかけているかがわかります。

 このように、電動バイクは航続距離の面でガソリン車よりも劣るため、航続距離を伸ばすことが課題といえます。航続距離を伸ばすには、バッテリーの性能をアップさせるか、複数バッテリーを用意して交換するしか打開策がないのが現状です。

 そのほか、充電インフラの整備や充電時間の短縮など、電動バイクを取り巻く課題はたくさんあります。いずれにせよ、クルマのEVのように電動バイクが普及するには、まだ時間がかかりそうです。

※ ※ ※

 とはいえ、世界のバイクの電動化は確実に進んでいます。矢野経済研究所の調査によると、2030年には世界の二輪車全体台数が6576万3000台に達し、そのうちの20%の1305万台が電動バイクで占めるという見通しです。これは、バイク全体の5分の1が電動化になることを意味します。

 ガソリンバイク特有のエンジン音やギア操作などが損なわれてしまうのは、バイクを愛するライダーにとって残念なことです。しかし、確実におとずれる電動化の未来に備えて、私たちライダーは心構えをしておいたほうがよいかもしれません。

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