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ライダーの猛暑対策「水冷」感覚で身体を冷やす!? コレ意外と使えました

バイクのニュース / 2024年8月22日 13時10分

バイクの魅力である「風を感じて走る」意味は、近年、この猛暑に耐える行為に変わりつつあります。熱風の中でも、安全・快適に走るための冷却グッズはないものでしょうか。エアコンのない作業現場で働く人たちの冷却グッズから探して試してみました。

■「水冷」感覚で身体を冷やす、建設現場用の冷却グッズを試してみた

 主に大型バイクに乗るライダーの間でよくある、夏の苦労話にこんなことがあります。

「信号待ちで、風もなくてエンジンから上がってくる熱気もヤバいよね」

アイスパックは両脇を締めたときに、自然と肘が当たる位置に(写真=中島みなみ)アイスパックは両脇を締めたときに、自然と肘が当たる位置に(写真=中島みなみ)

 労働災害を防ぐ中央労働災害防止協会による『熱中症をふせごう』という書籍の中には、こんな記載があります。

《熱中症は10代~80代の全年齢で起きている。アスファルトの上など照り返しのある屋外で、身体を使う作業に従事している労働者は要注意》

 指示されて働く点を除けば、バイクの運転はまさに熱中症に要注意作業ではないでしょうか。信号待ちや渋滞の中、エアコンのないバイクはどうしたら乗り切ることができるのでしょうか。

 今回は建設作業現場で使われ、一般に「アイスベスト」と言われているアイテムに注目してみました。

 アイスベストは、ベストの中に保冷剤を仕込み、太い血管が通る首筋、わきの下などを保冷剤で冷やす冷却グッズです。バイクの場合、走行風に頼らず保冷剤で血管を冷やす、いわば「水冷方式」です。

 選んだ理由の第一は、低コストですぐに使えることです。同じように体表面を直接冷やしたり温めたりできるソニーのウェアラブルサーモデバイスと比較すると、7分の1という安さです。しかも、冷やすポイントが首筋の1点ではなく、首筋と両脇の3点です。

 購入した「バートル(BURTLE)」の「フリーザーベスト」は、保冷剤を買い足すことで首筋に縦列で2個装着して、合計4個で冷やすことができます。ちなみにアイスパック(保冷剤)とそれを体に密着させるベストと合わせて3245円でした。同社はファッション性の高い作業着を供給することで知られているワークウエアのメーカーです。

 結論から言うと、フリーザーベストは満足度が非常に高いものでした。

 水着のように伸縮性のあるベストは、保冷剤を首筋とわきの下に固定します。また、アイスパックは薄い衣類だけで身体に密着することを考えて作られた冷却材なので、装着時に冷たさを感じる、ほどよい冷却力が保たれます。

 例えば、密閉されたバッグに3個放り込んでおくと冷蔵庫になりそうなほどの冷却力がある気がしますが、解熱用のゲル氷枕のように身体に密着させると、痛さを感じるほど強い冷たさはありません。

 信号待ちで止まってわきを絞めると、冷たさをより実感できて「ふぅ~っ……」と、息が付ける感じです。猛暑のストレスが軽くなる気がします。

■アイスパックは片面断熱の専用設計、冷たさを持続させているが……

 気温33度前後の日中に使って、効果は4時間ほどでした。4時間中1時間程度は、空調のある屋内に入りましたが、着用中はずっと効果が持続しました。フリーザーベスト専用に開発されたアイスパックは、身体に接触する面は冷たく、反対の外気に触れる面は冷気が逃げないように断熱されているので、安定して冷気が続くようです。

使い方はアイスパックをベストのポケットに仕込んで着用するだけ。ベストの生地は目が粗く、水着のような伸縮性がある(写真=中島みなみ)使い方はアイスパックをベストのポケットに仕込んで着用するだけ。ベストの生地は目が粗く、水着のような伸縮性がある(写真=中島みなみ)

 重さは1個約160gで、3個装着時にベスト込みで600gほどですからに、走行時にも邪魔になる気はしません。バイクを降りても、ジャケットを着ていれば他人からは分からないし、シャツの下でも背中が多少ふくらんでいる程度なので常用できそうです。このコスパは最強レベルです。

 効果持続に必要な冷却時間は12~24時間です。ゲル状氷枕と同じで、冷凍庫で冷やすことが条件です。ちなみに旅先の小さな冷蔵庫の簡易製氷室で冷やしてみましたが、体感は同じでも持続時間が半減しました。

 建設現場などでは、氷を張ったクーラーボックスなどに予備を入れて、半日ごとに取り替えているようです。この方法を応用すれば、炎天下のライディング・スクールの熱中症予防や、ギグワーカーのデリバリー走行などでも役立ちそうです。

 ツーリングの場合は出発から4時間は冷却効果が得られて、その先は宿泊先に協力を求めなければならないところが唯一の欠点でしょうか。それでも疲れがたまった帰路に涼しさを感じられるのだから、装着する選択肢はアリだと思います。

 ただ、保冷剤を使って冷やす冷却グッズは売り切れが目立っています。実店舗を数店回った限りでは、すべて売り切れでした。今回選んだフリーザーベストは、あくまでも作業フィールドでの調達にこだわり、作業服専門サイト「ワークユニフォーム」を通して購入しました。電話でも相談できたので、冷却グッズを探す敷居が低かったことも報告しておきます。

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