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「ウエディングドレスを着たかったのですが…」“46歳・女装おじさん”が驚いた「意外な結婚式マナー」の壁

文春オンライン / 2024年8月4日 11時0分

「ウエディングドレスを着たかったのですが…」“46歳・女装おじさん”が驚いた「意外な結婚式マナー」の壁

仕事を機に「女装」に目覚めた谷琢磨さん。そんな彼が結婚式で直面した「あるアクシデント」とは?(撮影:Lestat C&M Project)

〈 「痴漢にストッキングを破られたこともあります」“息子の女装姿”を見た両親の感想は…46歳おじさんが「ロリィタ美少女」に変身した理由 〉から続く

「結婚式では2人ともウエディングドレスを着たかったのですが、会場を見つけるのに苦労したんです。ホテルや教会など色々なところを探しましたが…」

 33歳のときにハマった「女装」を46歳の今も続けるミュージシャンの谷琢磨さん(現在46歳)。最愛のパートナーとの結婚式もウエディングで臨もうとしたものの、そこには“あるアクシデント”が。知られざる「結婚式マナー」とは?(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

女装モデルが結婚して苦労したこと

――女装をするようになってから出会った女性と結婚されたそうですが、「結婚式で困ったこと」とは何だったのでしょうか。

谷琢磨(以下、谷) 結婚式では2人ともウエディングドレスを着たかったのですが、会場を見つけるのに苦労したんです。ホテルや教会など色々なところを探しましたが、「男女関係なく、結婚式ではウエディングドレスはお1人だけというのがマナーなんです」と言われて軒並み断られてしまいました。結局、原宿にある小さな教会でOKが出たので、希望通り式を挙げることができました。

――奥様はどんな方なのですか?

 9歳年下で、見た目は僕と瓜二つです。好きなファッションが同じで、体型が似ているのでお洋服をよくシェアしています。

――結婚のきっかけは何だったのでしょうか。

 僕はバンドマンですが、昔から全然モテなかったんです。女装するようになってからは、性別を越えた、ゆるキャラ的な存在だと思われるのか、ますます恋愛対象として見られなくなっていました。そんなとき、唯一「好きです」と言ってくださったのが奥さんだったんです。「このご縁を逃したら、この先誰ともお付き合いしないだろうな」と思って交際することになりました。お付き合いをしてみると素晴らしい方だし、すごく気が合ったので僕が39歳のときに結婚することになりました。親も友人も「まさか結婚するとは」と驚いていましたね。

――奥様のご両親に結婚の挨拶をするときは、女装をして行ったのですか?

 隠すのはよくないと思って、ばっちりメイクのフル装備で行きました。緊張しましたが全く問題なく受け入れてくださって、「自分の人生全てラッキーだな」と思いましたね。

「実はパパなんです」と告白すると…

――普段は、どんなパパなのでしょうか。

 5歳と7歳の娘がいるのですが、幼稚園の送り迎えもするし、仕事の時間を調整して、家で子供達をお風呂に入れてから撮影現場に戻ったり、子育て第一に過ごしています。

――お子さん達は、パパが女装していることをどう捉えているのでしょうか。

 「パパ可愛い」と言ってくれます。他の家庭を知らないので、娘達にとっては家庭内に男性的な見た目の人がいないのが当たり前なんです。娘達はオシャレや可愛いものが大好きなので、キッズ用のドレスを着て僕と一緒に撮影するときも楽しんでくれています。ただ、ピンクが好きなので「黒いドレスは嫌だ」ということはありますが(笑)。

――幼稚園の先生達はどんな反応なのでしょうか。

 幼稚園の先生に奥さんと間違えられることがあります。僕のすっぴんは“おばちゃん”なのですが、マスクを着けていると先生達は僕と奥さんの区別がつかないようで「お母さん」と話しかけられることがあります。

パパではなくママと勘違いする保護者も…

――他の保護者とのお付き合いはいかがですか?

