バイクに義務化されているABS、実は125cc以下は対象外って本当?
バイクのニュース / 2024年9月6日 9時10分
ABSは「アンチロック・ブレーキシステム」といい、バイクを運転しているときの緊急時の危険回避のために装備されています。ABSが装着されていれば、ブレーキを強くかけてもセンサーがブレーキの強弱を調整し、タイヤのグリップ力を回復させて安定して停止できるようにサポートしてくれます。しかしABSの装着はすべてのバイクが義務化されたわけではなく、実は125cc以下のバイクは、ABSの義務化の対象から外されていることをご存知でしょうか。
■ABSの装着は義務化されたはず!?125cc以下は対象外ってどういうこと?
現在新車で販売されているバイクのほとんどが、ABSが標準で装備されるようになっています。これは、新型車は2018年10月から、後続生産車や並行輸入車などについては2021年10月からバイクのABSの装着が義務化されたためです。
タイヤがロックしそうになった際にブレーキオイルの油圧の制御をおこなうのがABSの役割
バイクを運転中に危険を感じたらブレーキをかけますが、タイヤがロックしそうになった際にブレーキオイルの油圧の制御をおこなうのが、ABSの役割。ブレーキをかけると、マスターバックからマスターシリンダーが押されて油圧が発生し、その油圧がブレーキパイプなどによってホースに伝わりブレーキがかかります。
ABSはコンピューター制御によってこのブレーキシステムを作動させ、ブレーキの油圧の調整をしてタイヤのロックを防止する仕組みです。前後のタイヤの回転差などからロックしそうになると、センサーが異常を検知してロックを回避します。
そのためABSは、あくまでも急ブレーキをかけてタイヤがロックしそうになった場合のみ介入し、通常のブレーキ操作では作動しないことを覚えておきましょう。
排気量51ccから125cc以下の原付二種については、ABSではなくCBS(前後連動ブレーキ)でもOK
ABSが義務化されてから数年が経ち、今ではほとんどの新型車にABSが搭載されるようになりました。しかし、ABSの義務化の対象となるのは排気量126cc以上の二輪車のみ。じつは排気量125cc以下のバイクは対象から外されており、排気量51ccから125cc以下の原付二種については、ABSではなくCBS(前後連動ブレーキ)でもOKです。
CBSは「コンバインド・ブレーキシステム」の略で、前後どちらかのブレーキ操作をするだけで両輪のブレーキがバランスよく作動するシステムです。
CBSが最初に搭載されたのは、右手のブレーキを操作すると前輪ブレーキとともに、自然と後輪ブレーキも作動する仕組みのスクーター
原付スクーターに搭載されたのが始まりで、当初は右手のブレーキを操作すると前輪ブレーキとともに、自然と後輪ブレーキも作動する仕組みでした。その後、前後輪のどちらか一方のブレーキを操作すると、もう一方のブレーキが作動するように進化しました。
またCBSは、前輪ブレーキだけをかけたときに起こる制動力の低下や、後輪ブレーキを強くかけすぎたときに起こるリヤタイヤのロックなどを防ぎ、安定した制動力を発揮することができます。そのため、運転に慣れていない初心者でもCBSが搭載されたバイクであれば、前後輪にバランスよくブレーキをかけることが可能になるというわけです。
なお、バイク用の先進ブレーキシステムとして、ABSとCBSを組み合わせた電子制御式「コンバインドABS」も登場しています。これは、これまでのABSが検知していた前後輪のスリップ率に加え、ブレーキの入力圧力も検知して制動力のより緻密なコントロールを可能にしたシステムです。
このように、ABSの搭載が義務化されたことでバイクの安全性は確実に向上しました。しかし、ABSはあくまでもブレーキ操作のサポートをするだけで、スリップや転倒などの事故を100%防いでくれる装置ではありません。
基本的に急ブレーキの操作をしなければ、ABSが作動することはない
ABSを搭載していても、路面の状況やブレーキをかけたときの姿勢などによっては制動距離が長くなったり、最悪はスリップする可能性も十分にありえます。
基本的に急ブレーキの操作をしなければ、ABSが作動することはありません。バイクにABSが搭載されているからといって過信せず、常にゆとりある運転を心掛けましょう。
※ ※ ※
バイクは転倒のリスクがつきものですが、安全かつ確実に停止させるには熟練したブレーキ操作が欠かせません。とっさの急ブレーキでもタイヤがロックせずに、運転操作をサポートできるようバイクのABSの装着が義務化されました。
ただし、原付二種に限りCBSでもOKとなっているので、とくに125cc以下のバイクを購入する際はブレーキシステムもよく確認してから選ぶようにしましょう。
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