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2年に1度「GS乗り」の祭典がナミビアで開催 9回目の「インターナショナルGSトロフィー2024」を見た

バイクのニュース / 2024年12月29日 11時10分

2024年9月15日から6日間、アフリカのナミビアで『The International GS Trophy 2024』が開催されました。BMW Motorradが2年に1度、参加表明国から予選を経て代表に選ばれたライダーを招き、競技のみではないライダーのスキルを壮大な地を舞台に様々なチャレンジを通して競い合う、国対抗のチーム戦です。チームジャパンの模様をお伝えします。

■各国からナミビアに集結した、GSライダーたちが挑む6日間

 BMWモトラッドは、2008年から2年に1度開催しているのが『インターナショナルGSトロフィー』です。参加を表明した国で選考会が行われ、ライディングスキル、体力、英語のコミュニケーション能力を試されます。そこで男性は上位3名、女性は上位2名に選ばれると参加への門戸が開きます。

『The International GS Trophy 2024』の舞台となったのは、アフリカ大陸南部のナミビア『The International GS Trophy 2024』の舞台となったのは、アフリカ大陸南部のナミビア

 人生に1度だけ参加が許されるこのイベントは、GSユーザーであり、参加国の国籍を持っていればエントリー可能で、これまで日本は8回開催されたGSトロフィー全てに参加をしてきました。

 9回目となる2024年の開催地に選ばれたのは、アフリカ大陸南部のナミビア。その首都ウィントフックの空港へと日本代表となった男性チームの北川博邦さん、前原康浩さん、島田和幸さん、女性チームの滝本友美さんと吉澤翆和乃(みわの)さん達は、長いフライトを経て9月13日に到着しました。

 2024年のGSトロフィーには、全22チームが参加します。BMWの母国ドイツはもちろん、ヨーロッパからはフランス、イタリア、UK、ベネルクス(ベルギー、オランダの混成チーム)が参加。

 アメリカ大陸からはUSA、メキシコ、ブラジル、ラテンアメリカチーム(チリ、パラグアイの混成チーム)。アジアからは日本をはじめ、中国、韓国。そしてミドルイースト(アラブ首長国連合、サウジアラビア、レバノンの混成チーム)もエントリーしています。

『The International GS Trophy 2024』では男性16チーム、女性6チーム、合計22チームが参加『The International GS Trophy 2024』では男性16チーム、女性6チーム、合計22チームが参加

 今回のトピックスとしては、参加を表明していない国々のGSライダーにも門戸が開かれ、ドイツ・ベルリンで2023年に開催された『モトラッド・デイズ』の会場付近で選考会を行い、男性はポーランド、オーストリア、ウクライナの混成チーム、女性はポーランド、チェコの混成チームがインターナショナルチームとして参加を果たしています。

 男性16チーム、女性6チーム、合計22チームが参加した2024年のGSトロフィーでは、ナミビア中部を東西に巡るようにレイアウトされたコース、大自然のバラエティに富むエリアを9月15日から6日間にわたって走破しました。

 このイベントのコンセプトは、GSで共に走るアドベンチャー・ツーリング体験を共有し、参加者同士の友情を温め、文化の交流も図るというもの。バイクが繋ぐ人生の思い出、とも言えるでしょう。

 そんな関係を、ナミビアという多くの人にとって未体験な地を旅することで、リアルなロールプレイングゲームとして楽しむのです。

この日のために選手に用意された「R 1300 GS」のトロフィー仕様。その数たるや……!!この日のために選手に用意された「R 1300 GS」のトロフィー仕様。その数たるや……!!