谷 関係の深い方は僕がパパだと分かっているのですが、浅いお付き合いの方は僕のことをママだと思っていることがあります。一度、あまりよく知らないママさん達と話していたとき、「実は、ママじゃなくてパパなんです」と言ってみたことがあるんです。すると3秒くらいの沈黙のあと、「……パパとしての役目も果たされているんですね」と言われました(笑)。今の時代、あまり踏み込んだ発言をしないように皆さんすごく気を遣いあっているので、逆に面白くなってしまうことがありますね。

――娘さんのお友達に驚かれたりしますか?

 幼稚園の行事に行くと、娘のお友達に「パパなのー?」と聞かれるので、「パパなんだよー」と言ってます。今は多様性に対する理解が広がっていて、子供達は見た目が違うことに対して悪口を言ったり、からかったりすることがないんだなと感じます。幼稚園の保護者も、海外の方が多かったり、金髪やピンクの髪をしたママやパパが普通にいますし、僕なんて全然特別な存在じゃないなと思います。

――現在46歳ですが、これから女装を続けていくことについてどう考えていますか?

 モデルのお仕事があるので続けていきますが、基本的には子供のことが第一なので、「ドレスを着てるパパが嫌い」と言われたら、多分着なくなると思います。そのときは、また新しい形で自分らしさの表現を探したいと思います。

――女装に関する悩みを相談されることはありますか?

 SNSでメッセージをいただくことはすごく多いです。女装の方が集まるイベントで直接お話しすることもあるのですが、女装と一口にいっても、そこに行き着くまでの道のりは千差万別なんです。僕のように仕事で始めた方、心の悩みを抱えている方、単に女性向けのファッションが好きな方もいます。だから1つの集団として、なかなか共感し合えないんです。

 例えば、「どうやって家族にカミングアウトすればいいですか」と相談を受けることが多いのですが、僕は元々オープンにしていたので答えてあげられなかったりします。親身になろうとはするのですが、有益な情報を与えられている実感はないです。

――一番多い悩みはどんなことなのでしょうか。

 「家族に言えない」ということですね。トランクルームなどのレンタル倉庫に女装のためのお洋服やウィッグを隠して、そこで着替えているという方が多いです。「女装サロン」などの女装をするためのお店に行く方もいますが、今はAmazonなどで1000円ちょっとでウィッグが買えるので、自分で購入する人が多いです。

――女装に対する世間のイメージについて、変えていきたいことはありますか?

 「おじさんだからこういう格好はしてはいけない」というのを少しでも無くして、明るいイメージに変えていくために少しでもお役に立ちたい思っています。おじさんや、お父さんという言葉をいい意味で捉えてもらいたくて、敢えてSNSでは自分のことを「おじさん、お父さん」と言うようにしています。最近、SNSのフォロワーさんから「自分もパパなのですが、家でも女の子の服を着られるようになりました、谷さんの影響のおかげです」とメッセージをいただいたことがあって、すごく嬉しかったですね。

パパになっても女装したい人が沢山いる

――パパになっても、女装をしたい人はいるんですね。

 驚くほど沢山いらっしゃいます。表立って言えないだけで、「谷さんのようになりたいです」とカミングアウトしてくださる方は本当に多いです。それが輪として広がって、世の中に認められるコミュニティになったらいいなと思っています。「女装」という言葉があまり良くないニュアンスで使われることが多いので、「女装」ではなく「おじさんが好きなお洋服を着て、好きなように生きています。みんなそれでいいんじゃないかな」と発信するようにしています。

 最近、レースをあしらった女性も男性も穿けるユニセックスな下着が発売され、人気が爆発しているんです。やはり、潜在的に可愛いものが好きな男性が大勢いるんだなと思いました。メンズファッションは色味や可愛らしさが少ないので、この流れをもっと広めてほしいですね。女性のかっこいいパンツスタイルが素敵なのと同様に、男性が可愛い格好をするのも全然ありだと思っています。今は髪型や服装が自由な企業が増えていますし、これからもっとオープンになっていくような気がしています。

(都田 ミツコ)

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