根強い人気のホンダ「モンキー」 初代は折りたたんで持ち運びしやすいレジャーバイクだった!?
バイクのニュース / 2024年9月16日 19時40分
1967年に登場したホンダ「モンキーZ50M」は、遊園地生まれの小型バイクです。クルマにも積めるようハンドルとシートは折りたたみ式となっており、現地での楽しみをさらに広げる、新発想のレジャーバイクでした。
■遊園地生まれの元祖レジャーバイク
現在では排気量125ccクラスの原付2種モデルとして販売されているホンダ「モンキー125」ですが、そのルーツは遊園地のアトラクション用バイクでした。
ホンダのロングセラーモデル、「モンキー」シリーズの初代となる「モンキーZ50M」(1967年型)は、クルマへの積載も考慮してハンドルやシートが折りたためる設計だった
国際レーシングコースである鈴鹿サーキット(三重県)やモビリティリゾートもてぎ(栃木県)の施設内には、遊園地も併設されています。サーキットと遊園地の組み合わせには長い歴史があり、2つの施設を運営するホンダモビリティランド株式会社は、鈴鹿サーキット開設の前年である1961年に、東京都日野市に多摩テックというモータースポーツ施設を持つ遊園地を開設します。
多摩テックは家族でエンジン付きの乗りものを楽しめる自動車遊園地で、実際にバイクに乗って操る楽しさを体験できる「モンキーオート」と呼ばれたアトラクションがありました。
遊園地内で子供も大人も手軽に乗車できる小さなバイク、それが「モンキー」の元祖である「モンキーZ100」です。遊園地内の遊具用として開発され、市販予定はありませんでした。
一方、その構造はまさしくバイクで、「スーパーカブ」で使用していた排気量50ccクラスの空冷4ストローク単気筒OHVエンジンを、専用の小さな車体に搭載していました。
また、「モンキーZ100」は欧州のモーターショーに出品され、愛らしいスタイルで人気を博しました。
エンジンは「スーパーカブ」でお馴染みの排気量49ccの空冷4ストローク単気筒SOHCで、自動遠心クラッチの3速ミッション
1963年には欧州輸出向けに「モンキーCZ100」が登場し、3年間で約2500台が生産されました。「モンキーCZ100」もまた、多摩テックや鈴鹿サーキットなどでたくさんの人を乗せて活躍しました。
そして1967年には、いよいよ日本国内の一般公道を走行できる初代「モンキー」が発売されました。それが「モンキーZ50M」です。
エンジンの排気量は同じですが、動弁形式がSOHCとなり、「スーパーカブ」で好評の自動遠心クラッチの3速ミッションにより、簡単な操作で走ることができます。
「モンキーZ50M」には遊び心と機能性を両立させるために、さまざまなアイデアが盛り込まれています。原付バイクの中でも小さな車体サイズですが、チェック柄のシートとハンドルは大人が操縦できる高さとし、それらを折りたためるように設計されています。
後年の「モンキー」とは異なり、タイヤサイズは5インチと小さく、前後ともサスペンションはありません。ハンドルとシートを折りたたむことでクルマのトランクやヨットに積載できるほどコンパクトにできました。積んで行った先での楽しみを広げてくれるバイクとして考えられていたのです。
小さなフレームはサスペンションの無いリジッドタイプ。ステップも折りたたみ可能
当時、流行し始めた郊外でのレジャーで、「モンキーZ50M」はクルマユーザーにもバイクの楽しさを伝えるレジャーバイクでもありました。
その後、折りたたみ式ではなく、より走りが楽しめるようさまざまなモデルチェンジを経てロングセラーとなります。
2009年には電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を装備し、原付「モンキー」は2017年まで生産されます。
生まれ故郷である多摩テックは2009年に閉園となりましたが、「モンキー」は成長を続けて2018年には原付2種モデルの「モンキー125」へと継承され、レジャーバイクの代表格として、現在でも人気モデルとなっています。
容量2.5Lの燃料タンクには、持ち運び時にガソリンが洩れない防止装置付き。キャブレターからのドレンも装備する
ホンダ「モンキーZ50M」(1967年型)の当時の販売価格は6万3000円です。
■ホンダ「モンキーZ50M」(1967年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC
総排気量:49cc
最高出力:2.5PS/6000rpm
最大トルク:0.31kg-m/5500rpm
全長×全幅×全高:1145×610×790mm
始動方式:キック
車両重量:47.5kg
燃料タンク容量:2.5L
タイヤサイズ(前後):4.00-5(2PR)
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影
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