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柳葉敏郎、『室井慎次』は『踊る大捜査線』ではないと明言

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月10日 8時6分

 27年前の連続ドラマ「踊る大捜査線」からはじまった「踊る」シリーズは、大きな社会現象を巻き起こし、伝説を残したまま12年前に幕を閉じた。今年、そのプロジェクトが再始動。『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の2本の映画があいついで公開される。タイトルロールの主人公、室井慎次を演じる柳葉敏郎が、今作にどう向き合ったかを語った。

 これまでは、シュッとしたコートとスーツに身を包んだ警察キャリアとして湾岸署に臨場し、シリーズの主人公である青島俊作(織田裕二)ら捜査員たちと対峙していた室井。だが、今作の予告編では、よれよれのシャツにダサめの防寒着を着て、故郷・秋田で暮らしている様子がうかがえる。スーツ姿で自然の中に佇む姿も確認できるものの、「(現在は)無職です」と語る彼の暮らしは、180度の変ぼうを遂げているようだ。だが柳葉は、「室井は何ひとつ変わっていません」と言い切る。

 「『年を取ったな』というくらい。変わったのは環境だけ」という柳葉。「演じる際に気を付けたのは、唯一、背筋を伸ばそうということ。それ以外、見た目でこだわったことはないです」と言い、撮影に当たって過去作品を見返すこともしていないという。「過去は過去ですから。そのときに感じたことを演じるのがいちばんだと思いました。なぜなら、室井は日々、生活しているわけですから」。ではなぜ、彼はスーツを脱いだのか。

 「室井にとってあのスーツは戦場に向かうための鎧で、戦う相手は組織や犯罪でした。彼はその組織というものにぶっ潰されて、警察を辞めた。でも、気持ちは変わってなくて、脱いだ瞬間に対象が組織ではなくなったんです。自分が役に立つことは何なのか、自分の正義を活かせるものは何なのか。彼が常に考えるのはそれで、迷いながらもそこに向かって進んでいく話だと思っています。彼の本当に純粋な気持ちを、みなさんにお披露目することができるんじゃないかな」と、今作の室井を紹介する。故郷・秋田で、事件の被害者家族・加害者家族の子どもたちの里親になっている彼は、官僚だった当時と変わらない芯を胸に抱いているという。

 現在、彼は湖のほとりの古い家に住んでいることが予告編で確認できるが、「室井は、あのボロ屋を掃除して整理してリフォームして、新しく住めるようにしました」とのこと。「組織の中でも彼は同じことをしていたと思うんですよ。決して目立たないささやかなことを少しずつ変えることで、組織をリフォームしようとしたはずなんです。ね、変わってないでしょ?」と、柳葉は茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。

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