「光る君へ」竜星涼、隆家のマインドの強さの理由を解釈 「誰かと比べているうちはうまくいかない」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月13日 20時52分
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で藤原道長(柄本佑)の甥である藤原隆家を演じる竜星涼。4月21日放送の第16回で初登場して以来、兄・伊周(三浦翔平)と波乱の人生を歩んできた隆家の転機や、兄弟の愛憎、隆家のマインドの強さの理由までを語った。
大河ドラマ初出演となる本作で竜星が演じる隆家は、中関白家の繁栄のために野心をぎらつかせる兄・伊周とは対照的に、物事や状況を俯瞰してみる冷静な男。史実では、さがなもの(荒くれ者)と呼ばれ、のちに大宰府に赴任。大陸から攻めてきた刀伊(とい)と対峙した功績があることで知られる。
本作での隆家の初めの転機は、隆家が花山院(本郷奏多)の牛車に矢を放ったことから一家が没落する「長徳の変」。隆家は伊周と共に流罪となるも、あっという間に一条天皇(塩野瑛久)の命によって都に召喚。干しシジミを土産に道長のもとへ向かい、けろりとした表情で「私は兄とは違います。兄は恨みをためる、私は過ぎたことは忘れる。左大臣様のお役に立てるのは私にございます」と自分を売り込む。この隆家の切り替えの速さを、竜星はこう分析する。
「あの事件は、将来の彼になるための第一歩だったような気がします。家を託した父(道隆/井浦新)の思いは兄が引き継いでいて、母は兄に過保護でたとえ悪い方向に行っても守ってしまう。だから隆家は奔放に生きられたし、その中で兄の背中やいろんなことを見ることで実の伴わない貴族の世界に飽き飽きしていく。“もっとこういうことをしたい、ああいうことをしたい”と思うようになって、彼にとってはそれが政だったりする。自分の失敗によっていろんな人を巻き込んで家族をダメにしてしまって、責任を感じてはいるけれども、パーソナルな部分ではきっと“これでよかった”と思っていると思いますね」
道長を呪詛したり、暗殺を計画したりと負の感情を糧に生きる兄・伊周を見かねた隆家は、一度は彼を引き戻そうと説得するもかなわず、己の道を歩んでいく。なぜ、隆家は道長に政の実権を握られようと、負の感情に囚われないマインドの強さがあったのか? 竜星は「兄の姿を反面教師にしたのが一番大きかったのではないか」と見る。
「兄はどちらかというと、身分や過去の栄光に固執するタイプで、大人になり切れなかった人。弟の隆家はそうした姿をずっと見ながら生きている。だから、僕はやっぱり家族構成ってすごく大事なんだなと思ったりするんですけど。隆家は貴族っぽくはないけど、意外と客観的に物事を捉えている。それも彼が長男とか上の人間じゃないからだと思うし、上を見て育っているからこその判断力、決断力だったりもするのかなと。かっこよくて華やかな存在だった兄が、家が落ちぶれてそうではいられなくなった時、立ち直れるのか直れないのか。隆家には、兄貴のようにはならないようにしようっていう、単純にそういう気持ちがあったのではないか。絶望から跳ね上がる力、強さが彼にはあったのかなって思います。それと、史実とは描かれ方が違っているようですが、隆家が道長と対峙した時に、初めて兄が負ける瞬間を見たというか、もっと上手の強い人間がいるんだと気づいて惹かれていった。加えて、隆家は武力を重んじていますが、そうした意味での強さもあり、戦のない時代においては異端児でありながらも、先を見据えることができた人間だとも思っています」
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