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「アンナチュラル」の一歩先へ『ラストマイル』が描く“使う者と使われる者”の関係

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年8月31日 7時12分

 人気ドラマ「アンナチュラル」(2018)、「MIU404」(2020)の世界線と交差する(シェアード・ユニバース)完全オリジナル映画『ラストマイル』(全国公開中)を手掛けた塚原あゆ子監督が、エンターテインメント大作にして、現代社会に鮮烈なメッセージを投げかける本作について語った。

物流×ダイ・ハード

 クリックひとつで、あらゆる物が自宅に届けられるのが当たり前になった現代。もし、その荷物の中に爆弾が潜んでいたら……。そんな塚原監督のアイデアを、脚本家・野木亜紀子、プロデューサー・新井順子の“黄金トリオ”で映画化したのが『ラストマイル』だ。

 ブラックフライデー前夜、大手ショッピングサイト「DAILY FAST(デリファス)」から発送された商品が爆発する事件が発生。どれだけの数の爆弾が存在し、どこに届けられようとしているのか。警察による必死の捜査が進む中、デリファスの関東センター長・舟渡エレナ(満島ひかり)とチームマネージャー・梨本孔(岡田将生)は、現代社会の“血管”ともいえる流通網を守るために奔走する。

 以前から“物流”に惹かれていたという塚原監督は「2020年以降、コロナ禍を経て、ショッピングサイトでほしいものをポチるのが当たり前になり、物を配達してもらうことへのハードルが下がりました。私も水くらい車で買いに行っていたのに、届けてもらうことに抵抗がなくなってしまった。日々荷物を届けてくれる方々がいなかったら、どこも大パニックですよね。病院であれば人の命にも関わる。それでもわたしたちは、物流というものが、どこか自然に回っていると思っている。もしそれが、爆弾事件でストップした時に何が起こるのか……それはずっと気になっていました」と明かす。

 「それと、私が野木さんに話していたのが“ダイ・ハード”がやりたいということ。どんな時間でもポチるとすぐ商品が届くようになった今なら、宛名を確認しないで荷物を開けてしまうこともないとは言えません。もしそれが爆発物だったら怖いよね……というお話をしてから、各所に取材をかけて物流について猛勉強してくださった。だからこの作品は、野木さんの猛勉強のおかげで成立した企画ですね」

ドラマから続く労働へのメッセージ

 「ビールとポップコーンが合う映画」を目標に始まったという本作は、爆弾事件をめぐるスピーディーでスリリングなストーリーに、「アンナチュラル」「MIU404」メンバーも動員する、観客へのサービス精神あふれる娯楽作となった。しかしそこは、数々の話題作を生み出してきた塚原&野木コンビ。ヘヴィな題材をも巧みにエンタメへと昇華する手腕をふるい、商品の運搬を担う運送会社、委託ドライバー、商品を受け取る消費者まで、“物流”にかかわる全ての人々にフォーカスした濃厚な人間ドラマが描かれる。

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