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「踊る大捜査線」で欠けていた室井慎次の最終章 脚本・君塚良一が“室井の終焉”を執筆した理由

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月14日 6時46分

 27年前、連続ドラマ「踊る大捜査線」は組織に生きる人々の葛藤と信念を鮮やかに描き、高い評価を得た。続く劇場版1作目『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』で社会現象を巻き起こし、2作目の『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の打ち立てた邦画実写興行収入歴代ナンバーワンの記録はいまだに破られていない。その立役者が、亀山千広プロデューサー、本広克行監督、そして脚本を担当した君塚良一だ。2024年、12年ぶりに「踊るプロジェクト」が再始動し、『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の2部作が誕生したが、君塚はなぜいま、“最後の室井慎次”の物語を執筆したのか。(以下、『敗れざる者/生き続ける者』のネタバレがあります)

最終章がなかった

 君塚は「室井慎次には最終章がなかったんです」と切り出し、「『踊る大捜査線』をずっと続けてきて、劇場版4作目『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』でいったん終わって。その後、僕も室井も年を重ねているんですが、彼は綺麗に終わっていない。年齢によって仕事が終わることがあるだろうし、あるとしたらそれを見つめたいし、描きたいし、ファンの方々と見守りたいと思いました」ときっぱり。その思いを抱いたのは、同じように警察官の信念を題材にしたドラマ「教場」シリーズを書いたことも理由の1つだったようだ。

 「最後の章がないまま、ずっと置いておかれていた本のような感じがありましたね。若いころに現場の刑事を思って上に楯突いた男が、警視総監になっているわけがない。天下りしてどこかの企業に入るかと言ったら、それはないだろう。そんなふうにぼんやり考える時間が5年ほどあったんですよね。それで、プロデューサーにご相談したという流れです」と君塚は続けた。

 亀山プロデューサーに送ったメールでは「『踊る』の欠けていた部分をやりたい、室井の終焉を3人で描きたいと、そういう言い方をしました」と語る君塚。「踊る」を生み出し、育てた亀山プロデューサーと本広監督と自身の3人が揃わなければ、最後の責任はとれないという思いがあったのだろう。

 室井を再演した柳葉敏郎は、君塚から亀山プロデューサーに宛てたメールに心を動かされ、今作への出演を決意したという。君塚は「室井を役として成仏させたい」とメールに記していた。「『踊る』をもう1回やりたいんではないんです。青島(俊作/織田裕二)刑事もすみれ(恩田すみれ/深津絵里)さんもどこかで生きている感じが僕にはあるんですけど、室井さんはどう考えても当時と立場や役職が変わっているはずだから、室井さんに決着をつけたかったんです」

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