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『グラディエーターII』ポール・メスカル&デンゼル・ワシントンの演技論 リドリー・スコットの目を盗んでリハーサル

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月15日 18時5分

 映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のポール・メスカルとデンゼル・ワシントンが来日時にインタビューに応じ、俳優陣とは通常リハーサルをせず、12台のカメラを一気に回すためどこから撮られているかもわからないという巨匠リドリー・スコット監督ならではの撮影現場や、演技論について語り合った。

 初共演について聞くと「ひどかった!」と声をそろえ、すぐに笑い合うなど今や気心知れた様子の二人。ドラマ「ふつうの人々」(2020)でブレイクし、『aftersun/アフターサン』(2022)でアカデミー賞主演男優賞ノミネートも果たしたポールだが、まだ28歳。デンゼルという憧れの対象とどう向き合えばいいのか初めは緊張していたが、それは杞憂に終わったという。

 「20代後半で、ずっと崇拝してきた人と親密に演技をすることになるなんて予期していなかったから、共演者になるのは難しいんじゃないかと思っていた。だけど、彼は完全な“創造”と共にやってきた。完全に献身的な共演者なんだ。それで、僕は解き放たれたよ。憧れの人でありながら、ただ一緒に働く人になれたから。共演シーンは毎秒素晴らしかった。僕のお気に入りはクリスマスの後の撮影だね。僕たちのシーンのほとんどはそこで撮影したから」(ポール)

 ポールが「リドリーはリハーサルをしない傾向にある。だから二人でこっそりセリフを言ってみたりして」と続けると、デンゼルは「そうそう!」と相好を崩す。ポールは「僕はリハーサルをするのは好きだけど、それ以上に監督のスタイルに従うのが好きなんだ。デンゼルも言っていたけど、監督と俳優の根本的な違いはそこにある。映画は監督のカンバスで、ステージは俳優のカンバス。俳優は他の人のカンバスの中で演技をして、そこでどう自分の色を出すかに尽きる。だけど、撮影が進むにつれて、僕たちは次第にミニリハーサルをやるようになっていったよ。リドリーなしで」と密かにリハーサルをしていたと明かした。

 デンゼルも「まあ、リドリーは他に25のことを心配しないといけないからね。俳優はわがままだから、もし彼が俳優たちに助けを求めることを習慣化させたら常に煩わされることになる」と笑って付け加えた。

 そして、遠くから多数のカメラで一気に撮るスコット監督の撮影現場では、俳優陣はカメラを一切意識せずに演技をする。“カメラを何台見つけられるかゲーム”をやったこともあると明かしてデンゼルを驚かせたポールは、「12台というのは、注意を払うには多すぎるよ。半分は自分の後ろにあるから、そもそも見えないし。カメラは僕たちに決して近づかず、引きとクローズアップを同時に撮っているんだ。だから劇場で演技をしているような感じだった」と振り返った。

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