《「セクシー田中さん」脚本トラブル》友人男性が明かした原作者・芦原妃名子さん(享年50)の“ほんとうの姿”「感情の起伏がなく、芯が強い女性」「仕事の悩みはほとんど話さなくて…」《死去から1年》
文春オンライン / 2025年2月5日 12時20分
「セクシー田中さん」(DMMブックスより)
〈 『セクシー田中さん』原作者・芦原妃名子さんの死去から1年…週刊文春が報じた「日テレ脚本トラブル」「小学館の混乱」「新ドラマ制作中止」 〉から続く
2024年1月、日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子(本名・松本律子)さんが命を絶った事件。衝撃的な報道から1年が経つ今、この事件の風化を怖れる声も上がっています。一体、何が起きていたのか。「 週刊文春電子版 」のオリジナル記事で一連の問題を振り返ります。(初出:週刊文春電子版オリジナル 2024年2月7日掲載 年齢・肩書等は公開当時のまま)
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「落ち着いたらメールをしようと思っていました。彼女は仕事の悩みはほとんど話さないのです。あのとき、すぐにでも連絡をしていればなにか変わっていたかもしれない」
絶望的な悔しさと無念さをこう吐露するのは、人気漫画家・芦原妃名子(本名・松本律子)さん(享年50)の友人男性だ。
芦原さんの訃報が伝えられたのは1月29日夕方。前日から行方がわからなくなっており、関係者が警視庁大崎署に行方不明届を提出した。
「栃木県に向かったとの情報があり、栃木県警と連携して捜索したところ日光市の川治ダムで遺体で発見された。自宅からは遺書が見つかっており、自殺を図ったと思われる。遺書は数行で行方をくらませた理由などが書かれていたそうです」(社会部記者)
芦原さんは1994年に「その話おことわりします」(小学館)でデビューし、以来、ヒット作を世に出し続けてきた。2017年から「姉系プチコミック」(小学館)で連載を開始したのが「セクシー田中さん」だ。性格も年齢も違う2人のOLが出会い、新たな一面を見出していく——繊細な心理描写で現代に生きづらさを感じる女性たちを描いた作品は多くの共感を得た。
同作は2023年10月に日本テレビ系列でドラマ化。しかし、最終回放映後の12月24日に“制作トラブル”が発覚する。エンドロールに〈脚本・相沢友子(第1話~第8話)、芦原妃名子(第9話、最終話)〉と映し出され、脚本家の相沢氏が自身のインスタグラムにこう投稿したのだ。
〈過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました〉
相沢氏はさらに12月28日には次のような投稿もしていた。
〈今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした〉〈どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように〉
大炎上した“原作者軽視”の発言
一方の芦原さんは行方がわからなくなる2日前の1月26日、自身のXで脚本をめぐるトラブルの経緯について説明。
芦原さんの一連の投稿によれば、原作漫画は未完で結末も決まっていないことから、ドラマ化にあたっては「必ず漫画に忠実に」、作品の今後に影響を及ぼさないよう「原作者があらすじからセリフまで」を用意すること、「原作者が用意したものは原則変更しないでいただきたい」こと、「ドラマオリジナル部分については、原作者が用意したものを、そのまま脚本化していただける方を想定していただく必要」があること、「場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もある」ことなどを条件として版元の小学館を通じて日本テレビに求めていたという。
だが、それらは反故にされ、最終的に第9話と第10話はドラマのプロデューサーの要望を取り入れながら芦原さんが脚本を執筆し、日本テレビと専門家で内容を整えるという解決策となった。
一連の投稿はその後、削除された。そして芦原さんは1月28日に〈攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい〉とポストし、翌日、変わり果てた姿で発見された。
人気漫画家の死は業界に衝撃を与え、原作者と制作者の関係性をあらためて見直す声が広まっている。
「彼女の心を折った本質的な部分は陰に隠れたまま」
芦原さんの訃報が伝えられた当日、脚本家の事業協同組合である「日本シナリオ作家協会」がYouTubeに1本の動画をアップ。その中である出演者が「私は原作者の方に会いたくない派なんですよ」など“原作者軽視”とも捉えられる発言をしていた。芦原さんの死とは関係なく制作された動画だったが、最悪のタイミングでの公開に批判が殺到し、大炎上。日本シナリオ作家協会は謝罪し、当該動画を削除。釈明に追い込まれるなど、問題は様々な方向に派生している。
だが、冒頭の友人男性はこう語る。
「業界の問題が見直されることは良いと思うのですが、何が彼女を死に追い詰めたのか。彼女の心を折った本質的な部分は陰に隠れたままです」
この友人男性が芦原さんと出会ったのは約6年前。共通の趣味だったポーカーを通じて知り合ったという。以来、ほかの友人を交えて食事もするようになった。
「彼女はお酒は決して強くないのですが、飲むことは好き。そのお店の食事にあわせてカクテルから日本酒まで幅広く嗜んでいました。ポーカーのほかにはベリーダンスや旅行などを楽しんでおり、好奇心と行動力に溢れていた。『漫画家だから繊細な部分があった』とも言われていますが、少なくとも私から見ると感情の起伏がなく、芯が強い女性。言われないと漫画家だと気づかない“普通の女性”でした」
◆◆◆
この記事の続きは「 週刊文春 電子版 」で公開中。原作の映像化について芦原さんが打ち明けていた“悩み”、友人男性が明かす素顔の芦原さん、亡くなる直前に芦原さんのLINEアカウントとXの“鍵アカウント”に起きていた異変などについて詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)
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