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米津玄師、宮崎駿との出会いで音楽人生折り返し 新アルバム「LOST CORNER」に込めた全て

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年8月22日 7時32分

 繊細さと大胆さを併せ持つ、唯一無二の歌声とメロディで人々の心を魅了し続けている米津玄師が、8月21日に6枚目となるニューアルバム「LOST CORNER」をリリースした。今や日本を代表するアーティストとなった彼だが、30代に突入してまた新たな気持ちで創作活動に向き合っているという。アーティスト人生にとって大きな転機となったのが、塚原あゆ子監督&脚本の野木亜紀子&プロデューサーの新井順子と初タッグを組んだドラマ「アンナチュラル」(2018)の主題歌「Lemon」。そして宮崎駿(※「崎」は「たつさき」)監督が10年ぶりに挑んだ長編アニメーション『君たちはどう生きるか』(2023)の主題歌である「地球儀」。宝物のような出会いを経て、たどり着いた“今”。そして“これから”について胸の内を明かした。(成田おり枝)

「Lemon」で感じたポップスの限界

 2009年より“ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル曲を投稿し始め、2012年からは本名で音楽活動をスタートさせた米津。初めてドラマ主題歌を担当したのが「アンナチュラル」で、死への喪失感とにじみ出る愛情までを歌い上げた「Lemon」はドラマの世界観を見事に映し出すだけでなく、誰もが自分ごととして置き換えられるような1曲としてリスナーを鷲掴みにした。日本人アーティストとして史上初のMV再生数8.6億回を突破するなど、今でも記録を更新し続けている。

 それ以降、「MIU404」(2020)では主題歌「感電」を。「アンナチュラル」&「MIU404」と同じ世界線で物語が展開するオリジナル映画『ラストマイル』にも主題歌「がらくた」を書き下ろすなど、塚原&野木&新井による最強チームとタッグを重ねてきた。米津は「『Lemon』は、自分のミュージシャンとしてのあり方がそれ以前と以降で大きく変わった曲。『感電』にもまた新たな場所に連れて行ってもらった感覚があり、『アンナチュラル』と『MIU404』、そして塚原監督、野木さん、新井さんとの出会いは、本当に得難いものだったなと思っています」としみじみ。『ラストマイル』にも参加し、「すばらしい作品に何度も出会えたことを誇りに思います」と感慨を語る。

 名曲「Lemon」は米津の亡くなった祖父への思いまでを込めた1曲だが、「あんなに広がるとは思っていなかった」と大ヒットは予想外のことだったという。一体、「Lemon」によって彼の中にどのような変化があったのだろうか。

 米津は「とんでもない広がり方をしました。それは半分事故のようなものというか、こちら側とすると再現性もないので。とても有機的な体験だったと思います」と率直な思いを口にし、「同時にポップスの限界みたいなものも感じて。たとえばカレーでも、嫌いな人っているじゃないですか。どれだけ広く届いたとしても、みんなが知っている曲ということだけで『嫌いだ』という人もいる。ヒットしたということは、『その中に入れない』人を生み出したことにもなりますよね。ポップスってどこまで行ってもそういったものだなと思うんです。誰かに曲を届けて、その人がどう感じるかというのは最終的にコントロールしようがないもの。それをコントロールしようなんて、高慢な考え方だなと思うんです。そういったコントロールできないことに一喜一憂をしたところでどうしようもないので、自分にとって大事だと思うものを死守し、それを深く見つめていった方がいいだろうという方向転換がありました」と自身の心と足元を見つめ直す機会になった様子だ。

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