オフロード性能に全振り!? BMWモトラッドが推す、ある意味「GS」の真髄「F 900 GS」を体験!!
バイクのニュース / 2025年1月15日 12時10分
BMW Motorradの「GS」を冠するモデルから、「F」シリーズが新型となって登場しました。排気量895ccの並列2気筒エンジンを搭載する2機種のうち、オフロード性能を増した「F 900 GS」は外観も大幅に刷新。その走りはどうなのか? 試乗しました。
■見た目からしてヤル気!? 新らしくなった「F」の「GS」は?
BMWモトラッドが販売するバイクの中でも人気の「GS」シリーズ。その名前はドイツ語の「ゲレンデ」と「シュトラッセ」の頭文字を組み合わせたものです。オフロードとストリートを意味するそのネーミングで、すでに45年続くシリーズで、「GS」は世界のアドベンチャーバイクブームの元祖でもあり、その流れを下支えしてきたモデルとも言えるのです。
BMW Motorrad新型「F 900 GS」(2024年モデル)に試乗する筆者(松井勉)
現在(2025年1月時点)、国内では水平対向エンジン搭載の「R 1300 GS」シリーズ、直列2気筒エンジン搭載の「F 900 GS」と「F 800 GS」、そして単気筒エンジンの「G 310 GS」があります。
価格、排気量とも「F」シリーズは中間グレードとも表現できますが、プレミアムクラスとエントリークラスには無い、自由さを感じています。
表記は900と800ですが、搭載するエンジンはともに排気量894ccです。エンジンのチューニングの違いで、900は77kW/8500rpm、800は64kW/6750rpm、最大トルクは900が93Nm、800が91Nm、発生回転数はともに6750rpmで、270度の位相クランクを採用し、不等間隔爆発による排気音のパルス感やトラクション特性を持つのが特徴です。
「F」シリーズのキャラクターは、800が最新技術で造ったスクランブラー、900は最高の素材を投入したオフロードスポーツと表現できます。
スタイルから受ける印象は、800が持つオフロードイメージを抑えた万能バイクというキャラクターからすると、今回走らせた900の方は、フロント230mm、リア215mmというサスペンションストロークを持ち、パンと伸びた足と背の高さが印象的で、どこからどう見てもオフロード性能に全振りしたようなカッコ良さがあります。
特に、燃料タンク、エンジンまわりのボリューム感とは対象的に、シートから後部にかけてのスリムな車体が「オフ車感」を倍増させています。
サスペンションは前後とも伸び側/圧側の減衰圧とスプリングの初期荷重設定を調整出来るのも特徴です。ここはあくまでライダーの好みに合わせてセットアップするアナログ式。あえて得意の電子制御ではありません。
BMW Motorrad新型「F 900 GS」(2024年モデル)カラー:ライト・ホワイト / レーシング・ブル ー・メタリック / レーシング・レッド
長い足によりシート高は870mmと高め(試乗車はローシート装着で835mm)。その分、エンジン下部には地面とのクリアランスも広く、荒れ地でもグランドクリアランスは充分に見えます。
また、金属製パイプを使ったナックルガードも、転倒しても壊れないというタフさを示します。チタン製のアクラポビッチサイレンサーの装備、ドライブチェーンもDLCコーティングフリクションロス低減を施した高性能なMエンデュランスチェーンです。
オフロードに適したスタンディングポジションを取る時にしっくりとくるハンドルバーライザーも装備されています。
「GS」の名の由来にも忠実な装備として、舗装路をツーリングする際とオフロードをスタンディングで走行するときの両方にフィットさせやすいよう、簡単な調整でチェンジ、ブレーキペダルの踏面の高さを変更できる機構も備えます。
容量14.5リッターの燃料を9割ほど満たした状態で、224kgの車重となる「F 900 GS」は、重量物が中心位置に近い部分にまとまっている印象で、サイドスタンドから起こす瞬間こそ相応の重量感はあるものの、バイクを直立させると重み感はスッと無くなります。
足つき性は細身のシートの恩恵で悪くは感じないのですが、高さは少し覚悟が必要です。試乗車にはローシートを装備していたせいか、ライザーで24mmほど上がったハンドルバーのグリップ位置がやや高く感じます。
■オフ車振りだけど舗装路もカバー、「GSならでは」を味わえる
走り出すと、2気筒エンジンのトルク感と滑らかさを感じます。クラッチのミートポイントも扱いやすい幅があり、しかも軽い操作力なのでストレスがありません。
アスファルト路面でも楽しめる走り。ロードセクションでの性能の高さを実感
シフトストロークはオフロードブーツを履いている時にぴったり。ブレーキの操作感と減速の引き出し方はレバーやペダルの操作力に比例したものです。
フロントフォークはその作動性が滑らかで、テスト車が履いていたメッツラーの「カルー4」というオフロード向けブロックタイヤで冬のアスファルトを走っても、信頼感あるグリップを感じることが出来ました。
ツーリングシーンでは、途中1時間ほど雨の中を走ることもありましたが、ブレーキング、コーナリングにも不安が無く楽しめます。
とにかくバイク全体のバランス点が高いな、と実感。優れた車体だと感じました。その点で「GS」の「S」=ストリート(シュトラッセ)での性能はオフ車風に見えてなかなか高い性能を担保しています。
エンジンは2000回転以上で普通に走ってくれる力を持っていますが、その本領は3000回転あたりから始まり、ほとんどの場合、5000回転までの間でカバーされます。この辺は「GS」の名にかけて、というトコロでしょうか。
反応の軽い車体、トルクフルなエンジンの恩恵もあり、とにかくロードセクションが楽しめます。
これまで以上にオフロード性能に振り切った新型「F 900 GS」には、ある意味「GS」の真髄を感じる
オフロードでは「F 900 GS」の魅力があふれ出します。前後サスペンションとフロント21インチと大径細身のタイヤが安心の安定感、グリップ感を発揮し、17インチのリアタイヤはパワーを的確に路面に伝えます。
舗装路よりもエンジンを謳わせても暴れ馬に豹変するようなことはありません。ゴロゴロとした石が散らばる路面をヒタヒタと走ってくれます。
車体の硬さを感じる場面も無く、安心の剛性感だけを享受しながら走るダート路。「おいおい、こんなデカイ排気量のバイクでこんなにオフロードが楽しめるの!?」と驚きでした。
体重移動のしやすいシートもライダーの味方です。反面、スタンディングポジションで走る時、タンク両脇のエッジが膝まわりと干渉してホールドする際に点当たりしているような部分がちょっと不満でした。
オフロード性能とコントロール性が素晴らしい分、舗装路を1時間もツーリングするとオシリが痛くなってきたのはトレードオフのマルとバツですが、「F 900 GS」は「オフロードを楽しみたい」と思っているライダーにオススメのバイクであり、オフロードスタイルに惚れて舗装路メインで使ってもコレは楽しめる、その点で、「さすがGS!」と感じたテストでした。
※ ※ ※
BMW Motorrad新型「F 900 GS」(2024年モデル)の価格(消費税10%込み)は204万3000円です。日本仕様にはETC 2.0車載器が標準装備されます。
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