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『マッドマックス:フュリオサ』はアニメ映画として開発されていた!アニメーター・前田真宏に聞く、知られざる企画秘話

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年6月1日 12時10分

 ウェイストランドの世界観をより補強するために、人々がどのような営みで生きているのか。具体化するためにはどんなディティールが必要なのか。キャラクターの欲望、心情の動き、変化を掘り下げたり、様々な事を広範囲に、監督のミラーさん、プロデューサーのダグ(・ミッチェル)さん、脚本のニコ(・ラソウリス)さんたちと話し合いを重ねました。

 特に『フュリオサ』に関しては、一人の少女が暴力の支配する男性原理世界に無理やり放り込まれて過酷な体験と共に成長する、という物語ですから、どのように、どこまで表現して良いのかはかなり話し合った点です。ミラーさんの娘さんにディスカッションに参加してもらった事もありました。また、ウォーボーイズという存在をどう捉えるのか。争いの中で大人達は必ず若者の純粋さを利用します。恐怖を与え、ドグマで縛り、名誉を錯覚させて利用する。アフリカの内戦における少年兵の存在を意識しながら考えていました。

ニコさんたちと作った脚本が、基本そのままだった事にも感動

Q:『マッドマックス:フュリオサ』本編をご覧になっての感想を教えてください。

 素晴らしかったです。これだけの内容を実写で表現するのは並大抵の事ではありません。ですが、やはり説得力が違います。実写映画として完成して本当に良かった。エンドロールを見ていただければわかりますが、本当にたくさんの人々の力で出来上がったのです。関わった全ての人たちに尊敬と感謝を送りたいです。

 また、自分が関わってから10年以上のブランクがありますから、アップデートも必要なはずで、内容がすっかり変わってしまっていても仕方ないかなと思っていたのですが、ニコさんたちと作った脚本は基本そのままだった事にも感動しました。

Q:『怒りのデス・ロード』の精神を踏襲した『フュリオサ』のMADな世界観について、本編を鑑賞してどんな印象を受けましたか?

 MADな世界、と言うなら私たちは狂った世界に住んでいるとしか言いようがありません。これは現実世界のカリカチュアです。暴力が支配し、争いが絶えない世界を3人の男たちが権力を握り合って支配している。登場人物全員が「自分の為」にしか行動しません。一見調子の良い事を嘯(うそぶ)くディメンタスにしても、リーダーぶっているだけで結局は強烈な利己主義者でしかない。「人間が人間を食べて生きている世界」なんです。その殺伐とした感じは前作よりもストレートに出してきたな、と思いました。この土台があるからこそ、フュリオサとジャックの利他的な関係の尊さが浮かび上がるな、と感じました。

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