いつまで経っても無料にならない! そもそも高速道路は、なぜ有料なのか?
バイクのニュース / 2024年8月14日 13時10分
ツーリングなどで走行する機会の多い高速道路は、基本的に通行料金が取られる仕組みになっています。しかし、そもそもなぜ有料となっているのか、理由を知らない人も多いでしょう。一体なぜなのでしょうか。
■なぜ高速道路は有料となっているのかを、詳しく解説していきます
自動車やバイクで遠出する際、利用することも多い高速道路ですが、物流を支える上でも重要な役割を担っており、特に平日には多くのトラックが見受けられます。快適さや時間短縮などのサービスが受けられますが、その代価として、ほとんどの区間で通行料金を支払うことになっています。
高速道路は、基本的に通行料金が取られる仕組みになっている
では、なぜ高速道路は有料になっているのでしょうか。NEXCO中日本の担当者は、以下のように話します。
「戦後、激増する交通需要に対応し、道路整備を早急に促進するために道路の建設費を国の金融機関から借り入れ、開通後の通行料金により管理費とともに返済していく「有料道路制度」が検討されました。そして昭和27年、この制度の実施のために「(旧)道路整備特別措置法」が制定され、本格的な 有料道路制度がスタートしたというわけです」
旧法では、維持や修繕が対象にされていなかったため、建築、管理などをおこなう日本道路公団が設立されるとともに旧法は廃止され、昭和31年に現行の「道路特別措置法(以下、特措法)」が制定されました。
戦後、資金難に陥っていた国や自治体が早期に交通の利便性を確保するため、費用を借り入れて高速道路を設立。借入金償還や施設の維持修繕、および新設の財源確保の手段として有料化に至った
つまり、戦後、資金難に陥っていた国や自治体が早期に交通の利便性を確保するため、費用を借り入れて高速道路を設立。借入金償還や施設の維持修繕、および新設の財源確保の手段として、有料化に至ったということです。
現在は、NAXCO東日本、中日本、西日本が施設の管理運営や建設、そして独立行政法人日本高速道路保有・責務返済機構が施設の保有、責務返済業務を担っています。
■有料制度はいつまで続くのか
現行の特措法では、高速道路を含む有料道路に対し、「料金徴収期間」が定められています。また、高速道路に関しては、およそ40兆円の借入金が完済次第、無料化することも謳われています。
高速道路料金は現在、有料制度を2115年まで延長する方向で調整されている(画像:NEXCO中日本軽自動車等料金表イメージ)
しかしながら、昭和47年の全国料金プール制発足によるネットワーク拡大や、平成24年の笹子トンネル崩落事故、老朽化施設の維持修繕や渋滞対策、および安全性向上への積極投資など、相次ぐ資金調達の必要性が生じたことにより、無料化は先送りを重ねていきました。そして現在、有料制度を2115年まで延長する方向で調整されています。
■高速道路料金はどのように決定されているのか
国土交通省によると、高速道路をはじめとする有料道路の料金は、償還主義、公正妥当主義、便益主義の3つの原則に基づき決定されます。
償還主義とは、料金の額を当該道路の施設維持修繕、改築、新設に要する費用を償うものとする
償還主義とは、料金の額を当該道路の施設維持修繕、改築、新設に要する費用を償うものとすることです。公正妥当主義とは、料金の額を他の公共料金・他の交通機関の料金・近隣の有料道路料金および物価水準と比較し、社会的、経済的に認められるものであることとすることです。便益主義とは、料金の額は当該有料道路の交通、利用により通常受ける利益の限度を超えないものでなければならないというものです。
このうち高速道路は、償還主義、公正妥当主義に基づき、借入金額および維持管理等にかかる費用(支出)と、想定される交通量(収入)から具体的な料金が決定されます。ただし、この原則に従うと、利益の少ない地域では採算をとるため、料金を著しく高額に設定せざるを得ません。これを防ぐため、前述の全国料金プール制により、各地で料金が均一化されています。
例えば、NEXCO中日本によると、東名高速道路や名神高速道路の料金は以下の式で概算することができます。
普通車の高速道路料金は、式で概算することができる
普通車の高速道路料金=(150+24.6×距離(km))×1.1 円。式中の24.6という数字は普通車の場合に適用される金額で、車種または区間によっても異なります。また、100kmを超えて走行する場合は、100km〜200km区間は25%割引、200kmを超えた区間は30%割引となります。
しかし、高速道路には無料区間が存在します。
高速道路の無料化は遠ざかるばかりですが、一部ではすでに無料開放されている区間もあります。なぜ無料で利用できるかというと、こうした区間は国や自治体の負担によって建設されており、NEXCOの管轄外であるためです。このような事業は「新直轄方式」と呼ばれ、主に採算性の面から、NEXCOによる管理が難しいと判断された地域に多い傾向がみられます。
無料区間も高速道路に分類されるものの、当然ながら有料道路に比べ建設コストは抑えられており、道路としての規格は低くなっています。したがって、車線数が少ない、制限速度が70km/h程度に設定されているなどのデメリットもあります。
※ ※ ※
高速道路の料金は主に建設費の償還や維持管理費に充てられており、無料化に関しては先が見えません。一方で、国や自治体の管轄により無料開放されている区間も各地に存在することから、これをうまく利用することで快適かつ低コストで旅を楽しめるでしょう。
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