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「期待の裏に一抹の不安が…」専門家がどうしても気になるNintendo Switch 2の“明確な懸念点”

文春オンライン / 2025年1月17日 17時0分

「期待の裏に一抹の不安が…」専門家がどうしても気になるNintendo Switch 2の“明確な懸念点”

画像はNintendo Switch 2 予告映像 - YouTubeよりキャプチャー

 任天堂は2025年1月16日、次世代機「Nintendo Switch 2」を発表した。多くの人々が待ち望んでいた新型ゲーム機だけあって、界隈は大いに盛り上がっているが、同時に不安を感じるファンもいるようだ。

 かくいう筆者は「現段階ではなんともいえない」といったところで、今回の発表自体は気持ちが大きく盛り上がるようなものではなかった。事前にリークされた情報以上の発表がなかったのも大きいが、過去の任天堂新ハードの躓きがつい頭をよぎってしまうのだ。

 Nintendo Switchは全世界で1億4604万台も売り上げており、まさしく大ヒットゲーム機といえよう。とはいえ任天堂も必ず当たるゲーム機を出せるわけでもなく、というよりむしろ、近年の場合はヒットしたハードの次世代機は売上がしぼみがちである。

 例えば、ニンテンドーDSは1億5402万台も売れたが、その後のニンテンドー3DSは7594万台に留まっている。1億163万台売れたWiiに至っては、後継機となるWii Uが1356万台しか売れていない。Wii Uは失敗したといってもいい部類だろう。

 もちろん近年そういう傾向だからといって、Nintendo Switch 2も同じ轍を踏むとは限らない。何より任天堂自身も十分に気をつけているはずだ。しかし、それでも期待の裏に一抹の不安が残るのである。

Nintendo Switch 2にないものは…

 Nintendo Switch 2の何が気になるかといえば、「順当な進化」としか言えない点だ。

 任天堂のゲーム機は、新しい遊びを提供しているがゆえにユーザーを驚かせる。Wiiが発表された時、リモコンを振る操作方法を奇妙なものだと思ったが、むしろそのカジュアルさが世界中でウケた。ニンテンドーDSのダブルスクリーンやタッチ操作も、意外であると同時に活用できるゲームが多かった。家庭用据置型テレビゲーム機でありながら持ち運びもできるNintendo Switchのハイブリッド機能は、発表当初こそ不安視する声も大きかったが、いまや一種のスタンダードとなり、ポータブルゲーミングPCというジャンルすら生まれている。

 ハードに搭載された新たな特徴に応じた、新鮮な遊びを用意するからこそ任天堂のゲームは支持されるわけだが、時にそれが伝わらないことがある。

 ニンテンドー3DSの立体視は確かに驚くのだが、すぐに使わなくなってしまったプレイヤーも少なくないだろう。Wii Uのコントローラーをモニターにしてしまう作りは確かにすごいしいろいろな作品で活用されたのだが、驚くほどコケた。

 結局のところ、インパクトがあるうえに、ゲームを遊ぶ際に役立ちつつ、それでいて扱いやすい仕組みがあると任天堂の新ハードとしてベストなのだが、Nintendo Switch 2に関してはそうした路線とは違う。少なくとも発表時点ではこれといったインパクトがないのだ。

 あるとすれば、新しいコントローラーを縦にして滑らせている部分だろう。この詳細はまだ明かされていないのだが、コントローラーをマウスのように扱えるのではないかと予想されている。

 そうだとしたらインパクトに欠ける。そもそもNintendo Switchもマウスは接続できるし、PCでは極めてありふれた操作だ。これで何か新しいものが生まれるだろうか?

「Nintendo Switch 2」という名称も、Nintendo Switchとの差別化に苦労しそうだ。ゲームに詳しくない人はマイナーチェンジ版だと思ってしまう可能性がある。

 あるいは、任天堂のゲーム機は低年齢層も欲しがるわけだが、すでにNintendo Switchを持っている子供が親に対し、Nintendo Switch 2との違いを明確に説明できるだろうか? ましてや今回はNintendo Switchのソフトをプレイできる互換性があるので、一緒くたにされかねない(それこそWii Uのように)。

「Nintendo Switchで最も売れたゲーム」を再現できるか

 もうひとつ気になるのは、過去ハードの財産を新作として使えない部分にある。Nintendo Switchのゲームソフトは13億本以上も販売しており、爆発的に売れたわけだが、なかでも最も人気を集めたゲームソフトは『マリオカート8 デラックス』である。これはWii Uで発売された『マリオカート8』の要素追加版だ。

 これ以外にも、Nintendo SwitchではWii Uのゲームソフトに要素を付け加えて新しい作品として発売している。『スーパーマリオ 3Dワールド+ フューリーワールド』や『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』がそれに該当する。

 Wii U自体があまり売れなかったこともあり、要素を追加して販売することでNintendo Switchのタイトルラインナップを充実させることが可能だった。それどころか、最も売れるソフトまで生み出せてしまったのだ。

 ところが、Nintendo Switch 2では事情が異なる。互換性があるためNintendo Switchのソフトがふつうに遊べてしまう。場合によっては、完全新作が縦マルチ(ゲーム機の世代を新・旧またいで複数のハードで同時発売されること)もありうる。

 たとえばポケモンシリーズ最新作『Pokémon LEGENDS Z-A』は、発表時点ではNintendo Switchで発売されると明らかになっていた。もし今後Nintendo Switch 2のみになるような変更がなければ、どちらでも遊べるのだろう。となると、当然ながらNintendo Switch 2だけの強みは失われてしまう。

 もちろんNintendo Switch 2はスペックアップすると思われるので、同じゲームだとしてもより快適に遊べる可能性はあるだろう。ただし、より性能の高いものを求める人は一部に過ぎない。他社のゲーム機の話になるが、PlayStation 4の場合は上位バージョンのPlayStation 4 Proを購入したユーザーは約20%だったという。

ライバルは「Nintendo Switch」

 Nintendo Switch 2に最も求められるものはなにか? それはやはり、ゲームソフトの充実であろう。それもこのゲーム機でしか遊べないものを、だ。

 Nintendo Switch 2発表映像では、「マリオカート」の新作と思しき映像も確認できた。しかもスタートラインが24個もあり、つまり最大24人でプレイできることが示唆されている。

『マリオカート8 デラックス』の対応人数は12人までだったため、新しいタイトルではおそらくその倍のプレイヤーが参加できるわけだ。より多くの人が集まれるのであれば、さらに白熱したレースが楽しめる。

「スプラトゥーン」、3Dアクションの「スーパーマリオ」、「星のカービィ」、「ファイアーエムブレム」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」、「ゼノブレイド」など、任天堂のゲーム機でしか遊べない新作シリーズは数多い。かつ、これらはNintendo Switch 2での発売が期待されている。こういった作品を“Nintendo Switch 2専用タイトル”として定期的に発売できれば、ゲーム好きなユーザーは喜んで新ハードを求めるだろう。

 一方、ハードの売上を伸ばそうと思うと、ゲーム好きでない層に対して、Nintendo Switch 2の魅力をアピールする作品も必要になってくる。だからこそ新しい遊びが欲しいのだが、現段階ではそれにあまり期待できない。

 つまり、結局のところ、Nintendo Switch 2の最大のライバルはNintendo Switchそのものなのである。

 任天堂は過去を超えることができるのだろうか。

(渡邉 卓也)

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