 GSトロフィー2024ナミビアで参加者が走らせたのは、「R 1300 GS」のトロフィー仕様車です。ベースは「GSスポーツ」仕様で、フロント210mm、リア220mmのサスペンションストロークを持ちながら、アダプティブライドハイトコントロール(速度に応じて自動で車高が変わるもの。停止時には30mm車高が下がり、足つき性も良好)、純正オプションと同じアクラポビッチのスリップオンマフラーを装備し、小ぶりなラゲッジバッグをリアシート部分に装着したほか、専用のデカールと参加者のゼッケン&名前が入ったことでスペシャル度が増しています。

 日々の移動は、長い日で430km、最も短い最終日が50kmでした。「F 900 GS」に乗ったマーシャルが2チームを引率し、ルートガイドを務めます。

 キャンプ地から次の目的地を目指す途中、参加者達はスぺシャルステージと呼ばれるゲームを行います。バイクを使った走行コンテンツから、パンク修理、ペーパーテストなどそのジャンルは様々。SNS用に写真を撮影し、それを5名の運営関係者がジャッジして順位を決めるというコンテンツもあります。

 このスペシャルステージは、常にチーム戦であり個人戦ではありません。走行コンテンツであれば、男性3名、女性2名のチーム全員が、スタートからゴールするまでのタイムが計測されます。

 タイムが早い方が上位のコンテンツもあれば、走行タイムの合計をできるだけ長くかけた遅乗り競技もありました。ステージを行う場所に到着し、移動する2チームごとに競技内容の説明を受け、そのままスタートとなります。練習、下見はナシ。この一発勝負の中で、力を合わせて結果を出すのが難しいのです。

「F 900 GS」に乗るマーシャルがルートガイドを務め、参加者にはどのような場所を走るのかは一切知らされない「F 900 GS」に乗るマーシャルがルートガイドを務め、参加者にはどのような場所を走るのかは一切知らされない

 ポイントは、MotoGPなどのように1位25点、2位20点、3位16点というように、上位ほどボーナス性があり、5位以下は男性の場合16位まで1点差で加算、走行コンテンツ以外のゲームでは1位が20点、2位15点、3位13点と、重みが少し異なります。4位から1点差で15位までポイントが付与され、16位はゼロ点となります。

 GSトロフィーは冒険ツーリングでもあり、そのゴールは怪我無くバイクを壊さず、目的地にたどり着くこと。その点が尊ばれることから、転倒などでバイクを壊すとチームにペナルティポイントが課せられます。

 バイクの交換が必要な場合-60点、クラッチ交換が必要な場合-50点、タイヤ交換が必要な場合(パンクなど不可抗力を除く)-35点等々、旅の相棒を丁寧に扱う必要もあるのです。

女性カテゴリーで日本人の参加は初、そして見事2位を獲得!!女性カテゴリーで日本人の参加は初、そして見事2位を獲得!!

 宿泊は到着した日から、終了してキャンプ地を後にして空港に向かう日まで、全てテントでのキャンプ泊になります。しかしケータリングやシャワー、トイレといった環境は素晴らしく、最高のアドベンチャー・ツーリング環境が整っています。

 コースの難易度は、ここ数大会の中でも高いスキルを求めるもので、50km以上にわたって深い砂の中を走る日があれば、地平線まで何も無い大地をひたすら進むシーンも感動的でした。ガレ場のアップダウンなど、およそ排気量1300ccの重量級バイクを走らせるのは苦労する場面も含まれます。

 そうした旅の辛さも、仲間と乗り越えることで各国からの参加者との親睦が深まり、わずか数日で見知らぬ同士が家族のように変化してゆきます。

アフリカのナミビアへ赴き、『The International GS Trophy 2024』を無事走り切った5名の日本代表選手たちアフリカのナミビアへ赴き、『The International GS Trophy 2024』を無事走り切った5名の日本代表選手たち

 今回のGSトロフィー2024ナミビアで優勝したのは、男性カテゴリーではドイツ、2位に南アフリカ、3位はブラジルで、日本代表は13位で終えています。

 女性カテゴリーでは、優勝がインターナショナル、日本は2位(!!)を獲得しました。日本女性の参加は初となり、その結果にBMWモトラッドの運営側も大いに満足していました。

 およそ1300kmにわたるGSによるアドベンチャー・ツーリングは、日本代表をはじめ各国の代表は勿論、関わった多くの人達にとっても素晴らしい思い出となったのです。

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