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《ついに逮捕》東京女子医大の“女帝”岩本絹子元理事長が「6.8億円」をしゃぶりつくすまで

文春オンライン / 2025年1月13日 19時0分

《ついに逮捕》東京女子医大の“女帝”岩本絹子元理事長が「6.8億円」をしゃぶりつくすまで

理事長室が入る彌生記念教育棟

 まさに女帝のごとく、岩本絹子元理事長(77)が東京女子医科大学を支配するようになってから、その界隈は「赤い巨塔」と呼ばれるようになった。岩本氏が建て替えた校舎群が、赤煉瓦の外壁で統一されているからだろう。

◆◆◆

解任後、引きこもる日々を送る岩本氏

 2024年8月、理事長を解任された岩本氏は「赤い巨塔」から追放され、約5億円かけて改装した豪華な理事長室への立入りも禁じられた。以降、岩本氏は自宅が併設されている都内の産婦人科医院に引きこもる日々を送る。だが、

「岩本さんが散歩している姿は見たことがありません」と近隣住民は話す。

 時折、迎えの車で外出することもある。警視庁捜査二課の事情聴取を受けるためだとみられる。

 異様なのは、運転手らに通路をビニールシートで覆わせて、車に乗り込むことだ。自分の姿をメディアに撮影されたくないらしい。

明るみに出た『疑惑のカネ』

 女子医大の創立者一族の岩本氏は、佐賀県唐津市の出身。19年に女子医大・理事長の座を得た。

 当時、赤字経営に陥っていた女子医大を、人件費の削減やコストカットで黒字化したが、その裏で架空契約などの手口で不正に多額の資金を流用していた。

「疑惑のカネ」が明るみに出たのは、女子医大の事務職員2人による内部告発が筆者にあったからだ。

 2022年4月、週刊文春は「東京女子医大の女帝 『疑惑のカネ』」をスクープ。架空の職員出向などで、億単位の不正なカネが動いていた疑惑を伝えた。

 これに対して岩本氏らは、同大内部監査室の元刑事の職員たちに命じて、内部告発した2人を探し出し、懲戒解雇。しかし、女子医大の卒業生有志が立ち上がり、岩本氏を背任罪で警視庁に告発した。

 警視庁は告発を受理してから1年間かけて内偵捜査を行い、今年3月に岩本氏の自宅や女子医大などを一斉に家宅捜索した。

調査報告書に書かれた、厳しい評価

 事態を重く見た文部科学省は、第三者委員会による調査を女子医大に指導。

 3カ月に及ぶ調査の結果、第三者委員会は本誌や文春オンラインの報道は概ね事実と認定、厳しい評価を岩本氏に突きつけた。

〈資金の不正支出・利益相反行為の疑義を生ぜしめる一連の行為を繰り返した。そこには、金銭に対する強い執着心と、本法人に対する忠実性の欠如を見て取ることができる〉(調査報告書)

 この調査報告書が提出されて約1週間後、岩本氏は理事会で解任され、全ての役員(理事・監事・評議員)が辞任して、一新された。

岩本氏らがしゃぶった金額

 理事長には元財務官僚で弁護士の清水治氏が就任、岩本氏らに対し、不正に流出した資金の回収や、民事や刑事の責任追及を求める法的手続きを行う方針を明らかにしている。岩本氏らがしゃぶり、流出した被害金額について、筆者が試算したところ、最低でも6億8000万円以上になる。

 加えて、女子医大は岩本氏に対する退職金の不支給を決定。現在、警視庁は岩本氏と元側近の2人(共に50代)に関して、特別背任の容疑などで捜査を進めている。ただ、「Xデー(逮捕)が近い」という情報の一方で、捜査が壁に当たっているという話も聞こえてくる。

「不正なカネを流用した事実は確認されていますが、直接関与したのは元側近の2人のみ。最終的にカネが岩本氏に還流された、または岩本氏の指示があった、という立証が難しいそうです」(女子医大関係者)

 かつて国内トップレベルの医療施設だった女子医大は、岩本氏の無謀なリストラで、医師や看護師の不足が深刻化した。名門復活は、スキルの高い医療スタッフの確保にかかっている。

 1月13日、岩本氏は背任容疑で警視庁に逮捕された。

◆ ◆ ◆

「東京女子医大の女帝 『疑惑のカネ』」をスクープした週刊文春は、電子版にて「 東京女子医大の闇 」について詳しく報じている。

(岩澤 倫彦/週刊文春 2025年1月2日・9日号)

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